味の審問、ツナマヨ裁判
翌日、王都アルダの中央広場。
巨大な円形の石舞台に、観衆がぎっしりと詰めかけていた。
その中央には、一人の青年。
――ユウト。
そして、その前には銀の机と……一つのおにぎり。
「……まさか人生で、“おにぎりの裁判”を受ける日が来るとはな」
リゼリア「堂々として。今日、あなたは“ツナマヨの象徴”なのです」
ユウト「いやそれが一番プレッシャーなんだって!」
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王の号令で、審問が始まった。
玉座代わりの高台に王と宰相ゼムナ。
ユウトの向かい側には、異世界の最高料理人《味導師マリオス》が立っていた。
ゼムナ「本日ここに、“神の米玉”なるものが真なる神食か、それとも民を惑わす呪食かを裁く!」
観衆「おおおおおお!」
マリオスが豪華な金鍋を持ち出す。
「我が渾身の料理、“黄金のドラゴンスープ”と比べてやろう。どちらが王に選ばれるか、明白だ!」
リゼリア「ユウト、準備を」
ユウト「って言われても……炊飯器もないし、ツナマヨ一個しか持ってきてないよ!?」
リゼリア「それで十分です。あなたの“味”を信じて」
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審問開始。
まずはマリオスのスープ。
香りだけで人々がうっとりするほど。
王がひと口飲むと、光がほとばしる。
「……見事だ」
観衆がどよめく。
次に、ユウトの番。
緊張で手が震える中、皿にツナマヨを置いた。
ユウト(……コンビニ飯が、どこまで通じるか)
「どうぞ、陛下。これは“日本の夜勤明けを支える食べ物”です」
王がひと口かじる。
沈黙。
会場全体が息を呑んだ。
やがて、王がぽつりとつぶやく。
「……あたたかい。」
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「これは……民の味だ」
「派手ではない。だが、腹に沁みる……」
「ツナの塩気と米の柔らかさ、そして――“安心”がある」
その言葉に、観衆がざわつく。
「安心……?」
「我々の王が、涙を……!?」
王の頬を、一筋の涙が伝った。
「この味に偽りはない。ユウトよ、そなたの“ツナマヨ”は真の神食である!」
観衆「おおおおおおお!!!」
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ゼムナは歯ぎしりをした。
「馬鹿な……ただの異界の食べ物が……!」
リゼリア「あなたの“味”には嘘があったのです。見た目ばかりを飾る料理では、心を満たせません」
その瞬間、風が吹き抜けた。
王都の鐘が鳴り響く。
“ツナマヨ裁判”――異世界における歴史的な日となった。
ユウト「……やっと終わった……。もう帰って寝たい……」
リゼリア「いいえ。あなたはこれから“王国公認コンビニ顧問”として働くのです!」
ユウト「地獄のシフト確定じゃん!」




