第三十三話 協力者
王国の真ん中に位置する王城。
見晴らしの良い高台に位置し、この王都の観光の目玉でもあるこの場所で一人の男が街を見下ろしていた。
「ふん、今日も暢気なゴミ共が働いてやがる」
嘲るようにその男は独り言ちた。
コンコン、と扉がノックされる。
「入れ」
「失礼します、エスピシオ王子よ」
エスピシオと呼ばれたこの男は、王国の第二王子である。
「おお、サタナスか。こんな朝早くに珍しいじゃないか」
「実は王子に渡したい物がありまして」
そう言ってサタナスは懐から小さな黒い欠片を取り出した。
「これは一体何だ?」
「それは『魔王の血』を身体に取り込んだ魔物を操るための魔導具です。我々が行動を起こした時に、王子はそれを使って魔物達の指揮官として動いてもらいたいのです」
エスピシオは様々な角度からこの魔導具を確認し、疑問に思った事を尋ねた。
「その魔物達を操るにはどうしたら良いんだ?」
「その魔導具に己のマナを注ぐだけで大丈夫です。心配いりません、きちんとあなたの指示に従ってくれますよ」
そう言われニヤリと笑った。
その顔は邪悪なオーラを放っていた。
「これを使って、俺は兄さんを越えてみせる」
そうして高笑いしているエスピシオを見てサタナスは不気味に笑った。
季節はすっかり秋めいており、外の空気がスッキリしている。
この国では前世の日本と似ていて季節がはっきり分かれている。
今は60周あるうちの46周が過ぎたところ、つまり約280日が経過した。
言うなれば10月くらいのイメージだな。
残念ながらこの学園には学祭というものがないので、学園行事としては乏しいものがある。
本当なら、もっと催し物があった方が良いんじゃないかと思っている。
まあ、面倒な準備とかがないのはそれはそれで良いんだけどな。
そんな平和な学園生活の裏で密かにこの国の危機は近づいてきている。
実は最近王都で体調不良を訴える人が増えているらしい。
それに犯罪の数もいつもより圧倒的に増えてきている。
この前カールと会った時に話してもらったが、どうやらひったくりや窃盗と言った犯罪がよく起きており、対応に追われる日々で休む暇があまり無いと嘆いていた。
この前のセレニテの件もあり、これは例のポーション事件に巻き込まれた人たちが起こしている犯罪だという事が傾向として現れているようだ。
そして、体調不良を訴える人達もその犯罪者達か、ポーションを飲んだ事がある人が殆どで、診療所も今は人が多くて捌き切れないと言っていた。
途中でジィーベン商会が全部買い取らなければ今頃どうなっていた事か。
そう考えると最悪の展開になる事だけは避けれたという事だろう。
そんなある日、俺の元へある人物が学園に訪れていた。
「やっほーリーベ、わざわざごめんね」
その人物は普段あまり見た事がない非常に畏まった格好をしていた。
今から王城に謁見に行きます、と言われてもおかしくないくらいに。
「そんな格好でどうしたんだ、グレンツェ?」
「実はこの後すごく大事な用事があって、それにリーベもついて来てほしいんだよね」
すごく大事な用事、やはりその格好が物語っているように王様のところにでも行くのだろうか?
一体何をしに?
てか、王様は今病気で寝込んでいるんじゃ?
「一つ聞きたいんだが、それは俺もその格好をしないといけないのか?」
ひょっとしてお見舞いとかなのだろうか?
正直あまりそういった堅苦しい場は苦手だ。
出来るなら参加したくないんだけどな。
「いや? リーベはそのまま来たら良いんじゃないかな?」
そう言って俺の学生服を指さした。
「そっか、なら良かった」
「ん、何か言った?」
俺は思わず思ったことが口に出ていたようだ。
学生服のままって事は多分王城に行く事はないだろう。
あそこはこの格好で行けば普通に追い出されてしまうからな。
「それだったらなんでそんな格好しているんだ?」
素直な疑問だ。
大きな商談だと言うなら俺はついて行かなくても良いからな。
それ以外に何かあるのか?
