秘密ギルドは、お休み処!?(5)
ジャックスは視線を戻しタニアを見た。彼女はどうだとばかりに胸を張っている。その様子は年相応の無邪気なものだ。自分のやろうとしていることは、決して間違っていないと信じて疑わない。ジャックスはガシガシと頭を掻いた。そして、溜息混じりに一言言う。
「開放的になったからと言っても、ダメなもんはダメだ」
ジャックスのそっけない反応に、タニアはムッとする。
「どうしてよ? ギルドのことはまだ何も決まっていないから、アタシの好きなようにしていいって、オジサン言ったよね?」
ジャックスはタニアの言葉に頷く。だが、すぐに首を横に振った。
「ああ、言った。言ったが、酒場はダメだ」
タニアはキッとジャックスを睨みつけた。
「はぁ? 意味わかんない! いいとか悪いとか、それってオジサンに言う権利ある? オジサン、ギルドの人じゃないんでしょ? 部外者が口を出さないでくれる?」
確かにタニアの言う通り、ジャックスはギルドの人間ではない。だが、全くの無関係とも言えない。
「俺は、お前をギルドに入れた責任がある。お前の就労状況を把握し、適正がないと判断すれば、俺の権限でお前の就労を取り消すこともできる」
ジャックスの静かな物言いに、タニアは不貞腐れたように顔を背けた。その表情には納得がいっていないことが表れている。
「何それ。脅し?」
ジャックスは、そんなタニアに諭すように話しかけた。
「お前がどう受け取ろうが、俺にはお前の就労状況に責任がある。ただでさえ普通のギルドとは違うんだ。危険もあるかもしれん。そんな場所で、さらにリスクを高めるようなことはさせられん」
タニアはそれ以上の反論をしなかった。ジャックスの言わんとしていることを理解したのだろう。
タニアは頭のいい子だとジャックスは思う。見習い学校を出ていないため、礼儀作法は身についていないようだが、頭の回転は決して悪くない。
まだ十五歳。夢や希望に溢れている年頃だ。できることなら、やりたいという前向きな気持ちを無下にはしたくない。だが、ここは就労斡旋所の所長として、きっちりと言い聞かせなければならないとジャックスは思う。
ジャックスは諭すように、ゆっくりとした口調でタニアに語りかける。
「そもそも、お前一人じゃ酒場の切り盛りなんてできやしないだろう? ギルドの受付だって、ただ座ってりゃいいってもんじゃないんだぞ。そういうことはちゃんとわかっているのか?」
ジャックスの正論にタニアはうなだれる。




