1話 妖精を見つけた日
この物語は“異世界転移してきた側”ではなく、“異世界側”の主人公視点で進みます
あの日、俺は妖精を見つけた__
______…
「う~ん…ここもやられたか…ビス、そっちはどうだ?」
町からも村からも離れた森の奥で
薬草なんかを育てながら俺とビスは暮らしている
元は近くの村出身だったが、まあいろいろあり村には居づらいので、今は用心棒の仕事があればたまに行く程度だ
グルル…
ビスは唸りながらフンッと鼻を鳴らした
だめだったという仕草だ
今は畑の収穫時期なのだが、毎度畑荒らしをしにくる魔物や獣が出てくる
昨晩も一つやられたらしく
ポーションに使う薬草畑を囲う柵が一部破られていた
「薬草狙いってことは魔物かな…最近多いな…」
__ビュンッ
「うわっ」
突然すごい風が襲う
ビスの灰色とも銀色ともとれる少し長い毛が一斉に後ろへ整列する
俺は突風と共に向かってくる木屑なんかを避けようと顔を背ける、が、ビスは一点空を見たまま動かない
何かあるのか?
目線を追って空を見上げる
ブォン…ブォンブォン
「なっ…!!?」
なんだ?魔方陣?でっかい!!
空が全て隠れるんじゃないかってくらい大きな魔方陣が3つ、重なるように浮かんでは
_____…
消えた…
「なんだったんだ…」
タタッ…__
「あ!おいビス?」
__その日の事を俺は忘れないと思う
突然走り出した相棒を追いかけ俺はそこで…
「ん~…」
「__っ!?」
「え、どこ、ここ…」
妖精を見つけた