part13
輝の手によって召喚され、再び合流することに成功した4人。
「さて、これからだけど」
「そういえば、こっちでは今何年なの?」
「ん?ああ、西暦2074年だよ」
「50年後!?じゃあ私の知り合いはもう…?」
「御神楽くんとか姫芽…御門さんは元気だったよ」
「え、御神楽くんまだ元気なの?じゃあ八坂ちゃんは?」
「彼女も元気だよ。もう2人とも年寄りだけどね」
「御門さんはまあ、エルフだし元気か」
「そうだね。さて、みんなの戸籍とか色々考えないとだし、御神楽くんに連絡しよう。あと姫芽さんにも」
「姫芽さん?輝あんたいつの間に御門さんのこと名前で呼ぶようになったのよ?」
「あーまあ、最近?」
「ふーん?」
輝は逃げるように魔導式連絡機(魔力で使える電話のようなもの)を手に取り、起動する。
「あーあー、御神楽くん聞こえるかい?」
『おお、勇呀さん。どうしたんですか?』
「単刀直入に言うよ。澪や梓たちが来た」
『………はい?』
「それ以上説明できないから、とりあえずそっち行くね。福岡支部にいるでしょ?」
『ちょ、確かにいますけど』ブツッ
そう言って通話を一方的に終わらせた輝。
「さ、行こうか」
「いや、どう考えても御神楽くん困惑してたでしょ」
「細かいことは気にしない〜」
「あ、ちょ、待ちなさい!」
──────────────
「なるほど…確かに疾風迅雷の皆さんですな」
「そうだな。私もにわかには信じられないが、勇呀さんだ。私たちの常識は通じないな」
「よしよし、澪くんも可愛くなったな。ああ、昔から可愛かったよ?」
「御門さんはもう馴染んでるぞ」
「突然申し訳ないですわ…」
「いや、大丈夫です。我々にとっては、博さんがこんな少女になっていることの方が困惑していますが」
「あはは…」
「ああそうだ、澪くんに梓くん、それにメスになった博くん。ちょっとこっちに」
「メスはやめて下さいませんこと!?」
「いいからいいから。(今の日本は一夫多妻制が導入されていてね。やろうと思えばみんなで輝の嫁になれるよ)」
「「「なっ!?」」」
「ふふ、みんなで頑張ろうじゃないか」
輝以外の3人を呼び寄せ、何やら耳打ちする姫芽。それを聞いた3人は動揺し赤面する。
「みんな何話してんの?」
「いや、ただの世間話さ」
「にしてはみんなの顔が赤い気が…」
「あー、勇呀さん、話の続きなんですが」
「ああ、ごめんね御神楽くん」
輝の意識を戻す繁樹。この時、繁樹と光莉、そして姫芽はそれぞれアイコンタクトを交わしており、輝の追求を逃れた姫芽は輝に見えないように親指を立てていた。
「皆さんの正体については、勇呀さん同様隠しておきましょう。その方が波風立てずに済みますからな。それと、皆さんの武器はこちらでレプリカを製造しておきます」
「それと、皆さんの戸籍についてもこちらで何とかしておきます。それと、こちらで皆さんが同居できる物件を手配しておきますね。もちろん御門さんも含めてですよ?」
「2人ともありがとう。何から何までやって貰って悪いね」
「いえいえ、我々からの恩返しのようなものですから」
「恩返し?」
「そうですよ。覚えてらっしゃるかは分かりませんが、50年前に『咲久落』──当時は『桜花』でしたか。あそこで起きた事件を皆さんが鎮められてから、我が国でのダンジョン基準が大きく変わったんです。正確に言うと、皆さんの死が変えたと言うべきでしょうか」
「覚えてるわよ。けど、あれそんなヤバい話だったの?」
「はい。皆さんが当時戦われたモンスターは、当時目撃例の無い新種であったことが判明しています。それに、あの後調査したところ、あのダンジョンの等級が変更され、新たに第零級というカテゴリーが産まれました」
「ぜろ…?」
「まあ…簡単に言うと、当時前代未聞だったヤベーレベルのダンジョンが隠れてたってことです。だから、皆さんは現代のダンジョン基準や探索者基準ができるきっかけ、言うなれば産みの親みたいな存在なんですよ、私たちの中では」
「そうなんですの?確かにわたくし達が相対するには強すぎる気もしましたけれど…」
「そういうことがあったので、僕達は皆さんに返しても返しきれない恩と、当時の迷宮省上層部には後悔があるんです。だからこれくらいはさせて下さい」
