part10
福岡第4ダンジョン『黒潮』内──
この日、輝は手に入れた(封印魔法を解いた)愛銃をもってダンジョンへと赴いていた。
「輝くんの新しい武器強いね〜」
美咲と一緒にではあるが。
「そうだね。お金も溜まったから、つい」
嘘である。本当は買ってなどいないし何ならこの状態では売っていない。しかし、
「へ〜、いい買い物したんだねぇ」
美咲は銃に疎いので知ることはなかった。
(しっかし、思った以上に馴染むな)
「あ、黄色魔結晶だ」
「やったね!」
「そうだね。…黄色かぁ(ボソッ)」
「ん?何か言った?」
「いやいや、気にしないで」
輝は自分の違和感を感じていた。それまでは白や黄色で満足していたはずだが、最近それが物足りなくなってきていた。
(成長…ではないな。どちらかと言うと、多分こいつが影響してるよなぁ)
こいつとは、愛銃のこと。愛銃を使うようになったことで、その辺りの感覚が昔に引っ張られているのかもしれない、というのが輝の見解である。
「ねえ美咲。僕がもっと上に行くって言ったらどうする?」
「どしたの急に。そうだね、私も着いていくかな」
「そう?けど大変だよ?モンスターは強くなるし」
「けど、私は輝くんと探索したいから。それも、お姫様みたいな扱いじゃなくて、隣で戦いたいよ」
「え、そ、それって…」
「にしし、なんてねっ♪」
「も、もうっ!」
「ごめんごめん。そんなに困るとは思ってなかったから」
「美咲の中の僕は一体なんなんだろうね?」
その日はそれで探索を終わり、それぞれの家に帰宅した。
その夜、美咲の家にて。
「あ〜、なんで私あんなこと言っちゃったの〜…」
ベッドの上でごろごろ転がりながら美咲は昼間の発言を思い出していた。
(輝くんの隣で、かぁ)
「まるで告白してるみたいじゃないの〜!」
はわわと転がる速度が上がる美咲。
「でも、我ながら不思議なくらいさらっと言っちゃったのよねぇ。それに輝くんも明確には断ってないし…うにゃあぁあ!」
その日は結局、転がり疲れて寝てしまう美咲であった。
一方、輝の家では。
「…眠れん」
(確実に昼間のせいだろうなぁ)
輝はぼ〜っと考えていた。
「隣で、かぁ。…そういうことだよなぁ」
昼間に美咲から言われた言葉。それは恐らく特別な意味を持つのだろうと感じた輝は簡単に忘れることは出来ずにいた。
「一夫多妻…僕はどうするべきなんだろうな」
美咲が本当に自分にそういう気持ちを持っているかは分からない。しかし、姫芽という前例から、女性のそういった発言や行動に気をつけるようになった輝は、ある程度その気持ちについて理解していた。
(御神楽君から貰ったカード…。はは、あいつらだったらなんて言うかな)
「…行ってみるか、1人で。折角自由に入れるようになったんだし」
他の武器の手入れでもしてやろう、そう考えていると眠れそうになった輝は目を閉じるのだった。
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「本当に入れたんだが」
次の日、輝は1人で博物館を訪れ、その場所にいた。
「いつ見ても変わんないな、お前らも。まあつい最近来たばっかりで言うのも変かもしれんが」
「お前らみたいに、あいつらもすぐそばに居たらどれだけいいか。なんて、願いすぎか」
気がつくと、輝は自然に動いていた。無意識に折れた澪の刀に近づき──触れた。その瞬間。
『縁とは、永遠に繋がるもの也』
という謎の声が聞こえ、刀から眩い光が発生し、部屋の全てが真っ白に染まる。
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???の世界・森の中
「はぁ、はぁ、これで──終わりっ!」
狐耳の少女が刀を振るい、妖魔を切り伏せる。
「…ふぅ」
(ついに長もやられたか)
「これで私は、孤独になった」
