#7
「・・・・・・はっ! 一時的に機能が停止していたのか・・・・・・そうだ! 時間は!?」
停止していたグレンの機能が回復した。どうやら衝撃のショックで一時的に機能が停止していただけのようだった。グレンは意識が戻るや否や、すぐさま時間を確認した。機能が停止して十五分程、経っていた。
「現在の地点は・・・・・・だいぶ飛ばされたな。・・・・・・ん? あれは」
グレンは自分が現在どこにいるのか検索すると、区域のだいぶ端の方に飛ばされていた事が確認出来た。それと同時に、ようやく探していたアンドロイドを見つけた。廃衛星の隙間からイブキ型アンドロイドの背中が見えた。すぐさま彼女の元に急ぐ。
「イブキα! やっと見つけたぞ。グレンαはどこにいる。とにかく俺と一緒に・・・・・・」
グレンがイブキαの肩を掴む。すると彼女がスルっと力なく崩れ落ちた。
「・・・・・・なっ!?」
崩れ落ちた彼女は上半身しかなかった。完全に機能が停止し、人工皮膚や着物型の装甲も所々欠損し、内部の素体が見えている。そして彼女の残骸を見つけたポイントには、彼と同じグレン型の残骸もデブリに引っかかっていた。
「・・・・・・通信が繋がらないのも、信号が探知出来ないのも、全てそういう事だったのか」
(つまり・・・・・・最初から俺達を犠牲にして、隕石の軌道を地球から逸らすのが奴らの目的だったのか。所詮、俺達は人類からしたら使い捨ての道具にすぎないのか・・・・・・?)
グレンはデブリと化したイブキ型とグレン型の残骸を見つめる。彼の中に怒りと悲しみの感情が沸々と湧き上がってきた。
(俺達も、お前達と変わらない存在だってのかよ・・・・・・チクショウ!)
力なく漂う彼女の残骸を強く抱き締めるグレン。本来備わっていないはずの涙が彼の目から零れた。それは真珠のような粒となって、宇宙の暗闇に消えていった 。
「・・・・・・イブキ、聞こえるか? こちらグレン」
「・・・・・・・・・グレン!? 良かった、無事だった・・・・・・の、ね」
雑音混じりでグレンの通信に応えるイブキ。イブキの音声に疑問を感じたグレンはすぐにβ区域の状況を検索する。すると既にイブキが隕石と接触し、分解を始めていた事が判明した。
「ごめんね・・・・・・グレンの信号が途絶えて・・・・・・私だけでやるしかないって、思って・・・・・・」
グレンの胸の中のイブキ型の残骸が今のイブキと重なる。
(そんな・・・・・・このままじゃイブキも・・・・・・)
「待ってろ! すぐ俺も向かう!」
グレンはイブキ型の残骸を静かに離し、近くを漂うグレン型の残骸から腕をもぎ取る。
「そっち・・・・・・レン達に・・・・・・たのね・・・・・・った、待っ・・・・・・」
ブツッと音を立てて通信が途絶えた。