「と、り、あ、え、ず! 一緒に来てもらうよ! 逃げるのはダメだからね」
そう言って俺は腕を掴まれた。
その行為はあの日の事を思い出してしまう。
少しむず痒いな。
だがこいつはそんな事気にしている素振りはない。
そうして俺はそのまま引っ張られ道を歩いていった。
「それでどこに行くんだ? それと、その腕そろそろ話してくれないかな?」
「あ、ごめん……」
少し申し訳なさそうに腕を離した。
「場所は、とりあえず来てもらえればわかるよ」
そう言われ俺はただついて行く事しか出来なかった。
「ここって、ジィーベン商会じゃないか」
俺が連れて来られたのは見覚えのある場所だった。
「それだったら全然もったいぶらなくて良かったんじゃ?」
「えへへ、だってリーベがすごい必死に考えている姿が楽しくてつい意地悪しちゃった」
なるほど、どうやら俺が考え込んでいるのを楽しんでいたようだ。
よく人を見ているというか、頭が良いというか……。
「それで、ちゃんと楽しめたのか?」
それでも俺は怒らずにただ悪戯をした子供に接するように問いかけた。
「うん、緊張を紛らわせる事が出来たよ。この後の事を考えるとすごく緊張するからね」
ふぅーっと息を大きく吐き出した。
「でも意地悪しても怒らないリーベはやっぱり大人だなって思ったよ。さすがはその年で濃い人生を送っているだけあってすごいよね!」
「俺は別にそんな人生送りたくて生きているわけじゃないんだけどな。どうもそうはいかないみたいだ」
若干の皮肉にも聞こえたが、多分それはからかっているだけだろう。
実際何か企んでいるかのような顔で笑っている。
だがそれも裏を返せば余裕がないとも取れなくもない。
だから俺はいちいちそんな事で心を乱したりはしなかった。
商会の中に入るといつものように奥の部屋へ行き、グレンツェが転移魔法陣でヘンドラーの部屋まで案内をしてくれた。
部屋の扉を開けると、そこにはすでに人が4人ほど席に着いていた。
一人はヘンドラー、そしてサクレ王子がその前に座っている。後の二人は俺が会った事がない人だな。
「よく来たなリーベスト、とりあえずかけたまえ」
ヘンドラーは空いている椅子を指し、俺は失礼しますと断ってから席に着席する。
確かにヘンドラーとサクレ王子だけでもすごいメンツだが、他の2人からも尋常ではないオーラを感じる。
「では、呼んだ者達も集まったところだし作戦会議を始めさせてもらおう」
「ではまずこの国の現状から話もらいたい、ルカヴェリ、頼めるか?」
ルカヴェリと呼ばれた男はゆっくりと姿勢を正した。
その圧倒的威圧感がこの場にいる他の誰よりも存在感を放っている。
一目見れば子供が泣いて逃げ出すんじゃないか?
「話す前に一つだけ良いか?」
「何だろうか?」
「なぜこのような場にこんな子供なんか連れて来たんだ? どう考えても場違いだ、今すぐ帰らせたまえ」
……いきなりなんて物言いだ。
「確かに、王国軍総大将のルカヴェリさんからしたら子供でしょうが、彼は単純な戦闘力ならこの王国の中でも充分強いレベルですよ」
サクレ王子が強気な態度で物申した。
「強いといえど所詮子供は子供、この戦いでは荷が重すぎる!」
「だからって、彼の力はこの戦いで必ず必要になります。我々にとっては貴重な存在である事は間違いありません」
「ほう、あの『神聖なる導き』と呼ばれるサクレ王子もこのような子供を信用するのですね。いつの間にあなたのようなお方がただの子供に胸を預けるようになっていたのでしょうか? どうやら昔のような勢いは衰えてしまったようですね」
そう言われたサクレ王子は微笑んでいるが目は笑ってない。
やっぱり怖いなこの人。
「だがベルンハルトの子供なんだろ? なら俺は賛成だ」
サクレ王子の隣に座っていた男が口を開いた。
「ああ、ベルンハルトと君は確か昔から仲が良かったね、スレクト団長」
スレクト、この人が昔ベルンハルトと一緒に魔族と戦った人か。
こうして会うのは今日が初めてだった。
「だがそんな単純な判断で決めて良いことではないはずだが?」
ハッとバカにしたような笑みだ。
「だったら試してみたら良いだろう」
だがそんな事を意に返さずスレクトという人は言い放った。
「ほぉー、随分この子供を買っているようだが、正直呆れたよスレクト」
そう言って席を立とうとする。
その時、カチンと俺の限界を示す音がした。
「だったら、今すぐ教えて差し上げましょうか?」
場の空気がその言葉で一気に静まり返った。
「それはどういう意味かわかって言っているのか?」
立ち上がって振り返った身体を俺の方へと向き直した。
さっきまでの笑みとは打って変わって敵意を向けている。
「気に入らないんだったら付き合いますよ。時間ならまだあるんですよね?」
敢えてイラつかせるように言った。
そうしないと俺の気が済まないからだ。
「おいリーベスト、やめなさい!」
ヘンドラーが間に入ろうとする。
だがルカヴェリは構わず俺の前まで歩んできた。
「良い度胸してるな、お前」
「お褒めに頂き光栄ですね」
わざとらしく相手を立てた。
その態度が気に食わなかったらしく拳を握った。
そう言えばあの日以来俺は少し変わった。
今まではセミオートだった「未来視」が、あの「神(仮)」に会ってから勝手に発動するようになっていた。
その分自分の中のマナを消費するので勝手に魔力が無くなっていくのだけはやめてほしいんだがな。
だから今回のこの人が殴りかかってくる未来が俺の頭の中に勝手に流れ込んできたのだった。
