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9話 魔道具の制約


「…何をしている。試合は終わったはずだが」


ギルド長!いいところに


「…いや、なんでも。…用も済んだんで俺はモーヴに帰ります。…ジーフの旦那、またな」


ギルド長の登場でなんとか修羅場は避けられた

流石にギルド長にまで喧嘩を売る気はないらしい。

…十分失礼な態度ではあるが。


じゃ、っとグレンは重い空気だけを置いて去っていく

ギルド長もグレンの態度には手を焼いたのか眉間にシワを寄せながらその背中を見送ってはぁ…とため息をついた


ミストレイの仏頂面は父親譲りのようだ


「…父様、あいつ処罰しなくていいのですか」


「馬鹿者。他国の冒険者を勝手に我々が処罰したらモーヴの貴族に何を言われるか…」


ギルド長でも、他国の貴重な高ランク冒険者をどうこうは出来ないみたいだ


モーヴの冒険者は実力によってランク変動もあってか、上位ランクは貴族に近い扱いを受けられると聞いたことがある


それゆえの自信と度胸、ということなんだろうか

なんにせよ、肝が冷えた


「あの、なぜモーヴのAランク冒険者がここに…?」


「…異世界人の召喚に成功したと聞いて急いでモーヴの貴族が寄越した偵察だ。丁度いいので試験に使ったが、あの調子では向こうの貴族も大した情報を報告されまい」


偵察…

異世界からの召喚は、他国の貴族まで注目するほどの事なのか…

ドライアドにいる限りないとは思うが、今後他国の貴族からも狙われるかもしれない…

気を付けないと…


…そういえば、そのリーファは今回はやけに大人しい


リーファに目線を向ける前にギルド長に呼び止められる


「それよりも、ジーフ。お前に再び冒険者としての資格が与える」


コンコンと右足で軽く地面を叩かれる

跪け、と言うことだ

左拳を地面につき、命令通り跪く


『癒しを』


腕の痛みが引いていく


「ドライアドの攻略。必ず成し遂げるように。」


そう言い残すとギルド長は去っていった


傷のあった腕はすっかり治り、

傷の代わりに冒険者の証である木の蔓のような魔法の刺青が腕を一周している


戻ってきたんだ、冒険者に


「なんか、貴族も冒険者も複雑そうだね」


ギルド長の姿が見えなくなると

リーファがこそっと囁く

そして傷の治った俺の腕を見てよかったと呟いて、続ける


「ねえ、私はスキルを使えないの?」


え?スキルを?

もしかしてそれをずっと考えていたんだろうか

そういえば、スキルの話を軽くした時もマンガ?がどうのと興奮していたな…

今はそんな感じではなさしうだが。


「スキルはスキル適性がないと無理ですよ…魔石奴隷に適性はないですし」


元々魔石奴隷として召喚されたリーファにその適性はないだろう。


「そう…じゃあ魔道具は?魔道具も使えないの?魔石が埋め込まれてたら魔力がなくても、魔法が使えなくても使えるんでしょ?」


「それは…」


使えない…んだろうか

そんな発想はなかった

魔石が魔石を使うみたいなものだし

でも俺との契約やビスとの契約の時も魔道具は問題なく使えていたならあるいは…?


「無理だな」


俺が口ごもっているとミストレイがそういい放つ


「そ、そうなんですか?」


「確かに魔道具は魔力がない者でも使える。が、あくまでも“魔力がない”から使えるのだ。中途半端に“魔力だけある”魔石奴隷が無理に発動させると魔石の魔力と自身の魔力が暴発して吹き飛ぶと思うが…試すか?」


リーファの顔が青ざめてぶんぶんと首をふる

魔道具にそんな制約があったのか


「で、でもじゃあビスや俺との契約は…あれも魔道具でしたよ」


暴発なんてしなかった

ミストレイが訝しげな顔をする。


「…知らないで契約したのか。魔法契約というのは特殊で、他の魔道具と違って“契約の為の魔道具”は逆に、“魔力を持っている者”にしか使えない。つまりは、魔石奴隷を使役する為のものだ。…本来はギルドが管理しているが、それがなぜ報酬としてお前に渡ったのか…」


このリングが、魔石奴隷を使役する為のもの…?


確かに、これを報酬としてもらった時、主従契約のリングなんていつ使うんだと思っていたが…


もしかして____


鼓動が大きくなる。

何か重大なミスを思い出したような、嫌な感覚


「…そうゆう、事だったのか…」

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