第五十三話 引きこもりの兄を訪ねて
その日の朝、俺達はソージュ先生の所に行き、武術祭に参加したい旨を伝えた。
すると、彼女は何を言ってるんだコイツらは、みたいな顔をしていた。
「お前達、本当に参加する気なのか?」
俺とフランメとセリウスは頭を上下に振った。
「はぁー、確かにお前達は参加資格を持っている、だが、だからと言って別にお前達が参加する必要はないと思うが?」
「俺だって出るつもりはありませんでしたけど、クロミア生徒会長が出ろと言ってくるんで仕方なくですよ。セリウスとフランメは別ですけど」
「私はこの二人と本気で戦いたいから出たいです!」
「フランメに同じで、一度この二人とは真剣に戦ってみたかったんです」
「まったく、お前達はこの武術祭の本来の意図を分かっているのか?」
「もちろんです、ですが、今回は俺達下の学年にもチャンスが与えられたように、学園側も方針転換せざるを得ない状況だという事ですよね?」
魔族の動きが活発になってきた今だからこそ、悠長にかまけてなどいられない。
奴らに対抗する為にも、強い戦力が必要になってくる。
その人材探しが今回の武術祭の意図だと俺は思っている。
「……つまりお前達が活躍し、魔法の本当の使い方を知らしめようってことか?」
「クロミア先輩の言い分を紐解いていったら、この考えに至っただけですよ。実際、そろそろ本腰入れて改革しないとお先は真っ暗ですし……」
ん? 待てよ。
この言い方的に、ソージュ先生は何も聞かされていないのか?
事実、ソージュ先生は鋭い目線で俺を見ていた。
俺の言葉の本心を探るかのように。
ちなみにセリウスとフランメは、俺が何を話しているのかは理解できてない。
「なるほど、それであいつはお前に打診したというわけか。まったく我儘気随な奴だ、学園側の考えなど気にもしていない。だが、何となくあいつの考えている事が分かった」
そう言ってフッと笑った。
学園側の考えを無視した行動だが、どこか嬉しそうでもあった。
「あいつは、お前達が武術祭に参加する事でこの学園、延いてはこの世界に広まっている魔法の概念を改めるきっかけにしようと、そう言う事なんだな」
「恐らくそうだと、俺は思ってますよ」
「クロミア、いや、あいつの父親の差金か?」
「うん? 何か言いましたか?」
「いや、こちらの話だ。とにかく、お前達の参加の件は私が受理した。当日まで鍛錬に励むといい」
こうして、俺達は武術祭に無事エントリーする事ができた。
「ねえ、さっきの話ってどう言う事なの?」
「クロミア生徒会長がどうとか言っていたが、一体何の話なんだ?」
「ああ、その事ね。実は———…」
俺は昨日、クロミア先輩に武術祭の参加を打診された事。
その時の彼女の話を総合し、彼女がなぜ俺を参加させたがったのかの俺の考えを二人に話した。
「……なるほど、つまり俺たちが今練習している魔法の使い方を、みんなの前で披露してほしいと言うのが彼女の狙いというわけか」
「あくまで勝手な妄想だがな」
「しかし、大まかには合っているんじゃないか?」
「どうだかな、まだ何か隠してそうな気もするけどな」
あの時の笑顔が心の中に違和感として残っている。
「とりあえず、今までみたいに手加減しなくても大丈夫って事なのね!」
「大怪我させない程度には手加減してあげてね」
フランメは何も言わなくても派手にやるだろう。
それだけでクロミア先輩の思惑に、ちょっとは貢献できるはずだ。
それで他の人達がどう言う反応を示すかが気になる所だな。
本当の魔法は、今この世界では廃れた力だから。
「武術祭まで時間があるけど、二人はどうするつもりなんだ?」
「今から君たちとは敵同士だ、毎朝の特訓はこれから自主練にさせてもらう」
「良いじゃない、それ。私も二人には負けたくないし、一緒に特訓するのはやめておくわ」
「なるほど、奇遇だな。俺もそうしたかったんだ」
実は俺には、当日まで二人に知られたくない事がある。
二人からこの提案があったのはラッキーだ。
「じゃあ、それで決まりだな」