「それならば仕方ありませんわね。けれど、後日わたくしが勝手にお返しをさせて頂きますわ。それくらいはよろしいでしょう?」
「まあ、僕たちが勝手にやってることを止めようがないよね?」
「はは、私の彼氏たちは強かだねぇ」
その後、3人の日本国籍と戸籍、物件が用意され、姫芽を含めた5人は新居での生活を始めることになった。
────────────
「引越し終わった〜」
新居への荷物の運び込みや引渡しなどの手続きが完了し、輝はソファへ座り込む。
「お疲れ様、輝。はいこれ、お茶」
「ありがとう。ズズーッ…ふう」
「なんかジジ臭いね、輝」
「うっさい」
和気藹々と談笑する輝・アヤカ・シエラの3人。見た目は女子が姦しく喋っているだけだが、何度も言うように輝は男の娘である。心もちゃんと男である。
「ようやく着替えが終わりましたわ…」
「姫様のドレスってのは大変だねぇ。どこを外せばどれが取れるのかさっぱり。まるで機械をバラしてるみたいだったよ」
「お疲れ、エリカ。お茶いる?あ、紅茶がいいかしら?」
「いえ、緑茶がいいですわ。ありがとう。ズズーッ…ほぅ」
「おばあちゃんみたい(ボソッ)」
「お、おばあちゃんじゃありませんわ!」
ぷくーっと頬を膨らませて怒るエリカ。その姿は異世界の王女ではなく、旧知の仲にしか見せないであろう少女の姿であった。
「みーおー?」
「可愛い。じゃなくて、ごめんなさい」
「まあ冗談というのは分かっていましたし、大丈夫ですわ。それよりも、輝」
「どうした?」
「この家屋、わたくしたちの部屋を設けてもまだ部屋が余ってますわよね?どうするつもりですの?」
実はこの光莉によって手配された物件、とても広いのである。以前、この豪邸を建てた富豪がいたのだが、不運なことにその者は入居を待たずして亡くなってしまい、完成した物件は早くも売物件となってしまった。
そこを光莉が繁樹と両名で買い取り、輝たちに献上(本人談)した。
そして広さであるが、まず部屋数が多い。5人の部屋をそれぞれ宛てがっても尚4部屋くらい余っているのが現状である。
「まず1部屋は夜の部屋にするとして」
「待て待てまてマテ」
「?どうしたの輝」
「いや、夜の部屋にするってどういうことだよ」
「女の子に説明させるなんて、えっち」
「なんか僕が悪く感じるからやめてもらえる?」
「まあ冗談は置いといて、要するにヤ○部屋よ」
「言うな!僕もそうかと思ってたけど言うな!」
「大丈夫ですわ輝」
「エリカ?そうだよね、そんな部屋作るなんて反対だよね」
「精力剤は常備しておきますわ!」
「大丈夫じゃねぇ!」
「あ、ちなみにこの案は私たち女子は全員賛成したからね。多数決で設置決定だよ」
「姫芽さんまで!?」
残念ながら、ここに輝の味方はいない。この場にいる1名を除いた全員はヤル気満々である。そしてそれはこれから先、増えることになる入居者も同じであることは輝は知らない──。
「合流したら思ったより時間経っててワロタ」
正直、これに関しては私もびっくりした。勇呀くんの魂が転生するのを待ってたら30年以上経ってんだもん。
「もっと早く転生させるとかできなかったんですの?」
私はそこまで全能ではないからね。いるかもしれない神様に文句は言ってくれ。
『アタシのことかい?』
あ、神様いたわそういえば。
「アルマ様に文句など言えるわけないでしょう!?」
『あのエリカの嬢ちゃんがアタシに文句を言えるように…成長さね』
「暖かい目で見られてますわ!?」
よーし、今のうちににっげろー☆
────────────────
最後までお読みいただきありがとうございます!よければいいね・コメントをいただけると嬉しいです(作者のモチベにつながります)。次回ものんびりお待ちいただければ幸いでございます。
今年は沢山の読者様に拙作をお読み頂き、ありがとうございました!なんだかんだで完結まで1年以上かかった前作を無事に完結させられ、また今作の執筆を進める事ができました。すこ〜しだけ欲を言うなら、星評価と感想が頂けたらなぁ〜チラッチラッ(笑)
それでは皆様、良いお年を〜!(次回投稿は年明け土曜日を予定しています)