「左からの殴打、寸止めですか」
殴りかかってくる瞬間に俺は見えた未来を口に出した。
振り抜かれた拳は俺の顔のすぐそばで風を立てて停止した。
「ほう、避けないのはただのハッタリか、それともビビって動けなかったのか?」
「いえ、殴られないという事が分かっていたからですよ」
俺は目を閉じながら興味が無さそうに言い放った。
停止させた拳を下ろしてそのまま元居た席に腰を下ろした。
「なるほど、確かに普通の学生、というわけではないようだな」
「だから言ったじゃないですか、彼は強いと」
「だが自分の目で確かめん事には信用できない性質でな、少し試すような真似をさせてもらった」
なるほど、さっきの反抗的な態度も、見下した言動も演技というわけか。
こりゃ一癖も二癖もあるおっさんだな。
どうも食えないな。
「では話を仕切り直そう、頼んだぞルカヴェリ」
「ああ。では早速だが現在王都では原因不明の病が流行っている。急な体調不良に悩まされる人が増えている、との報告が毎日数十件も来ている。これはサクレ王子曰く、以前一部で騒がれたポーションが原因との事だが、その事について王子はどう考えておられるのですか?」
「僕はそのポーションが『魔王の血』を使った物だという事を妹から聞いた。そしてそれを調べたのは妹達とそこにいるリーベストだ」
そう言って俺にアイコンタクトをしてきた。
これは俺に細かく説明をしてくれという合図だろう。
意外と面倒臭い事を押し付けてくれたな。
だがこればっかりはやるしかないか。
「まず、例のポーションですが、飲むと力が漲るとか身体が軽くなるといった事が言われていましたが、実際『魔王の血』は取り込むと人体に影響を及ぼし、初めはそう言った疲労感の軽減や力が漲るといった現象が起きるのですが、次第にその『魔王の血』が身体を侵食していき、やがて耐え切れなくなった身体は魔物に姿を変えると聞きました。ですので、今の体調不良が多くなっている原因はそのポーションを飲んだ人達の身体が侵食され始めてると考えます」
「なるほど、ではその侵食され始めた事が原因で今の現状が起きているという事か。ではそのような者たちは元に戻るかどうかだが、回復魔導士達は何か言っていたのか?」
そう言ってヘンドラーを一瞥する。
「残念ながら今の所これといった対策は聞いていない。何か手掛かりがあればとみんな頑張ってくれてはいるみたいだが……」
俺達も学園の図書館の中から色々探してはいるが、「魔王の血」に関する事が書いてある本は見つからない。
あのロリババアもはぐらかすだけだし。
「いずれにせよ全力で取り組んでいくしかないという事だろう。奴ら魔族のやり方は以前と違って狡猾になってきている、これからも気になった事や怪しい事があれば報告するようにしていくべきだな」
その後も話し合いは続いた。
俺がこの前会った魔族とその魔族と共に行動をしている人たちの存在も話した。
その時のルカヴェリの反応に苦手意識がある。
何かこう真面目で堅そうな感じがして少し話しづらい。
それに上から目線で試されている気もする。
なるべく上司にはしたくないなと思った。
「——では今日の話はこれで終わりとしよう」
長かった話し合いもようやく終わった。
ずっと座っていたから身体がダルい。
そうやって身体を上に伸ばしているとサクレ王子が俺の所まで声をかけに来た。
「今日は来てもらってありがとう、リーベスト」
俺のような学園の少年にも挨拶をしてくるあたりこの人の人となりがよく分かる。
それにしても……
「いえ自分は別に構いませんよ。ただ、あのルカヴェリさんはどうも苦手な気がしてならないのですよね」
「ああなるほど、確かに君みたいに人をじっくり見るような人にとって、彼のような性格の人が苦手だと言うのは分かる気がする」
「え? いつの間に僕の性格の癖に気付いていたんですか?」
「エクレレから一応聞いていたよ、それにこの前君に会った時に確かにそうだなって思ったんだ」
そう言って小さく笑っていた。
あの魔法オタクめ。
俺は心の中で舌打ちをした。
「それもあるのはありますけど、他にも何か食えないところがあるって言いますか、油断できない部分があるとも思っているんですよね」
何かこう、誰にも見せないようにしている本音があるかもと俺の勘が言っている。
「それはつまり彼も何か隠している事があるって事かい?」
俺が考えていた所を突いてきた。
話が早くて助かるな。
「あくまで直感ですけどね」
「まあ、彼もずっと父上に仕えてきたからそこまで心配する必要はないと思うよ。試すような人だからそう思うのもわからなくもないけどね」
確かに俺の考えすぎな面もあると思う。
苦手だと思い込んでるが故にそう邪険にしているのかもしれないしな。
杞憂で終わるならそれが一番だし。
「じゃあまた何かあれば妹にでも通して知らせておくれ」
「分かりました、今日はご苦労様でした」
一礼をし、サクレ王子は帰っていった。
既にルカヴェリも帰っていた。
「久しぶりだなベルンハルトの倅よ、あいつは元気にしているか?」
今度はスレクトさんが話しかけてくる。
「どうも、ってあれ? スレクトさんと一度どこかでお会いしましたか?」
正直自分の記憶力には自信がある。
だがそれでも、この人と会った記憶がないのだ。
何かのデタラメかとも思ったが、
「あの時はまだ生まれてすぐだったからな、実際にこうして面と向かって会うのは初めてだな」
生まれてすぐ、俺が何も分かっていなかった時かな?
