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ハッとした様子で呟く。
「そうか! そういうことか」
セリオは、タニアに向き直り言った。その目には確信の光が宿っている。
「タニア。きみの言う通りかもしれない」
「え? 何が?」
タニアは、セリオが何を言っているのかわからずに首を傾げた。セリオは、そんなタニアの目を真っ直ぐに見つめ、ゆっくりとした口調で告げる。
「タームの密輸が目当てじゃない。おそらく今回の目的は人攫い。最近の行方不明事件は、そのタームの密売人の仕業だ」
セリオの言葉に、タニアは大きく目を見開いた。
「え? それって」
タニアの顔にみるみる不安の色が浮かぶ。連れ去り事件の多くは、その後、奴隷として売り払われるか、闇組織によって臓器売買の商品にされると聞いたことがある。
もしも本当に人攫いに捕まったのだとしたら、男の子は無事に戻ってくることはないだろう。
タニアはゴクリと唾を飲んだ。しかし、そんなタニアにセリオは冷静に告げる。
「だが、今回の場合はまだ森にいるかもしれない」
「ど、とうして?」
セリオは、しっかりとした口調で言う。
「費用対効果を考えると、一人やそこら攫っても割に合わない。おそらくは、まとまった人数を集めるつもりだろう」
「まとまった人数? それってどれくらい?」
「そこまではわからない。だけど、俺たちが森へ入った時にまだタームを焚いていたのだから、予定人数には達していないのだろう」
わからないと言いながらも、セリオは確信めいた表情で答える。その顔があまりにも自信に満ちていたので、タニアの不安は徐々に薄れていった。
「じゃあ、まだ助けられるってこと?」
「たぶんな」
セリオが静かに頷いた。タニアの顔に笑顔が浮かぶ。しかし、それは一瞬のことで、すぐに顔を曇らせる。
「でも、どこを探せば……」
「探すのは、先ほどの野営跡からそう遠くない場所。タームの香りが届く範囲内に捉えられているはずだ。ターム漬けにして逃げられないようにするつもりだろう」
セリオの冷静な分析に、タニアは小さく頷いた。
「じゃあ、すぐに助けに行こう!」
セリオは首を横に振る。
「いや、きみはここに居ろ」
「どうして?」
タニアは不満そうな声を上げる。しかしセリオも譲るつもりはない。
「きみも分かっているはずだ」
セリオの鋭い視線に、タニアは押し黙った。既に一度痛い目にあっている。意識を失い、セリオに担がれて家まで戻ってきたのだ。無理矢理付いて行っても、また迷惑をかけるだけ。タニアは唇を噛む。




