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ギルド嬢は、こっそりヒミツを暴きたい!  作者: 田古 みゆう


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53/72

5-5

 辺りに充満する甘い匂い。そして、まだ煙を立ち昇らせている焚き火の跡。セリオはその焚き火のすぐそばに落ちていた乾燥し黒ずんだ葉を拾い上げた。


 それを素早く懐にしまうと、タニアを見た。彼女は、焚き火跡を虚ろな目で見つめながら、微動だにせず立ち尽くしている。


 ただ一点だけを見つめるタニアの頬を、セリオは思いっきりはたいた。パシリと小気味よい音が辺りに響く。それなりの力で叩いたのだが、タニアは何の反応も示さない。


 セリオは小さく舌打ちをすると、タニアの首筋目がけて強烈な手刀を食らわせた。その衝撃で、タニアの体が崩れ落ちる。


 セリオは意識を失ったタニアを抱きかかえると、足早にその場を去った。そして、そのまま元来た道を引き返した。


 意識のないタニアを抱えて、セリオは「香草亭」へ戻ってきた。


 タニアを縁側へ寝かせると、装束のポケットから水薬を一瓶取り出し、中の液体をタニアの口に含ませる。しばらく様子を見ていると、タニアの喉がゴクリとなった。口の中の液体を飲み込んだようだ。


 それを確認して自身も一瓶飲む。すると、途端に体が軽くなった。


(ジュヴェントゥス様の解毒薬は、本当によく効くな)


 重怠さがなくなると共に思考がはっきりしてきたセリオは、またポケットへと手を突っ込み、小さな袋を取り出した。そこから青色の魔石と緑色の魔石を取り出す。


 意識のないタニアの手を取ると、セリオは青の魔石に魔力を流した。すると、緩い水流が二人の全身を包み込んだ。二人を丸ごと洗うかのように水流が二人の周りをくまなく巡る。こうすることで、目に見えない微量の有害物質を洗い流すことができるのだ。


 体を洗浄し終えると、次に緑の魔石に魔力を流す。すると、今度は小さな竜巻が二人の体を包む。風魔法で体を乾かしているのだ。


 全てが終わってもタニアは目を覚まさない。


 セリオは小さく息を吐き、横になるタニアのそばに腰を下ろした。そして、懐から収集物を取り出した。


 黒ずんだ葉は、セリオと共に洗浄されたので、今はただの枯葉だ。セリオはそれを人差し指と親指でつまみ上げ、じっと見つめた。


 魔樹と呼ばれる魔力を帯びた植物の葉。それをそのまま体内に取り込むと、強い幻覚作用を引き起こすことがある。


 この葉は乾燥させ、煙にすることでも効果を発揮する。その場合は強い幻覚作用はない。ただ気分が高揚するだけ。しかし、摂取し続けることで深い陶酔を引き起こし、やがて廃人となり死に至る。

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