先程の戦いで、彼女は生き残った。しかし、生き残ったことで独りになってしまった。
(あの変態ジジイ、さっさとくたばれとは思っていたけど、いざくたばると寂しいものね)
「…これからどうしよう」
頭に浮かぶのは、懐かしい顔。同じ世界に、同じ時代にいるのか、そもそも転生したのかすら分からない大切な人達。
(勇呀…会いたいよ)
その時、少女の足元に白色の魔法陣が現れる。
「なっ、魔法陣!?」
今世では見たことの無い魔法陣に動揺してしまい、動けない少女。妖魔の仕業かと疑ったが、
『縁とは、永遠に繋がるもの也』
という謎の声が聞こえ、少女は不思議と動くのをやめた。そして視界が真っ白に染まり──。
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真っ白になった部屋が、その色彩を取り戻した時。輝の目の前に、1人の少女が現れた。
「おっと」
「え、誰!?」
「む?」
その少女は狐耳と尻尾が生えており、獣人であることが見てとれた。
「ここは…?私、森にいたはずなんだけど…」
周囲を見渡す少女。そして彼女は武器たちを見つける。
「え、う、嘘。なんでこれが」
震える声でそう言う少女を見て、輝はある可能性を思いついた。
「…もしかして、澪?」
「え、まさか…勇呀?」
「うん。今の僕は結城輝。どうやら勇呀の家系の遠い親戚にあたるみたい」
「へえ、まるで運命ね。っと、私も自己紹介しなきゃか。今の私はアヤカ。姓はないわ」
(ああ、この喋り方…澪だ)
「澪…」
「何よ、そんなしょぼくれちゃって」
「抱きしめてもいい?」
「…いいわよ」
「ありがとう」ギュッ
転生してからずっと探し続けていた存在に不意に出会えたことで輝の中の何かが切れ、アヤカ(澪)に抱きつく輝。抱きしめられたアヤカは表面上は澄ました顔をしているが、耳がぴこぴこと動き尻尾がぶんぶんと左右に揺れているため、自身の思っている以上に感情が出ている。
しばらく抱擁を交わした後、2人は座り込んで話していた。
「ねえ澪、アヤカ?の方がいいかな」
「勇呀…いや、輝の方が可愛いから私は輝って呼ぶわ。そうね、普段はアヤカで、4人だけの時は澪がいいかな」
「分かったよ。それにしても、まるであとの2人も来るみたいな言い方だね」
「あら、また会えるって言ったのは誰だったかしら」
「ああ…僕だったか」
ふふっと笑い合う2人。見た目は美少女が2人で百合百合しているが、輝くんは男の娘だけどちゃんとついてるのでギリ百合じゃないかもしれない。
「…ねえ澪。デリカシーないこと言っていい?」
「何よ?」
「今度もたわわなんだね」
「…おっぱい好きめ」
その後、輝は少しの間お説教された。
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「反省した?」
「はい。すみませんでした」
「2人きりとはいえ、ムードの欠片もなく言わないこと。言うならもっとムーディな時に言いなさい。…さて、私がここにいる理由だけど」
アヤカの視線の先には折れた愛刀が。
「十中八九、これだよね」
「そうよね。…あら?」
アヤカが折れた愛刀を取り上げると、アヤカが帯刀していた刀が消え、代わりに愛刀の刀身が元に戻っていた。
「何が起きたんだ?」
「分からないわ。懐かしいなって手に取ったらこうなったから」
『…主の帰還と共に、某の半身をも蘇ろうとは』
「っ、誰!?」
「どこだ!?」
突如聞こえた声に警戒する2人。その警戒の速さは、昔から鈍っていないように感じられる。
『ここよ、ここ』
「ここって…まさか、魂切?」
『かかっ、大当たりよ。ほいっと』
刀身から青白い光がフワッと現れ、それが人の形を成す。そこには、紋付袴に身を包み、後頭部で結んだ青髪を長く伸ばした美青年がいた。
