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魔鼠たちは、突然現れた闘志を漲らせる大男を敵と認識したようだ。赤い眼をギラつかせながら一斉に襲い掛かった。
ジャックスはそれを大剣で薙ぎ払う。魔鼠はジャックスの一撃を食らって、次々と地に伏していく。一方のセリオはジャックスのような大技は繰り出せないが、一匹ずつ確実に仕留めていく。
あっという間に魔鼠を蹴散らしたジャックスは、息一つ乱れていない様子でセリオを振り返えった。
「お前、一体何をしたんだ? 魔鼠の巣でも荒らしたのか?」
姿を見せるなり小言を口にする師に、セリオはターム避けの風魔法を施しながら、ため息を吐く。
「俺がそんなヘマをするとでも?」
「だがなぁ。こいつらは、縄張りを荒らされない限り、襲ってくることはねぇぞ。これだけの群れとなると……」
ジャックスは足下に転がる無数の魔鼠を見て、顔を顰めた。
「俺は何もしていませんよ。コイツらが突然襲ってきたんです。最初から虫の居所が悪そうでした」
セリオはそこで言葉を止めた。そして、何かに気づいたかのように、まじまじと魔鼠の死骸の山を見つめる。
「誰かが魔鼠の縄張りを荒らした……から?」
無意識に呟いたセリオだったが、自身の口からこぼれたその言葉に、ハッと息を呑んだ。セリオは、ジャックスを振り仰ぐ。
「師匠。魔鼠の巣ってどこにあるんですか?」
突然の問いかけに、ジャックスは訝しげに見返す。
「魔鼠の巣かぁ? コイツらは、でかい前歯で岩肌に穴を掘って、そこを寝ぐらにする習性がある。巣穴の入り口を隠すために、草の深い場所を好むから、その辺りを探せばあるんじゃねぇか?」
ジャックスは、顎に手をやり思案しながらそう言った。




