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そう言って、初老の男性はタニアを室内に案内した。男性が言った通り、すぐにジャックスが息せき切ってやってきた。
「親父。一体何だってこんな時間に呼び出しなんか」
扉を勢いよく開けて入ってきたジャックスの言葉は、待っていたタニアの声によって遮られた。
「オジサン!」
ジャックスに飛びつくようにしてタニアは抱きついた。タニアの顔は涙でぐしゃぐしゃ。ジャックスの姿を見た途端、緊張の糸が切れて涙が止まらなくなった。タニアはしゃくりあげながらも、必死に言葉を紡いだ。タニアの話をジャックスは神妙な顔で聞いていた。
「親父、傭兵ギルドと冒険者ギルドへの連絡を頼めるか?」
ジャックスに親父と呼ばれた初老の男性は、コクリと頷いた。
「ジャックス君は、どうするのです?」
「俺は、こいつを家まで送り届けてくる。その後、東の森へ合流する」
問いかけにジャックスは即答する。
「分かりました。では、私が連絡役を請け負いましょう」
ジャックスと初老の男性は互いに頷き合う。その後、ジャックスはタニアに背を向けてしゃがんだ。
「急いで戻るぞ」
そのポーズはどう見ても背中に乗るように促していた。しかし、タニアは涙で濡れた顔を横に振る。
「なにを遠慮してるんだ。お前だって本来は安静にしているべきなんだぞ。それなのにこんな無茶して」
ジャックスは、タニアの態度にため息を吐いたが、すぐに気を取り直して、タニアをひょいと肩に担ぎ上げた。そして扉へ向かう。
「ちょっとオジサン! 降ろして!」
タニアがジタバタと暴れて抗議の声を上げる。しかしジャックスは、そんなタニアなどお構いなし。




