秘密ギルドは、お休み処!?(9)
タニアの考えをジャックスは渋い顔をしながら聞いていた。何かを考えているのか、腕を組んだまま黙っているジャックスを見て、タニアは不安になる。せっかくいい考えだと思ったのだが、こんな子供じみた思い付きを話して呆れられたのかもしれない。
ジャックスの沈黙が怖い。タニアは不安げにチラチラと視線を彷徨わせる。ジャックスは、そんなタニアの様子に気がつき、安心させるようにゆっくりと頷いた。
「まぁ、いいんじゃないか。街外れだから、旅人なんかの立ち寄りにも向いているかもしれん。女や子どもの話もいいが、旅人ってのは立派な情報源だ。街の外の情報は貴重だからな。情報屋に売られる前に、がっつり掴め」
ジャックスの言葉に、タニアの表情がパッと明るくなる。そして、大きく頷いた。
それから二人はあれやこれやと話し合いながら、休み処について話を詰めていく。
「名前は、香草亭なんてどう?」
「まぁ、いいんじゃないか」
「で、メニューはハーブティーとクッキー。あ、ハーブは自分で選んでもらうなんてどうだろ? そうすれば、いろいろと会話をするきっかけにもなるし」
「そうだな。悪くない」
「ホント?」
嬉しそうに笑うタニアにジャックスは気難しい顔のまま頷く。しかし、タニアはそんなジャックスには気がつかない。自分の案がどんどんと形になっていくのが嬉しくて仕方がないようだった。
ジャックスを手伝わせ、室内の家具のレイアウトを変える。タニアの生活空間をしっかりと確保しつつ、店舗スペースも作る。
タニアは、ジャックスの助言を受けながら、「お休み処 香草亭」を少しずつ形にしていく。店舗のイメージがあるのか、タニアは楽しそうに作業を進めた。
さほど時間をおかずに、仮とはいえ「香草亭」が完成する。板戸を外し、開放的なスペースにテーブルと椅子を設置。有り合わせの家具をカウンター代わりに配置しただけの、本当に小さな店舗だ。しかし、どことなく温かみを感じさせる店内に、タニアは胸を張る。
満足げな表情で佇むタニアの頭をポンッと叩きながら、ジャックスは労いの言葉をかけた。
「よく頑張ったな。店舗の件と足りない設備については、俺からギルドの創設者に伝えておく。まぁ、運営については始めは手探りだろうから、困ったことがあればなんでも俺に言え」
ジャックスの言葉にタニアは室内をもう一度見回し、真剣な表情で頷いた。
「わかった。ところで、その創設者って人はここに来たりするの?」




