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ギルド嬢は、こっそりヒミツを暴きたい!  作者: 田古 みゆう


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5-15

 セリオの諜報員としての能力はおそらくこの国随一。魔力量は然程ないため、魔石の補助がなければ魔法は使えないが、それを補うだけの技術をセリオは持ち合わせていた。


 小さな異変も見逃さない観察眼と、巧みに周囲に溶け込みさらりと情報を聞き出す話術。そして、どんな些細な情報も漏らさず収集し記憶する能力。もちろん隠密行動にも長けている。武術と剣術についても、師であるジャックスの手解きを受けているので、そこいらの傭兵などに引けは取らない。


 セリオは自身のスキルを駆使して、今までも数々の諜報任務をこなしてきた。だが、それらの功績が人々に知られることはない。


 それでもセリオはこの仕事に満足していた。ただ一人、セリオが忠誠を誓うリゼラルブ・マグノリアその人の意に沿う結果を出すことがセリオの喜びだった。


 そんな彼の能力を余すことなく発揮して捜索しても、なかなかそれらしい痕跡が見当たらない。セリオの顔に焦りの色が浮かぶ。


 今回もリゼラルブからの勅命。それを確実に遂行する。それがセリオの使命だ。決して失敗は許されない。それなのに捜索は暗礁に乗り上げていると言っても過言ではなかった。


 セリオは眉間にしわを寄せ、唇を噛む。森に入ってから、もうかなりの時間が経っていた。しかし、未だ行方不明者を見つけるには至っていない。行方不明者はもう生きてはいないかもしれない。そんな不吉な考えが頭をよぎる。それと同時にタニアの悲しそうな顔が浮かんできた。


(何でアイツが……)


 セリオはそれを振り払うかのように頭を振った。


(あの方が納得される結果を俺は求めるだけだ)


 そう自分に言い聞かせて、セリオはまた捜索を続けるのだった。


 その時、セリオの背後でカサリと小さな音がした。すぐさま音のした方を振り返る。しかし、そこに人影はない。気のせいかと思ったが、周囲に何かの気配を感じた。


(しまった! 囲まれた)


 悟った時には、四方から何かが飛び出してきた。セリオは瞬時に短刀を引き抜き、その気配に向かって身構える。


 飛び出してきたのは、魔鼠だった。魔獣は普通の動物とは違い、魔力を持つ獣だ。魔鼠は通常の鼠よりも二回りほど大きく、その前歯は大きく発達し、眼は赤くギラついている。


(魔獣か。厄介だな)


 セリオは、心の中で舌打ちした。それなりに戦闘技術を身につけているが、それは諜報活動遂行のためであって、対人戦に特化していた。本能のままに襲ってくる魔獣には少々分が悪い。


 セリオは自身に風魔法をかけているため、多少の防御はできる。しかし、魔鼠は一匹居たら百匹はいると思えと言われる魔獣だ。実際にそれだけいるとは思えないが、群れで襲い掛かる習性がある。一刻を争う事態なのに、耐久戦などやっていられない。


 この場を離脱すべきか。


 セリオは瞬時にそう判断し、魔鼠に背を向ける。背後から魔鼠たちが追いかけてくる気配を感じる。しかしセリオの脚力には敵わないようで、徐々に距離が開き始めた。セリオはそのまま一気に森を駆け抜けるつもりだったが、前方に人影を見つけてその足を緩めた。


「師匠。あれ、何とかしてください」


 セリオの視線の先には、ジャックスがいた。

ジャックスが大剣を構えたのを見て、セリオは逃げの一手をやめ、魔鼠たちに再び対峙する。

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