表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アタシはギルドの受付嬢。でも、なんかちょっと違くない?  作者: 田古 みゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/56

4-11

 特殊な場所には、それなりの理由がある。タニアは今更になって、そのことを実感した。不安が顔に出ていたのだろう。セリオが軽い調子でタニアに声をかけた。


「さっきは脅かして悪かったけどさ、俺たちの仕事にはああいうことが付きものなの。君は早く手を引いたほうがいい。正直、覚悟のない人間は邪魔なだけだから。それに、あの方に忠実になれない奴を、俺は認めないから」


 タニアは、セリオのその言葉にムッとした。言い方が気にくわない。しかし何よりも、彼の言うことに一理あるのが悔しかった。正直、先ほどは身の危険を感じて怖かったし、何もできなかった。それに、オーナーに対しては、忠誠心なんて今のところ全くない。


 しかし、ここで引き下がるのも癪だった。タニアは椅子を鳴らして立ち上がり、セリオを真正面から睨みつける。そして、フンッと鼻を鳴らした。


「あなたに認めてもらわなくったって、全然構わない。アタシにはアタシの事情があるの。まだ顔も見たことないオーナーに忠誠心なんてこれっぽっちもないけど、アタシは自分のためにこの仕事を選んだの。そのためにこの仕事をやるって覚悟もできてる。あなたにとやかく言われる筋合いはないわ」


 タニアは怒気を含んだ声で宣言した。それはまるで宣戦布告のように響いただろう。だが、本当のことを言えば、単なる強がりだった。ギルドの受付が、身の危険と隣り合わせの仕事だなんて想定していなかった。覚悟なんてできているわけない。しかし、むざむざ引き下がるのも嫌だと感じたのも事実。


 タニアが鼻息荒く睨みつけていると、セリオはキョトンとした顔でタニアを見つめた。それから、フフフと笑う。その不敵な笑いに、タニアは身構えた。しかし、セリオは少し口角を上げただけでそれ以上何も言わなかった。


(優しかったり、怖かったり、挑発してきたり……わけわかんない。この人、苦手だわ)


 掴みどころのないセリオの様子にタニアが戸惑っていると、ジャックスが高らかに笑い声をあげた。


「まともにやり合ってると、疲れちまうぞ。こいつはこういう奴だ。適当に受け流せるようになれ」


 ジャックスはそう言うと、セリオの頭を軽く小突いた。頭を小突かれたセリオは大げさに痛がって見せる。まるで舞台上の役者のようにコロコロと表情が変わり、その度に雰囲気がガラリと変わる。セリオという人物の核を捉えきれない。


 タニアは、セリオという人間の得体の知れなさに軽い畏怖を感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