表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アタシはギルドの受付嬢。でも、なんかちょっと違くない?  作者: 田古 みゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/31

アタシ、ギルド嬢になる!(10)

 途端に顔を輝かせたタニアにジャックスは苦笑する。


「そうか。なら、このギルドで働くか?」


 ジャックスの言葉にタニアは満面の笑みを浮かべる。そして、カウンターに並べられた書類を手に取った。


「うん! アタシ、やる! この情報ギルド(仮)の受付嬢になる!」

「わかった。それじゃあ、創設者にはギルドの受付が見つかったと連絡しておく」


 ジャックスは書類の中から一枚の羊皮紙を抜き出すと、タニアに差し出した。


「お前は見習い学校を出ていないから、身分の証明書を持っていないだろ。だから、これに必要事項を記入してくれ」


 タニアはそれを受け取ると、羊皮紙に書かれていることを目で追っていった。どうやら、身上書のようだ。タニアは羊皮紙にペンを走らせた。タニアは学校には通っていなかったが、ノルダに読み書きと算術を習っていたので、簡単なことくらいなら書くことができた。タニアが記入を終えて羊皮紙をジャックスに返すと、彼はそれに目を通した。


「タニア・ミルコット。十五歳。学歴なし。職歴なし。家族は、父母……現在は行方不明。兄弟は?」

「いない」

「そうか。まぁ、一人は気楽でいいけどな」


 ジャックスの言う通り一人でいる分には面倒事がなくて気楽だった。何をするにも自分次第。誰にも何も言われない。隣の家にはノルダが居ていつも世話を焼いてくれる。だから困ることもそんなにない。


 でも、とタニアは思う。時折どうしようもなく寂しいと思うことがある。両親がいてくれれば。せめて、寂しさを分かち合える兄弟でもいれば。そんな風に考えることもある。


「一人は気楽だけど、アタシはあんまり一人で家に居たくはないかな」


 タニアの呟きにジャックスはバツが悪そうに表情を曇らせた。


「……そうか。……悪い。無神経なことを言ったな」


 その反応を見て、タニアは慌てたように首を左右に振る。


「ああ、違うの。大丈夫。大丈夫だから。気にしないで。ウチ街の外れでさ、無駄に土地と家が広いから静かすぎるっていうか。時々それが寂しくなるっていうか。でも、ほんとに時々だし。オジサンの言うように、やっぱり一人は気楽でいいよ。うん」


 タニアは大丈夫だと笑った。心配されることでも、不憫がられることでもない。タニアは何でもない風を装った。しかし、それが強がりであることはジャックスにも分かっていた。


「……そうか」


 ジャックスは小さくうなずくだけだった。そんなジャックスの態度にタニアは少し切なくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