『改めて名乗ろう。某は「一条蒼月魂切」、それが付喪神として自我と肉体を得た形よの。主の前世よりお仕え申していた』
「い、いつから自我を?」
『そうだな…主が死ぬ直前の頃、丁度大蛇を討伐した頃であったか』
「え、そんなに前なの!?でも私何も感じなかったけど」
『それは、当時の主に某を感じる力が無かったからであるな。今の主は、妖魔との戦いで力を得たと思われる』
「なんで知ってるのよ…」
『某の半身を蘇らせた時、刀の記憶が流れ込んでき申したからな』
「そ、そう。…待って、いつから起きてたっていうか、聞いてた?」
『それはもう、主がここに現れた時からであるな』
「じ、じゃあ輝が私のこと抱きしめたりノンデリ発言したりしたのも…?」
『うむ』
「は、恥ずかしい…」
『心配はなかろう。ここには主らと某以外おらぬし、夫婦であれば尚更よ』
「え、夫婦?」
『うむ?主らは夫婦であろう?』
「ち、違うから!今はまだそこまで行ってないだけで違うから!」
「え、今は?」
『おっと、そうであったか。かかっ、これは失礼した。なれば某は主らの恋路を見守るとしよう』
「ちょ、魂切!」
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自分から墓穴を掘ったことに後から気づいたアヤカが「うにゃああ!」となり、落ち着いた頃。
「それで、これからどうするの?」
「そうだね、梓や博も武器に触れることでこっちに召喚できるなら…」
「善は急げとも言うし、ちゃっちゃとやってしまったら?」
「そうするか」
そして輝は梓の杖に触れる──。
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???の世界・森の奥
少女は今日も魔法の研究に精を出していた。
「んー、もう少し効率上げられそう?」
その時、結界に反応があった。少女が向かうと、そこには黒龍がいた。
「また龍か」
『む、人の子か?丁度いいのじゃ、この辺りで龍をボッコボコにしておる魔女がおると聞いたのじゃが、知らぬか?』
「それは、多分私」
『なんと!貴様がか!』
「そう。それで?私と分かってどうするの?復讐?仇討ち?」
『くふふ、妾とプライドだけはいっちょ前の阿呆共を同じにするでないわ。妾はただ、龍族をボッコボコにする人の子がおると聞いて、面白そうじゃと思ってきただけじゃよ』
「ふーん。じゃ、やる?」
『話が早くて助かるのう。お手並み拝見といこうかの』
少女と黒龍の世紀の戦いが、今始まる?
『な、なんでじゃ…』
「私の勝ち。ぶい」
しばらくすると、地面に倒れ伏した黒龍と、その目の前で真顔ダブルピースをかます少女という構図が出来上がっていた。
「でも、あなたと話してると楽しい。よって、私の同居人になりなさい」
『なんでじゃ!?』
「敗者は勝者の言うことを聞くのが決まりよ」
『そんなの聞いたことないんじゃが!?』
「え、来てくれないの…?」ウルウル
『くっ…分かったのじゃ。正直妾も周りが阿呆すぎて辟易しておったのじゃ。貴様といる方が退屈しなさそうじゃしの』
こうして、少女と黒龍は謎に気が合い、同居することになりましたとさ。
輝くんやーい。
「…何?」
「え、誰?」
私はしがない作者ですよ。それよりも輝くん、アヤカちゃんのおっぱいどうよ?
「揉みたい、吸いたい、挟まれたい」
「っ、バカ!」ドカドカ
「っつぅ〜…」
な、なんで私まで…。ヒリヒリ
「輝、罰として3日間ハグ禁止!」
「…ハイ」
なお、アヤカちゃんの方が我慢できなくてその日の夜にはイチャイチャした模様。
「変なナレーション入れるなっ!」ボカッ
お、同じところを的確に…。ジンジン
「…僕が言うのもなんだけど学びなよ」
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