ツナマヨ、王に謁見する
王都アルダの中心、巨大な白亜の王城。
ユウトは、緊張のあまりカップラーメンのフタを3回も開け閉めしていた。
「おい、湯入れてないぞ」
「え、あ、そうだった……」
隣に立つリゼリアは呆れ顔。
「落ち着け。陛下は寛大なお方だ」
「いや、“ツナマヨの預言者”として紹介される時点で落ち着けるわけないでしょ!」
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玉座の間に入ると、空気が一変した。
天井まで届くステンドグラス、赤い絨毯。
そしてその先に、立派なひげをたくわえた王が座っている。
「汝が、“神の米玉”をもたらした者か」
「……はい、夜勤のバイトです」
「よき返答である」
王は深くうなずき、側近たちがザワつく。
「夜勤……? これは新たな神職の名か?」
「なんと謙虚な……!」
ユウト(違うんだよ、そうじゃないんだよ……!)
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だが王は真剣そのものだった。
「聞くところによれば、この“ツナマヨ”なるものは、民の心を癒やし、争いを鎮めたという」
「えっ、そんな効能ありましたっけ?」
「民の口論が止み、互いに“ツナマヨの祝福を”と声を掛け合っておる」
「……いや、それ平和ではあるけどさ……」
王は立ち上がると、臣下に命じた。
「異界の使者ユウトよ。我が国の“食文化顧問”として仕えよ」
「えっ、いや、バイトなんで!」
「報酬は、金貨三百枚」
「……え、マジで?(ちょっと心揺れる)」
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そこへ、突然扉が開く。
「お待ちください陛下!」
入ってきたのは、黒衣の男。
冷たい瞳に、黒い手袋。
「異界の食い物が王国を惑わせております。ツナマヨ信仰は危険です!」
「お前は……宰相ゼムナだな」リゼリアがつぶやく。
ゼムナはユウトを睨みつけた。
「我々の魔法学にはない力だ。“味覚で支配する”新たな呪術……。この者を野放しにしてはなりません!」
「いやいやいや! 俺ただのバイトだって!」
王は重く口を開く。
「……ならば、明日“味の審問”を行う。神か、偽りか。全てはその舌が決めるであろう。」
玉座の間が静まり返る。
リゼリアはユウトの袖を引き、囁いた。
「ユウト……覚悟を決めるのです。ツナマヨを信じる者として……!」
「なんかもう訳わかんないけど、やるしかねぇのか……」




