表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺だけの世界を作って異世界を侵略しよう!  作者: 隣のカキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/41

初めてのオフ会


 そろそろ約束の時間になる。俺がまだシステムに不慣れである為、向こうが招待してくれるそうだ。



【彼女お貸ししますから招待を受けました。承諾しますか?】


「承諾。」



 すると一瞬で視界が移り変わりる。目の前には雪原の中にぽつんと建った小さな一軒家があり、家の周りにはシロクマ達が寝そべっていた。



 緊張しながらも、玄関の扉をノックする。



「こんにちはー。」


「はーい!」



 扉の向こうから明るく返事が返ってくる。


 ガチャリと扉が開き、彼女と対面。


 彼女は一瞬驚いた表情を見せたが、笑顔で挨拶を交わす。



「初めまして。“ああああ”です。」


「いらっしゃい。“彼女お貸しします”です。寒いので、どうぞ中にお入りください。」



 家の中に招き入れられ、リビングに通された。


 キッチンから飲み物とお菓子を運んできた彼女は、お好きなものをどうぞと目の前のテーブルに置いて、対面する形でお互い椅子に腰かける。


 彼女は身長こそ低いものの、大抵の衝撃を吸収してしまいそうな程の胸部装甲を持ち、その雪のように白い肌と明るく可愛らしい笑顔で、俺を歓迎してくれている。



 こりゃモテるだろうな。


 でも、どこかで見た事があるような…?




「先程はいきなりシロクマ達を連れ去ってしまい、申し訳ありません。」



 先程のシロクマ誘拐に対して俺は頭を下げる。



「いえいえ。謝らなくても大丈夫ですよ。対戦中ですし、殺さないでくれたじゃないですか!」



 彼女は気にしないで欲しいと、わたわたと顔の前で両手を振っている。



「まさかこのゲームでシロクマ好きの人に出会えると思ってなかったので、つい嬉しくてお誘いしましたけど、ご迷惑じゃなかったですか?私テンション上がり過ぎちゃって…。」



 と彼女は恥ずかしそうにしている。



 ふと、玄関先で驚いた顔を見せた事が気になり質問した。



「さっき玄関先で驚いた表情をしていましたが、どうかしましたか?」


「ええと…。実は、“ああああ”さんが知っている方に似ていたものですから。こうしてお話してみると、益々他人のような気がしなくて。」


「ああ。それは俺も思ってました。どこかでお会いしてましたかね?」


「見たところ、同世代くらいですか?ちなみに私は23です。」


「同級生じゃないですか!俺も23ですよ。それなら敬語は無しにしませんか?」


「良いですね!」



 思わぬ共通点を見いだし会話が弾んでいく。



「じゃあ早速失礼して。ところで、俺に似た人を知ってるって言ってたけど、どんな人?」


「ちょっと恥ずかしいんだけどね。中学の頃付き合ってた人なんだ。」


 振られちゃったけどね。と少し悲し気に彼女は話す。



 なに?!


 じゃあ、彼女の好みとして俺はアリって事になるのでは?


 これは是非とも話し合わなければ!



「へ、へぇ~。そうなのか。でもこんなに素敵な人と別れちゃうなんて勿体ない事するんだね。」


「そう言われると恥ずかしいなぁ。でも当時の私は結構変な子だったから仕方ない部分があるんだ…。実は今でも好きだったりして。」


 と照れながら口にする。




 ちくしょう!




 でも、まだチャンスはあるはず!



「残念。良いなって思ってたところだったのに。」


「あ、ありがとうございます。」


 顔を赤くし俯く彼女。



「しかし全然想像つかないな…。変って、例えばどんな?」


 んー、と少し考えるような仕草を見せ、笑顔で答える。



「シロクマが好き過ぎて、毎回ぬいぐるみ持参でデートしたり…。」




 ん?




「彼との会話中、語尾にクマを付けたり…。」






 え?






「シロクマのパンツ履いてくれなきゃ嫌って言ったり…。」






 ま、まさか…。







「私とシロクマとどっちが可愛い?って聞いて困らせたり…。」



 いつの間にか、彼女の視線が俺にロックオンされている。





「いつも困らせてたな…。」



 フフフと笑いながら俺を見続けている彼女。


 このじっとりとした独特な視線には覚えがある。



「そんな私に一年も付き合ってくれた、優しい人なんだよね…。」


「そ、そうなんだ…。」



 うん。ちょっと焦ってしまったが、確かに面影がある。見れば見るほど、何故今まで気が付かなかったんだと思ってしまう。


 間違いない。当時付き合っていた、久満子くまこちゃんだ。






 うん。大丈夫だ。まだバレてない。


 いきなりだと不自然だから、ここはもう少し雑談して様子を見て帰ろう。


 よし。それが良い!

「あ、そう言えば。大五郎君の好きなカレーもあるから食べて行って!」


「ありがとう!わざわざ悪いね。」


 彼女はおもむろに立ち上がり、キッチンでカレーをよそう。


「ちゃんと、甘口にしておいたから安心してね。大五郎君。」


 彼女はにっこり笑顔で、どうぞどうぞと勧めてくる。



 学校帰りSoCo八で一緒に食べたカレーは毎回甘口だったな…。懐かしい気持ちが込み上げてくる。


 まぁ、それでも名乗らず帰るがな。




 いただきますと手を合わせ、カレーを頬張る俺を幸せそうに見ている久満子ちゃん。






 ん?



「俺のなま…」

「ところでさ、大五郎君どうして気付かないの?もしかして知らないフリしてる?」


 えは…、と続けて発言しようとした俺にかぶせてくる久満子ちゃん。







 あ…。マズイ。


 いや、大丈夫。まだ焦る時間じゃない。全日本クール大会選手権男子の部に出場すれば10位以内は確実と呼ばれたこの俺だ。


 華麗にリカバリーしてみせ…

「私、白井久満子なんだけど。気付いてて誤魔化してるよね?」




 動揺してスプーンを落としてしまった。


 静寂な室内にカーンと音が響き渡り…そして。















 涙目で俺を見つめる彼女。





 バレとるやないかい!


最後までお読み頂き有難うございます。

もし面白いと思って頂けたなら、評価やブックマークを頂けると作者のやる気が出ます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