秘密ギルドは、お休み処!?(7)
「そう。人の噂って結構馬鹿にできないんだよ。本人には大したことじゃないと思っていても、実はものすごく重要な話だったってことあるもん。アタシのギルドは諜報専門でしょ? だから、みんなが話したくなるような場所を作れば、ギルドの役に立てるかなと思ったの」
ムスリとしたまま答えたタニアに、ジャックスは心底感心する。確かにその通りだった。人が集まる場では様々な噂が飛び交う。そしてその情報の中には、貴重で有益となるものが含まれている場合がある。
タニアのような少女が、そんなことまで考えて行動に移そうとしていたとは。
(こいつは本当に面白い)
ジャックスは思わず笑みを零した。そんなジャックスをタニアはちらりと見上げる。不安そうにチラチラとジャックスの様子を伺うさまが可愛らしくて、ジャックスは笑いを堪えることができなかった。
クックックッと笑い声を漏らすジャックスに、タニアの顔が真っ赤になる。
「な、何よ! どうせ子供の浅知恵だって思ってるんでしょ?」
ここまで考えて行動できるのなら、しっかりと見守っていれば無茶もしないだろう。
そう思ったからこそ、ジャックスは素直に頭を下げた。
「いいや。思ってない。お前なりに考えがあってのことだったんだな。すまなかった。頭ごなしに否定してしまって」
ジャックスに謝られたタニアは、少しバツが悪そうに顔を背ける。そして、不満そうに口を尖らせた。
「でも、食堂も酒場もダメなんでしょ?」
ジャックスは苦笑いを浮かべたまま頷く。
「まぁなぁ。そればっかりは……。やはりお前の身の安全を考えると、賛成はできん。だが、情報が集まる場所を作るという考えは悪くないんじゃないか?」
ジャックスの言葉に、タニアの表情がパッと明るくなった。
「ほ、ホント? アタシの考え、間違ってない?」
ジャックスは大きく頷いてみせた。
「ああ、方向性は悪くないと思うぞ。ただ、お前のギルドは危険と隣り合わせでもある。だから、自分の身を危険に晒すような場所は作るべきではない。わかるな?」
ジャックスの言葉にタニアは素直に頷いた。それからタニアはしばらくの間、何か考え込んでいるようだった。そして、突然パッと顔を上げたかと思うと、ジャックスに尋ねた。
「オジサンが心配しているのは、食堂や酒場でガラの悪い人たちに絡まれたらってことだよね?」
「それだけじゃないが、まぁ、それも心配の1つだ」
ジャックスの言葉に、タニアは自信に満ちた顔をする。




