魔王である前に一人の男だ!
問題はどのようにして、現魔王の10分の1レベルの強者を効率よく生み出すかだ。
ヘルプに確認したところ、全てのボーナスの値は初回だけ倍になるらしいが、二回目以降は通常の値になるそうだ。
他のユーザーはボーナスを効率よく利用する事に気付く前に、初回ボーナスやWPを使い切ったりバランス良く育てる等する為、うちのような特化戦力をなかなか生み出す事が出来ないらしい。
だからこそ、存在強度100,000越えはランク15以上でないと殆どいないとの事。
成程。
キリト笑、と馬鹿にしていたが、ランク10にしてはかなり強い部類だったのか。
馬鹿にしてスマン…。
本題に戻そう。
今の所、人間→勇者→ゾンビ→吸血鬼→魔王のボーナスを連鎖させるのが最も効率が良いように思える。しかしヘルプに確認したところ、この考えには穴があった。
勇者は存在強度150以上の人間種が、魔王は存在強度300以上の魔物がなるもので、どちらもランク1毎に一体ずつという制限があるようなのだ。つまり勇者、魔王は数をそろえるのが難しい。一応、勇者や魔王の役割は世界への介入コマンドでWPを1,000使用すれば後から別の対象に移し替える事が出来るとの事。
ちなみにうちの魔王は、勇者と魔王の枠を1ずつ使用している状態であるらしい。
勇者は神聖な力に守られている為、死んでゾンビになる事はあっても、生きているうちは魔物に変化しない。という事は人間→勇者→ゾンビ→吸血鬼とボーナスを連鎖させる事は出来るわけだが、この方法だとボーナスの合計値は15倍。魔王の10分の1くらい強くする為には約17,000も存在強度を上げなければならない。WPが85,000必要である。
かなり不経済だ。
また吸血鬼の詳細を確認してみると、始祖吸血鬼が人間の血を吸えば、吸われた人間は原種吸血鬼になり、始祖吸血鬼の存在強度の10%が加算されるそうだ。原種吸血鬼が人間の血を吸えば、吸われた人間は吸血鬼になり、原種吸血鬼の存在強度の10%が加算される。
逆マルチ商法みたいな生物だな。
始祖吸血鬼が魔王にいる場合は他の吸血鬼が魔王になる事はなく、更にこの種族には寿命という概念は存在しない。
それならば、始祖吸血鬼である魔王ダイに人間の血を吸わせて原種吸血鬼にしてしまえば、お手軽簡単に寿命の無い存在強度250,000の配下を作り出せる。
この案でいこう。キリトの持つ勇者レベルの存在が、10WPの消費で生み出せるならば全く文句はない。
とりあえず、人間10人で試してみよう。
「人間を男女5人ずつ購入。」
<仮想世界システム>
人間男5:50WP
人間女5:50WP
【購入しますか?】
「購入。魔王ダイの目の前に配置。」
【人類が現れました。】
映像を確認すると、ダイの目の前に男女5人ずつ配置されている。
突如現れた人間達に驚いている様子。
あ、そうだ。
「世界への介入。その人間達は好きにして良いと魔王ダイへメッセージを送れ。」
【10WPを消費して魔王ダイへメッセージを送信しました。】
メッセージを受信したダイは、理解したようで人間達に襲い掛かる。
男は殴り殺し、女は血を吸っている。
女だけ生かすとは、なんとスケベな魔王だろうか。
まぁ…あいつも男だしな。
気持ちは分からんでもないが…。でも男だからって殺すなよ。WP勿体ないだろうが。
【人類が滅亡しました。
世界で最初の原種吸血鬼が現れました。100WPを獲得しました。
ボーナスとして初めの原種吸血鬼は存在強度が4倍に強化されます。】
「ステータス。」
<仮想世界システム>
創造神ああああ:ランク12
WP:220,490P
購入
売却
環境設定
生命の存在強度
世界へ介入
履歴
対戦モード
生命体の数:6
強者リスト 一位 魔王種始祖吸血鬼ダイ:存在強度2,491,583
二位 原種吸血鬼1:存在強度996,672
三位 原種吸血鬼2:存在強度249,168
原種吸血鬼3:存在強度249,168
原種吸血鬼4:存在強度249,168
原種吸血鬼5:存在強度249,168
確かに10%加算されている。
更にボーナスのお蔭で一人だけ四倍強い。
原種吸血鬼だけでも、今まで対戦した相手なら勝てるな…。
もっと増やそう!
そうして俺は、追加で95体の原種吸血鬼を生み出し、原種吸血鬼の数をピッタリ100体にした。
これからは俺の時代だ!
「対戦モード。ランク指定100。」
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