秘密ギルドは、お休み処!?(2)
だが、タニアの望む道はこの方法以外には叶えられそうにない。ジャックスは、極力この少女の力になってやろうと心に誓う。
そして、気を取り直してタニアに声をかけようとした。だが、先に口を開いたのはタニアの方だった。
「ねぇ。オジサン。アタシの仕事が正式に決まったのなら、これからのことについて、いろいろと聞きたいんだけど」
好奇心を瞳に宿したタニアは、身を乗り出すようにしてジャックスに問いかける。ジャックスはそんなタニアの勢いに圧倒され、苦笑いを浮かべたが、すぐに仕事モードに切り替える。
「俺も、その話をしなきゃならんと思ってここへ来た」
ジャックスがそう言うと、タニアの顔がパッと輝いた。そして、早く話したいというように、ソワソワと自宅の方へ視線をやる。
「じゃあさ、とりあえずウチに入ろうよ。オジサンにちょっと見てもらいたい物もあるし」
タニアは手招きをし、ジャックスを自宅へ招き入れる。誘われるままにタニアの後を追って家に入ったジャックスは、一歩踏み入れたところで足を止めた。
「おいおい! どうしたんだ、これは?」
ジャックスが声を上げる。無理もない。タニアの家の中には食器が溢れていた。ソファの上にもテーブルの上にも、食器が所狭しと広げられている。一人暮らしには必要ないほどにカップや小さなポット、木皿やカトラリー、様々な調理器具が並べられているのだ。
「え? 必要かなと思って。昨日あれからいろんなところへ行って貰ってきたんだ。どこの家もさ、古い食器なら構わないよって気前よくくれてさー。助かったよ」
まるで当然のようなタニアの物言いに、ジャックスは眉をひそめた。
「何でこんなに食器が要るんだ?」
ジャックスの質問にタニアはニンマリと笑みを浮かべる。そして、高らかに宣言した。
「そんなの、ここがギルド拠点になるからに決まってるじゃん!」
タニアの言葉に、ジャックスは開いた口がふさがらなかった。呆然とする彼に構うことなくタニアは続ける。
「ギルド拠点なら、食堂や酒場のスペースが必要でしょ」
自慢げな表情のタニアとは対照的に、ジャックスは呆れた表情を隠そうともせず溜息をつく。
「何で必要なんだ?」
「え、だって」
ジャックスの端的な指摘にタニアは一瞬戸惑ったが、すぐに反論を開始する。
「だって、ギルド拠点ってそういう所でしょ? みんながワイワイとお酒を酌み交わしたり、情報交換したり」
ジャックスはタニアの言葉にやれやれと首を振る。