「ええ!」
「当日は誰が勝っても恨みっこなしだからな」
こうして俺達は、各々自主トレという形で当日まで授業以外顔を合わせないようにした。
この時から俺は、今まで自分にとっての強みだった「神贈の恵与」を使わないようにする。
二人がどんな特訓をしてきたか、というのを未来視するのは不公平だからな。
二人とは真剣に戦いたい気持ちもある。
それに、今の俺にとって足りない部分を見つけるためでもあるから、時間魔法は使わないと決めていた。
それから俺達は、互いに特訓の期間に入った。
数日が経過し、学園の休日である今日、俺は街に来ていた。
街の西南の少し外れた場所に、今日の目的の所がある。
武術祭に向けて、俺の切り札的存在になるはずの物が待っている。
しばらく南の大通りを歩いていると、そこには見知った顔がいた。
店の外に置かれている物を眺めながら、何か考え込んでいる。
その姿は、側から見れば不審者に見えなくもない。
その人物に近づいて、俺は声をかける。
「こんな所で何やってんの?」
「ひゃうっ!!? ってなんだ、リーベスト君か、びっくりさせないでくださいよ」
彼女、セレニテはビックリして目を見開きながら俺を見た。
「随分真剣に何か見てるなって思ってたんだ」
「これですか? これはですね、最新型の魔導具なんです。中にはマナを含んだ魔石が入っており、その魔石に含まれているマナを媒介する事によって、この魔導具を起動し、魔法が使えない人も魔法を使えるようになる素晴らしい物なんです。以前から魔法陣による魔法の使用はありましたが、魔石を直接媒介する事でマナが少ない、もしくはマナがまったく無い人でも魔法が使えるようになるという革新的なアイデアです。これを応用すれば、普段の生活もより豊かになったり、雨が降らない地域にも水を提供出来るなど、考えをあげたらキリがないほど応用が効く物なんです! このような仕組みは本来複雑で、魔石を起動するための回路という物が中にあるはずなのですが、それが一体どういう風な仕組みなのか、すごい気になっているんですよね」
すごく早口で、こうもすらすらと話す彼女を、俺は呆気に取られながら見ていた。
やがて冷静になった彼女は、自分の行為に羞恥心が芽生えたようで、顔を真っ赤に染めたのだった。
「ち、違うんです!! これは、その、興味があるってだけで……!」
両手を大きく横に振りながら、さっきの言動を取り消そうと必死になっている。
「ふっ、好きな事は語りたくなるって気持ちは分かるから、別に気にしなくて良いよ」
実際、そう言う人は前世でも見かけた事があるからな。
良いじゃないか、自分が好きな事なんだからと俺は思っていた。
「ほ、本当? 良かった」
「俺の知らない知識だから、凄いなって思うよ」
「そ、そうかな? うへへへ」
頭の後ろに手を回し、後頭部を撫でる。
今まで見た事がないくらい、緩みまくった顔だ。
一応人前だから、そこも羞恥心を持った方がいいと思うが。
あ、ほら、通りすがりの子供連れのお母さんが変な目で見てるし。
「ママ、あの人、なんかへんだよ?」
「しっ、あんまり見てはいけません」
そんな会話は、セレニテに届いていなかった。
彼女は今も照れ笑いしながらウネウネしている。
そんなに自分の趣味を褒められて嬉しかったのだろうか。
けれど、彼女はあの戦い以降、自分の事に関して自信を持っている気がする。
この歳であれほどの戦いを経験する事は、やはり自分の中の何かが変化するのだろうか。
これも全部、あのロリババアの思惑通りっていうのがムカつくがな。
「そういえば、リーベスト君は一人でお出かけですか?」
ようやく落ち着いた彼女が質問してくる。
「ああ、今から行きたい場所があるんだ。今度の武術祭に向けた俺の秘密の物を取りに行くんだ」
「そっか、セリウス君とフランメちゃんとの真剣勝負だし、見つからないようにしているんだね」
「まあそんなところだ。あ、そうだ、この後時間が空いているなら一緒に来るか?」
「え、良いの?」
