第1話:熱すぎる卵と魔王の城
1. 転生、そしていきなり卵!?
「え、なにこれ!? 死んだ!? いや、生きてる!?」
目を開けると、そこは石造りの広間だった。頭上には水晶のシャンデリア、目の前にはローブを着たおじいさんがニヤリと笑ってる。俺、佐藤ユウト、21歳、大学生。さっきまでコンビニでバイトしてたはずなのに…!
「ようこそ、転生者よ! この異世界で新たな人生を始めなさい!」 おじいさんがドヤ顔で言う。どうやら俺、トラックに轢かれて死に、異世界に転生したらしい。いや、トラックって! ベタすぎだろ!
周りを見ると、俺と同じ転生者らしき若者たちがキョロキョロしてる。ギャル風の女子高生、ガタイのいいサラリーマン風のおっさん、眼鏡のオタクっぽい少年。みんなくそワクワクした顔だ。
「まずはこれを受け取りなさい!」 おじいさん(たぶんギルドの受付)が、俺たちに卵を渡す。卵!? 普通のニワトリの卵よりちょっと大きくて、ほんのり光ってる。説明によると、この卵から相棒モンスターが孵化し、そいつの強さで職業やパーティが決まるらしい。希少種が出れば勇者になれるってさ。マジか、RPGみたい!
でも、俺の卵…なんか変だ。手に持つと、ジリジリ熱い。しかも、微妙に震えてる。隣のギャルが持ってる卵は普通に白くてつるっとしてるのに、俺のだけ黄身が透けて見えて…え、2つ!?
「すみませんでした! 卵、間違えました!」 おじいさんが慌てて取り替えようとするけど、俺、なぜか拒否。
「いや、この卵、なんか…気に入ったっす!」 直感でそう言っちゃった。だって、2つの黄身って、なんか特別じゃん?
おじいさんの顔が一瞬曇る。「…ふむ、双子卵か。記録にはないが…まあ、いいだろう。クエストは同じだ。ダンジョンからその卵を割らずに持ち帰りなさい!」
こうして、俺の異世界冒険が始まった。…いや、始まる前からなんかヤバい予感しかしないんだけど!
2. ダンジョン、熱い、熱すぎる!
ダンジョンに着いた。薄暗い石の通路、苔むした壁、遠くでモンスターの唸り声。転生者たちはそれぞれ卵を抱えて突き進む。ギャルは「マジ、モンスター可愛いのがいいな~!」とウキウキ。おっさんは「俺の相棒はドラゴンだ!」と鼻息荒い。俺? 卵が熱すぎてそれどころじゃない!
「うわ、熱っ! なんでこんな熱いの!?」 卵を抱えながら、汗だくで走る。しかも、時々ブルブル震える。「我は…」「我は…」って、なんか声が聞こえる!? いや、幻聴だろ、こんな卵が喋るわけ…「我は闇の支配者…」「我は光の守護者…」
「うわっ、喋った!?」 驚いて足を滑らせ、卵を落としそうになる。「頼む、割れないでくれ!」 慌ててキャッチした瞬間、近くのスライムが卵に引き寄せられるように襲ってきた。「やばい、なんで俺狙われてるの!?」
スライムをなんとか蹴散らし、進むけど、罠が次々発動。床から矢が飛んできたり、壁が閉じたり。卵を抱えてるから両手使えないし、熱くて集中できない! 他の転生者はサクサク進んでるのに、俺だけハプニングの連続。
「くそっ、なんで俺の卵だけこんな…!」 愚痴ってると、卵からまた声。「我は…」「黙れよ、喋るな!」 思わず卵にツッコミ入れる俺。…いや、卵に話しかけてる自分、ヤバくね?
3. 割れた瞬間、魔王の城へ
ついにダンジョンの出口が見えた。あと少し…! と思った瞬間、足元の石板がカチリと音を立てる。罠!? 天井から巨大な岩が落ちてきた!
「うわああ!」 咄嗟に卵を守ろうと抱きしめるけど、熱さと衝撃で手が滑り…パリン!
「やっちまった…!」
卵が割れた瞬間、目の前が真っ暗に。次の瞬間、俺は真っ赤な絨毯の広間に立ってた。目の前には黒い玉座、そこに座るのは…マジで!? デカい角とマントの、めっちゃ威圧的な魔王!
「お前、何者だ?」 魔王の声が響く。俺、震えながら答える。「え、ユウト、佐藤ユウトです…!」
床を見ると、割れた卵から2匹の小さなモンスターが這い出してきた。一匹は小さな角と尻尾の「ミニ魔王」。もう一匹は羽根が1枚だけの「チビ天使」。ミニ魔王が生意気な声で叫ぶ。「おい、人間! 俺は将来魔王になるぞ!」
「え、お前、喋るの!?」 俺が驚くと、チビ天使が気弱に囁く。「ユウト…大丈夫かな…?」
魔王が目を細める。「ふむ、双子卵だと? 伝説の…いや、ありえん。だが、光の気配は許さん!」
その瞬間、ミニ魔王が「黙れよ、ジジイ! 俺が魔王だ!」と小さな火花を飛ばす。…いや、めっちゃ弱い! 魔王のマントすら焦がせない! チビ天使が「やめなよ、ケンカになる…!」と微かなバリアを張るけど、これもめっちゃ薄い!
「弱すぎる…!」 俺が絶望してると、魔王が笑う。「魔族モンスターでなければ、兵隊にもなれん。闘技場で試練を受けろ。勝てば認める。負ければ…死だ!」
4. 闘技場、トリッキーな逆転!
闘技場に放り込まれた俺と双子モンスター。対戦相手は巨大な魔獣、牙と爪がギラギラしてる。観客の魔族たちが「人間、潰せ!」と野次る中、ミニ魔王が吠える。「おい、人間! 俺の火花を見ろ!」
「それ、めっちゃ弱いじゃん!」 俺がツッコミつつ、魔獣が突進。ミニ魔王の火花は目くらましにもならず、ピンチ! チビ天使が震えながら「ユウト、守る…!」と微かなバリアを展開。薄いけど、なんとか一撃を防ぐ。
「待て、コンボだ! 火花で目くらまし、バリアで守れ!」 俺の指示で、ミニ魔王が連射、チビ天使がバリア連発。魔獣の動きが鈍り、ミニ魔王が「くらえ!」と尻尾で魔獣の目をチクチク攻撃。地味だけど、スピードで翻弄!
観客がどよめく中、魔獣が倒れる。魔王が一瞬驚くが、「光の気配は許さん!」と再転送の魔法を放つ。「次は失敗するな、人間!」
5. ギルドへの帰還と新たな決意
目を開けると、ギルドの広間。転生者たちが孵化したモンスターを自慢してる。ギャルは「見て、超カワイイ鳥!」、おっさんは「俺のゴーレム、最高!」と盛り上がる中、俺はミニ魔王とチビ天使を抱えてボロボロ。
「おい、人間! 次は俺が魔王になるからな!」 ミニ魔王が生意気。チビ天使が「ユウト、ケガしてる…」と心配そう。ギルドのおじいさんが眉をひそめる。「双子卵…? 記録にないな。職業不明、だ。」
他の転生者から「魔王の気配がする!」と疑いの目。孤立感の中、俺は拳を握る。「この双子モンスター…絶対強くしてみせる!」
遠くで、銀髪の少年レオンがユニコーンを連れて微笑む。「ユウト、昔みたいに頑張れよ。」 …え、昔? なんだその因縁!?
(第1話 完)