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8話 試験


____冒険者ギルド_____


「では、これより冒険者資格取得の試験を始める。」


「………へ?」


試験!?

ミストレイの移動魔法でギルドに着くなり、受付嬢に書類を急かされ、ギルド長に連れられ…


今、目の前の立派な鎧を纏い質の良さそうな長剣を持った見覚えのない冒険者と対峙してい__


「はじめっ!」


カンッ__…


ちょっ!


間一髪腰のナイフと受付で借りた安っぽい盾のお陰でなんとか初手は防いだ


切り込みが早くて重い!

あんなに重装備なのに…この人もしかして…!


「どうした!いくら魔石奴隷の魔力が使えるからってボーッとしてて勝てる相手じゃないぞ!俺はぁ!!」


大振り

これは無理だ!


『神速っ』


__ガッ


大振りの剣が地面に叩きつけられる鈍い音

それでも避けきれなかったのか腕に痛みと熱が走る


スキルを使って避けなければ何の防具も身に付けていない俺の身体は…


どくどくと全身に血液が巡る

思い出してきた…この感覚…

ダンジョンで何度も体験した死を隣に感じる緊張感

頭で忘れているつもりでも身体はしっかり覚えているようだ


「…いい構えになったな。ようやくやる気になったか!」


また来た!素早い切り込み

多分、彼と俺のスキルは同じだ。

だから、辛うじて目は追えるが…

大剣とナイフではまともに受けても勝ち目はない


こうゆう時は


キィィイイイン__


受け流して、詰め寄る、心臓…は鎧で守られているから狙うは


__ドッ


「うぐっ」


安い盾でも急所にぶつければそれなりのダメージになる

これがナイフだったら…


試験、というならばここで終了だと思うんだけど…


「__っ!『魔剣、炎』」


魔道のスキル…!


剣に炎が纏わりついていく


魔道のスキルに俺と同じスピードスキル…やっぱりこの人


「__そこまで。」


ミスレイの声が響いた

相手の戦闘態勢が解かれて炎が縮まっていく

よかった、あれを打ち込まれたら『鉄壁』のスキルを使ってもこの安い盾じゃ防ぎきれなかったはずだ


「ジーフ!大丈夫!?」


リーファ!?

振り向くと心配そうに見上げる夜空の瞳


「う、後ろにいたんですか!?」


観覧席にミストレイと一緒に居たはずじゃ…!?


「ミストレイ様から聞いたの。スキルを使うには私の魔力がいるんでしょ?近くに居た方がいいと思って」


よく見ればとても疲れた顔のミストレイが後ろに

きっと制止を無視して来たんだろう


「それよりもすごい血が…!大丈夫…なの?」


腕の傷を見て慌てている。

自分が傷ついたわけではないのに

…そういえば妹の事が分かった時もそうだった。


「…見た目ほどひどくはないですから、リーファの方こそ体は大丈夫ですか?」


「?うん」


『神速』のスキル技はかなり魔石、つまりは魔力を消費するのだが、それでも何ともないとなると流石貴族が召喚してまで欲しがる程の魔力量らしい


「いや~旦那強いな~!」


「だ、旦那…?」


俺の事か…?


話しかけて来たのは先ほどまで試合をしていた冒険者


立ち合い中はそれどころではなかったが、

よく見れば俺よりも若く見える。

燃えるような赤い髪が特徴的だ


にしても、俺は旦那と呼ばれるほど老けて見えるんだろうか…まだ22なのに…


「グレンだ、魔石奴隷がいるとはいえ、まさかBランクにこんな早く負けるとは思わなかったぜ、あんた結構手練れだろ」


「いえ、そんな。ジーフです。あの、まさかBランクにって事はグレンさんはやっぱり__」


「おう!Aランクよ!」


食いぎみだな…


まあAランクともなれば自慢したくもなるだろう。


スキルが2つあるだけでも貴重なのに、それが俺と違ってスキル適性までいいとなると、国を背負う冒険者と言っていい。


それにしてもドライアドのAランクは把握していたつもりだけど、グレンは俺が冒険者資格を剥奪された後になったのだろうか

それに気になるの事がもう一つ。


「Bランクには惜しいぜジーフの旦那、スキル相性が悪かったんだろうが、ドライアドにはランク更新はないんだったよな?」


ドライアドには…?


「…ドライアドでランクが変わる事はない。」


ミストレイが割って入る。

少しイラついているようだ。


気になること、それはこれだ。

冒険者なら貴族に、ましてやギルド長の息子に挨拶をすっとばして俺に話しかけるなんて失礼はしない…


もしかして俺の体に隠れてミストレイの姿が見えてなかった!?


「…私たちに無駄話をしている暇はない。ジーフ、急ぎなさい」


だが、ミストレイがグレンの前に出ても、彼は頭を下げるどころか、敵対心むき出しの鋭い眼光を向ける


これは、怪しい雰囲気になってきた…


「…若いな。最近お披露目されたドライアドの貴族ってのはあんたか。なあ、ドライアドの新人貴族さん、あんたはここのランク制度おかしいと思わないのか?」


「ちょっ…グレンさん!」


貴族に対してそんな口の聞き方…!


ちらりと見るとやはりミストレイも眉間にシワを寄せている


「貴族に意見するとは、モーヴの冒険者は躾がなっていないようだな」


「そういうドライアドのお貴族様は才のある冒険者をランクで押さえつけて、自分達の地位を守るのに必死なんだな」


グレンはモーヴの冒険者だったのか

どうりで知らないわけだ


…ってそんな事のんきに考えている状況ではなさそうだ


グレンは貴族であるミストレイに喧嘩を売っているし


ミストレイも今にも処刑だと言いかねない冷たい表情をしている


かといって俺が口を出せる雰囲気じゃない


リーファは…なんか別の事を考えているようだ。




どうすれば…

~人物紹介あとがき~


ジーフ 年齢22歳


ドライアド出身の冒険者。

冒険者ランクはB

スキル系統はスピードと防御。


身長は190cmの大柄。

体格のわりに性格は穏やかで、年齢立場関係なく敬語を使う。押しに弱い。

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