表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/59

5話 貴族との交渉1

「開けなさい、ここに我々の召喚した異世界人が居るはずだ」


結局主従契約の詳しい内容も交渉の説明もリーファにはする時間がなかった


それにしてもアオバ…今はリーファか。

状況が状況だったとはいえ、彼女はよくさっき会ったばかりの俺なんかと主従契約してくれたものだ。


「…今、開けます。」


おかげで貴族達が来る前に対策は出来たけど

……この無防備さは危うい。俺がしっかりしないと。


意を決して扉を開けるとやはり貴族が数人…

2…3……5人いる

中年以上が多い中、随分若いのもいる。ドライアドの貴族は10数人程度だからこれでも大所帯でのお迎えだ


「…お前は、どこかで」


その内の一人は面識がある

見た目は40代、深海のような濃く青い髪は流れるように伸びて膝ほどの長さでせき止められるように結ばれている

目は相変わらず深海より深く冷たい


「お久しぶりです…ジーフです、元Bランク冒険者の…」


彼はかつて”俺が冒険者をしていた頃”のギルド長

名前はミレイン

ギルド長は一瞬眉間にシワを寄せて思い出したのか更に険しい顔であぁ君かと短く呟いた


横から説明を求める視線を感じる。

そういえば結局俺が冒険者をしていた事は言っていなかったんだった…


「…一応聞こう、その魔石奴隷を渡す気は?」


「ないです…」


「…だろうな」


ギルド長が更に深いため息を吐き、しばらく沈黙が流れる

来たのが顔見知りの貴族でよかった

貴族に逆らった時点で武力行使に移られてもおかしくないのに、そうでなかったのはギルド長が俺に情があるから…


などではなく、冒険者時代の功績やスキルなどを知っているからだ

もちろん、報酬で何を得たのかも


「…ご提案があります」


「…言ってみなさい」


険しい顔のままのギルド長の目線まで左手を前に出す。

リングを見せるためだ。

これだけでギルドを管理している彼は言いたいことが理解できただろうが、後ろの数人は顔を見合わせている


ただその中で一人、肩まで揃ったくすんだ水色の髪の青年だけ、ギルド長と同じ表情をしてる。

彼も見たことがあるような、でもどこでだったか…


それよりも、交渉だ

後ろの数人の貴族達、と、さっきから痛いほどの目線を向けるリーファにも分かるよう説明しておこう


「これは俺が最後の依頼でもらった報酬の魔道具です。

…効果は対のリング保持者への服従、主従契約が結べるというもので__それを先ほどこの異世界人と結びました」


ざわっと貴族達が騒ぎ出す

少し攻撃的な雰囲気だ

ここで怯んではいけない、誰かが動き出す前に続ける


「…ギルド長ならご存知ですよね。主従契約は主となる者が死ねば従者も死にます。」


「えっ」


隣から更に熱い視線を感じる、が、無視する


「そして、主は彼女、リーファが。俺は従者の契約を結びました」


「??逆じゃなくて?」


逆じゃなくて


「つまり、彼女を殺せば俺は死にますが、逆に殺さなければ俺は俺自身が死ぬまで彼女を守ります…彼女の膨大な魔力を使って、全力で」


ざわざわと動揺が広がり始める

微動だにしないのは目の前のギルド長と後ろの青年だけ


「…だから、リーファを貴族の元に連れていくのは諦めてほしいんです…もちろん、リーファの魔力の代わりも考えてあります…ただ__」


少し沈黙


「それにはギルド長にお願いがあるんですが」


「…聞こう」


「俺を冒険者に戻して下さい、俺がリーファとドライアドを攻略して彼女に代わる魔石を取ってきます…!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