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#8

「くっ・・・・・・通信機能が・・・・・・停止した! でも! きっとグレンが来てくれる! みんなを連れて、きっと!」


 イブキは地球に迫る隕石に押されながらも必死になって手からサイクロンエネルギーを放出している。分解のエネルギーを最大出力で使う為、必要最低限の機能だけ残し、あとは全て分解と機体の冷却にエネルギーを回す。


(私達、清掃用アンドロイドは人類の期待を背負って、この過酷な宇宙空間でデブリの清掃をする。私達に自信を持って送り出してくれた博士達の為にも。私はその期待に応えたい)


 イブキの電子頭脳に地球の本部での過去データが再生される。自分が起動されてから宇宙に送り出されるまで、博士や研究員達に様々な言葉を掛けられた。


『君達は宇宙のゴミを無くす為に開発されたんだ』

『両手から物質をリサイクルする為のエネルギーを放出する高性能次世代機だ』

『宇宙のゴミ問題は君達の活躍に掛かっている』

『イブキβ、グレンβ。私達は君達に期待しているよ』


 イブキは過去のデータが再生される中、後ろを振り向き地球を見る。アトラスに支えられた星は青く美しく光り輝いていた。


「ちょっと! 一体どうなってるの!? あっ、もう少しで見えそう・・・・・・」


 アトラスが地球の自転でゆっくりと隕石の方に体が回転していく。目の端に何かが見え始めた。ぐぐぐっと顔を捻ると、そこには地球に対してはかなり小さい隕石だが、凄まじい破壊力を持つ飛来物が迫って来ているのが見えた。


「いやあぁぁぁぁぁぁ!! 来ないでぇーーーーーー!!」


 衝突すれば確実に地球で天変地異が起きるサイズの隕石に、アトラスは狼狽(うろた)える。かなり()()り腰気味になっていた。


《蓄積熱150%、160%。直ちに放熱冷却して下さい。後90秒後にオーバーロード。機能が停止します》


 イブキの体から警報のアラームと警告音声が流れ始めた。しかしイブキは隕石を受け止め、分解を続ける。既に両手の人工皮膚が剥がれ、剥き出しの機械の手が次第に融解、ボロボロと指が砕け始めていく。


「くっ・・・・・・このままでは・・・・・・緊急冷却作動!」


 両手から放たれるエネルギーの出力は変えずに、振袖パーツに装備された無数の微細な太陽光パネルで充電しながら、本体の冷却を開始する。アラームは鳴りやまないが、オーバーロードまでのカウント秒数は止まった。しかし隕石の勢いは止まらない。


「グレン・・・・・・・・・早く来て!」


 遂に両手の拳が砕け散った。手首からエネルギーが直接放出される。腕部の崩壊は徐々に進み、頼みの綱の振袖パーツが徐々に燃え始める。止まっていた機体温度も再び上昇を始め、彼女の視界の砂嵐が酷くなった。


「もう・・・・・・・・・限界・・・・・・・・・かも」


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