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アタシはギルドの受付嬢。でも、なんかちょっと違くない?  作者: 田古 みゆう


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4-10

 ジャックスの説明に、タニアは眉間に皺を寄せる。


「ねぇ。この人がオーナーってことはないよね?」


 視線をチラリとセリオに向け警戒心を露わにするタニアに、ジャックスは不思議そうな顔をする。


「こいつは、ただの諜報員だ。オーナーじゃねぇぞ。どうしてそう思った?」

「だって、オジサン。前に、オーナーは性格に難がある人だって言ってたじゃん」


 即座にそう答えたタニアに、ジャックスはガハハと笑い声をあげた。


「ああ、そうか。そうだったな。だが、こいつのことじゃない。セリオはオーナーのいわゆる懐刀だ」


 ジャックスの言葉に、タニアは目を大きく見開く。懐刀。それはつまり、オーナーの腹心であるということだ。


 驚きに固まるタニアを、セリオは面白そうに眺めている。相変わらず柔和な笑みを浮かべているセリオの表情を見て、タニアは顔を引きつらせた。


 彼の裏の顔を見た後では、その笑顔が逆に不自然に映る。笑顔というのは本来は相手に好意を表すものであるはずだ。しかし、なぜかこの青年の笑顔には違う意味があるような気がした。


 ムスッとした顔でタニアが何も言葉を発せずにいると、ジャックスは困った顔をする。


「おいおい。ギルドの仲間なんだ。上手くやってくれよ」


 ジャックスのその台詞に、タニアはセリオを視界に入れないようにするため、プイッと顔を背けた。


(こんな得体の知れない奴と、仲良くなんか出来るわけない)


 そんなことを思っていると、セリオがヘラヘラとした笑みを浮かべて話に割り込んできた。


「ねぇ。師匠。オーナーって誰のこと?」

「ん? ああ、そうか。セリオにも伝えておいた方がいいな。オーナーってのは、アイツのことだ。外で、ギルドとアイツのことは口にしない方がいいからな。便宜上、オーナーと呼ぶことにした」


 ジャックスのその答えに、セリオは目を大きく見開く。そして、すぐにそれは愉快そうな笑みに変わった。


「それ、あの方は了承されているの? 難色を示されそうだけど」

「アイツは何にだって嫌な顔をする奴だからな。まぁ、本当に気乗りしない時ははっきりとそう言うから、大丈夫だろ」


 ジャックスはそう言って、またガハハと笑った。タニアはそんな二人の会話を黙って聞いていた。


 何にだって嫌な顔をする? 気乗りしない時ははっきりと言う? オーナーって、そんなわがままな人なの? アタシ、そんな人の下で仕事をしていくんだ。


 二人の会話からオーナーの人物像を垣間見たタニアは、少し狼狽えた。

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