「セレニテなら大丈夫だよ。それに、今から取りに行くものはきっと、セレニテも興味が出るやつだと思うし」
「本当? それは何だかすごく気になるね!」
こうして俺達二人は、大通りから外れた路地に入り、しばらく歩いていると古い看板が立っている建物に辿り着いた。
「えっと、確かこの辺に——お、あったあった」
着いたところに立っている看板は風化や浸食によりボロボロで、建物の外装も看板と同じくらいボロボロだ。
「ここにその言っていた品があるんですか?」
セレニテは見た目に圧倒され、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「まあね、とりあえず入ろっか」
俺はドアをノックした。
中に隙間を感じる乾いた音が響いた。
しばらくすると、中からドタドタと激しい足音が聞こえ、ドアが開いた。
ギギギッと今にも外れてしまいそうな音だったが、無事に開く。
「やあ、リーベスト、よく来たね」
「お久しぶりです、マッヘン兄様」
そう、今日俺が来た所は、マッヘンが一人で仕事をしている研究所にやってきたのだった。
彼は今、王都で魔導具の開発や研究をしている。
さっきセレニテが見ていた魔導具屋さんの魔導具も彼が設計した物が置いてある。
彼がなぜここにいるのかと言うと、父親であるベルンハルトが提案したかららしい。
家に籠るのではなくもっと広い世界を見てこいと言い、今年の春から彼を、ベルンハルト領の家から王都に送ったのだ。
元々内気な彼にとって、見知らぬ土地で過ごす事は地獄のような日々だったはずだが、カールの助けもあり、今では普通に生活できているらしい。
それに、自分の好きな魔導具や魔法陣の研究に集中できるこの場所は、彼にとって落ち着くようだ。
俺もよくここに来て、彼の話し相手になったりしていた。
それに、ちょくちょく見に来ないと、彼が生きているかどうか心配になる。
それにしても、相変わらず俺の父親は息子達に厳しい。
息子全員を王都に送り出すなんて、一領主の父親なら考えない事だろう。
跡取りとして、自分の側で色々と学ばさせるはずだと思うんだけどな。
まあ可愛い子には旅をさせよ、ではないが、少しでも広い視野を持ってくれと言う事なんだろう。
それに、どうやら領主の座はまだ息子達に譲るつもりはないという意思表示なのかもな。
元気な人だ。
「兄様、また部屋が散らかってますね」
「だ、だって研究に集中していたら、部屋の事なんて気にならないし」
「はぁー、ここに来たら毎回掃除する俺の身にもなってくださいよ。それにどうせ、カール兄様も同じ事をしているんでしょう?」
「う、ごめん」
彼は研究に没頭するあまり、日常生活が疎かになりがちだ。
だから、こうして俺は部屋を掃除してあげている。
たまに、「触れるな危険」といった物が部屋に落ちていたりするので、危ない。
屋敷では、ハナ達侍女がいたので、ここまで汚くならずに済んでいた。
けど今は彼一人なので、片付ける者がおらず、大変な事になっている。
むしろ、よくここまでやってこれてるなという感じだ。
「たまには換気をして、部屋の片付けをするだけで良い気分転換になりますよ」
「そうだね、僕もそうしたいって思うんだけど、片付けをするまでが面倒で——だからいつもこうなってしまうんだ」
「そこはしっかりしてくださいよ。兄様も立派な成人なんですから」
「う、うん、ごめん」
俺がきつく言うと、彼はしおしおと萎れていった。
まったく、そんな事なら自分でやれば良いのに。
「あ、あのー」
俺達兄弟の会話に入る隙が無かったセレニテが、少しの間が出来たタイミングで声をかけてきた。
「うわ、ビックリした! え、この人、誰?」
「そうだ、紹介します、彼女はセレニテ。俺と同じ学園に通っている生徒です」
「は、初めまして、セレニテです。えっと……」
「ぼ、僕はマッヘン。一応、そこにいるリーベストの兄です」
お互いヘコヘコしながらの挨拶だった。
そういえば、二人とも初対面の人が苦手だったな。
すると、マッヘンが俺の肩に腕を回してきた。
