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ギルド嬢は、こっそりヒミツを暴きたい!  作者: 田古 みゆう


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5-9

 タニアはたじろいだ様子で、反射的に目をそらして言い訳をする。セリオは、そんなタニアにさらに問いかけた。


「だから、どうしてそう思ったんだ?」


 セリオの追及にタニアは、少し口ごもりながらも答える。


「だってアタシ、2回も甘い匂いにつられちゃったし。だから、甘い匂いで誰かをおびき寄せようとしていたのかもしれないなって……」


 その言葉を聞いてセリオは腕を組む。タニアの推測は、あながち間違いではないかもしれないと思えた。


 街で使うよりも目立たず、それでいてあの甘い香りの誘惑で確実に相手は自身の元へ来る。森の奥深くなら、怪しい取引を街の警備兵に見咎められる心配もない。


 そこまで考えたセリオは、眉間に皺を寄せ頭を振った。


 仮にそうだとして、タームの香りは近くにいれば誰にでも作用する。つまり取引に関係のない者まで引き寄せることになる。現にタニアは2度もタームの毒牙にかかり中毒になりかけたのだ。


 そこでふとセリオは違和感を感じた。タニアはなぜ2度もタームを吸うことになったのか。そもそも森になど行かなければ中毒にはならなかったのだ。


 セリオはタニアを見た。


「君はどうして森に行ったんだ?」


 セリオの問いにタニアは意味がわからないと首を傾げる。


「だからそれは男の子を探しに」


 セリオはタニアの言葉を遮って、再度問いかけた。


「そうじゃない。それは今夜のことだろ。最初だ。最初はなぜ森へ行った?」

「それは……情報を確かめに。オジサンは焚き火の跡は冒険者たちが野営したからだろうって言ってたけど、何だか気になって。それで自分の目で確かめようと思って森へ行ったの」

「焚き火だと?」


 セリオは視線を鋭くし、タニアを問い詰める。


「そう。そういえば甘い匂いがしたって言ってたけど、あの子もタームを吸っちゃったってことかな? 大丈夫かなぁ」


 心配顔になったタニアに、セリオは淡々と告げる。


「タームは一度だけなら命に関わるほどではない。何かの弾みで正気を取り戻せる。危険なのは、体内にその毒素が蓄積されるからだ」


 タニアの顔が徐々に青ざめる。


「だったら、やっぱり早く見つけてあげなきゃヤバイじゃん」

「だから、一度くらいは平気……」


 タニアはセリオの言葉を遮って叫んだ。


「平気じゃない。たぶん2回目。ううん。もしかしたらもっと……」


 タニアは言葉が尻すぼみになる。その顔からは血の気が引いていた。セリオはそんなタニアを、冷たい目で見つめる。


「どういうことだ?」


 セリオの語気は強い。タニアは、その剣幕に一瞬怯んだが、すぐに答える。その声は震えていた。


「私が探そうとしていた子は、そもそもここに情報を持ってきてくれた子なの。その時、甘い匂いがしたと言っていたから、きっとタームを吸ったはずなの」


 セリオはタニアの話を聞いて眉をひそめた。


「それはいつの話だ?」

「男の子から情報をもらったのは昨日。その前の日も森へ行っていて、甘い匂いを嗅いだと言っていたわ」

「つまり、少なくとも3日続けて森でタームを焚いているということか……」


 セリオは目を閉じて唇を噛む。しばらく何か考え事をしていたようだが、やがてゆっくりと目を開いた。


「おかしい」


 セリオは呟いた。


「何が?」


 タニアがセリオに問いかける。

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