「ちょ、ちょっとリーベスト! 君の友達が来るなんて聞いてないよ!」
「ええ、さっき偶然会ったので一緒に来てもらったんですよ」
「僕が他人との関わりが苦手って知ってるでしょ!」
「まあまあ、ここは人付き合いの練習だと思ってですね」
「無理無理無理無理!」
そう言ってドアの影に隠れた。
その様子にセレニテは呆然としている。
こりゃしばらく無理そうだな。
「とりあえず、お邪魔しますね」
ドアを必死に閉めようとする彼を引き剥がし、俺は強引に中に入って行った。
「相変わらず見事な汚部屋ですね」
中には研究資料や、道具、さらには何かの液体が入った容器が地面に散乱としている。
そんな中、俺は器用に避けながら台所に行き、お茶を淹れた。
「はい、どうぞ」
それを少し広い居間の椅子に腰掛けているセレニテに渡した。
「あ、ありがとうございます」
セレニテは俺から受け取ったお茶を一口啜った。
「!! これ、すごく美味しい!」
「だろう? お茶を美味しくするためだけに作った魔導具を使っているからな。適切な温度を保つ為に、魔石を組み込まれた回路がどうとか魔力伝導効率を一定にするために何ちゃらって前に兄様が教えてくれた」
「え!? そんな物なんてあるんですか?」
「本来はどこにも無いよ。これは兄様と作った人しか知らないから」
そう言って俺は、その魔導具を彼女に見せた。
「それって、どういう……」
「それは、リーベストが想像した通りに僕が設計して作ってもらった物だから、三人以外誰も知らない」
マッヘンが部屋の隅から説明した。
別にそんな所にいないで、こっちに来たらいいのに。
「普通、そんな物思いつく奴なんていないよ」
「そういうくだらない事でも、発明には必要な閃きになるんだから良いじゃないですか」
「それは、そうだけど……」
「それに、その発明を生かして自分で作れば、何もせず暮らせるだけのお金が手に入ると思いますけどね」
「そ、そう言うのには興味がないんだ。このまま静かに暮らしていたいし」
「あ、あの、マッヘンお兄様は魔導具の発明をしていらっしゃるのですか?」
「う、うん、そうだよ。でも、あまり他の人には知られたくないんだ。有名になったら、色々とめんどくさそうだし」
「すごいです、私、前からすごいそう言うのに興味があって、今日もさっき、魔導具のお店で最新の魔石が入った魔導具について見ていたんです」
「えっと、あれは一応僕が考えた、と言っても元はリーベストの提案から閃いたんだけど、魔石を中に埋め込んでそれを上手く機動できれば、誰でも自由に魔法が使えるかもって思ったんだ。実際に作ったのは他の人だけど」
「その話、是非詳しく聞かせてください!」
「うぇ、ええ!?」
「もっと知りたい事があるので、お願いします!」
「えーっと……」
マッヘンは俺の方をチラッと見てきた。
表情から察するに助けてくれと言う事なのだろう。
「良いじゃないですか、俺は専門外ですから、二人で仲良く語り合っててください」
「そ、そんなー!」
狼狽える兄を無視して俺はこの研究所の掃除に取り掛かった。
俺の予想からして、あの二人は仲良くなれるはずだ。
何せとても似ているからな。
俺が掃除終わる頃には彼も打ち解けているだろう。
それから一時間くらいかけて、俺はこの研究所を綺麗にし終えた。
今回は思ったよりも時間が掛からなかったな。
所々整理してあったので、ちゃんと意識はしてくれてるみたいだ。
(それとも、前にカールが来てたのかな?)
そして俺は整理を終え、居間に戻った。
「なるほど、そうすればこの魔法陣の回路が正しく繋がるんですね!」
「そう、いやー、君も面白い発想を持ってるね」
思った以上に二人は打ち解けていた。
何やら熱く語っており、入り込む余地がない。
(仕方ない、終わるまで待っておこう)
俺はお茶を淹れ、椅子に腰掛けて二人の話を黙って聞いていた。
それからさらに二時間くらいが経っただろうか。
一向に二人の話は終わる気配がなく、俺はゲンナリとしていた。
一体何をそんなに話す事があるのだろうか?
二人の得意分野は、俺には面白さがあまり分からないのだ。
窓の外を見ると、景色に赤みがかってきている。
もう夕方だ。
「そろそろ良い時間なんで、俺は帰ろうと思いますけど」
俺はもう帰りたいと思っていた。
これ以上ここにいても暇だしな。
「え、ああ、もうそんな時間なんだ」
マッヘンは話に夢中で、時間を忘れていたみたいだ。
「そうですね、まだまだ話し足りないくらいです」
セレニテは、自分の好きな事をここまで話せる人がいなかったので、だいぶ満足しているようだった。
「それはここに来てもらった甲斐があったって事だな」
同じ分野が趣味の二人だから、会えば何か起こりそうだと思っていたが、これはとんでもない化学反応を起こすかもしれないな。
「今日もありがとうね、リーベ」
「いえ、俺の方こそいつも俺の無茶に取り組んでもらってますし」
「良いんだ、僕が好きでやっている事だから。それに、セレニテちゃんは優秀な子だよ。今度一緒に研究を手伝ってもらいたいくらいだね」
「そ、そんな私なんてまだまだ」
彼女は手を横に振った。
「その、もし良ければ、これからも遊びに来てくれるかな?」
「……! はい!」
彼女はとても嬉しそうだった。
それに、マッヘンもどこか楽しそうだ。
彼も少しは成長しているんだな、と俺はこの時感じた。
「それから、リーベ、これを」
彼は自分の研究室から、袋に包んだ細長い物を取り出してきた。
「リーベスト君、それは?」
「これは、俺のアイデアを元にマッヘン兄様が設計をして、武器職人の人が作ってくれた物だよ」
袋から取り出すと、中から白銀に輝く刀身が出てきた。
「剣、にしては少し形が違うような……」
「これは刀と呼ばれる、とある地方で作られている物だよ。中には魔石が入っていて、術者のマナを魔法に変換してくれる仕組みになっているんだ。魔法を使う時に魔力を増幅させる杖みたいに、剣術に合わせて魔法を使う事が出来る物だと思ってくれれば良いかな」
「これは昔、俺が兄様に頼んで作ってもらってたんだ。時間はかかったけど、無事に武術祭に間に合って良かったよ」
「ひょっとして、これがさっきリーベスト君が言っていた秘密の物?」
「そういう事。剣術を生かしながら魔法で戦うには、魔法を撃てる剣が欲しかったんだよな。これがあれば、それを果たせそうだよ」
俺は刀をしまって、背中に背負った。
「なるほど、そんな物があっただなんて……!」
セレニテは興味津々に俺の背中にある物を見ていた。
今の所、この世界で唯一の物だから、興味が出るのも仕方がない。
「じゃあ、武術祭頑張ってね。僕は見に行かないけど、応援してるよ」
「ありがとうございます。兄様が俺の為に作ってくれたこの刀で優勝してきますよ」
こうして俺達は、マッヘンと別れ学園に戻るのだった。
「リーベスト君、今日は誘ってくれてありがとう。私、マッヘンさんに出会えてとても楽しかったです!」
「セレニテが楽しんでくれたのなら何よりだよ。君を兄様に合わせて良かった」
「はい!」
辺りはすっかり茜色に染まっている。
目の前の王城が夕日に照らされ綺麗だ。
「それにしても、魔法を使える武器って、魔剣みたいですね」
「そうだな、魔剣もすごいけど、これはそれとはまた違う性能だと思うよ」
「本当ですか!? うわー、早く見てみたいな」
「そうだな、どのみち試しに練習したいから、その時に見にくれば良いんじゃないかな?」
「そっか! その時は絶対見にいくね!」
そんな話をしながら俺達は帰路に着く。
武術祭当日まで、あと1周間に迫っていた。