言葉も視界も朧げだったあの時なら記憶がないのも納得できるな。
けどそれだったら実質初めてみたいなものじゃないか。
「そうだったのですね、覚えてなかった自分が失礼こうむったと思いました」
「はははは、すまない。それであいつはどうだ?」
「父様は今も元気にしています。引退しても日課は直らないと言って毎日トレーニングをしています」
「いかにもあいつらしいな」
「そういえばスレクトさんは昔、父様と一緒に騎士団として活躍されたと聞いています」
「その話か、もう今から20年以上も前の話だな、あの時は楽しかった。一緒に魔族と戦ったのは良い思い出だ、リヒャルトさんにも随分お世話になった」
そう言って過去を懐かしむように話してくれた。
騎士団の入団試験での話やイーデルをめぐってノインと静かに争っていたとか、また俺が知らないベルンハルトの一面を知る事ができた。
そんな彼も今や騎士団団長の強者だ。
今後の為にもしっかりコネは作っておかないとな。
「ではまた何かあれば何でも聞いてくれ」
「はい、今日はありがとうございました!」
そういてスレクトも帰っていった。
残ったのは俺とヘンドラーだけだ。
「今日はご苦労だったな。どうだ、この国のトップ連中は?」
「ハッキリと言うなら曲者だらけと言う事でしょうか。話すだけでも緊張しました」
偽らざる本音を口にした。
「正直な答えだな、その年でそこまで言えるなら大したものだよ」
彼はうっすら笑みを浮かべていた。
どうやらその気持ちは理解できるといったところみたいだ。
「だが今後の為にも会わせておきたくてな、今日ここへ来てもらった。今後対策をしていく上で彼らの力は必要になってくるからな。だが流石に疲れただろう、今日は帰ってゆっくり休みなさい」
「お気遣いありがとうございます。本当、魔族と戦う並みに疲れました」
慣れない事で気を張っていたようだ。
二人で話しているとみんなを送り終えたグレンツェが部屋に戻ってくる。
「グレン、帰ってきた所すまないがリーベストを出口まで送ってやってくれ」
「はい、分かりました」
「ごめん、何回も往復させて」
「そんな事別に気にしなくて良いよ」
案内役として対応していたこいつも疲れているはずだけどそんな事は顔に出さない。
ポーカーフェイスだな。
「では失礼します」
俺は一礼して部屋を出ていった。
「はぁー、つっっかれたー」
さっきまでと違って誰も居なくなった途端大きく息を吐いた。
やはり我慢だったのか。
「随分お疲れだな」
俺は疲れの原因を分かっていながら敢えて知らないフリをしておく。
「いや、普通に疲れるよー。よくあんな人達の前で堂々としてられるよね、リーベって本当に12歳なの?」
「普通に12歳だよ」
いや実際には12歳と28年だが。
「顔に出したら舐められるだろ? あれでも結構頑張っていたんだからな」
「僕なんて同じ空間にいるだけで緊張してたんだよ、あそこで喋るなんて無理だよ」
いつになく語気が強く感じる。
溜まっていたものを同じ年齢の俺と話す事で吐き出しているみたいだな。
「グレンツェも苦労してるな」
俺は苦笑いをした。
見送りをしてくれたグレンツェにお礼をして俺は学園に帰った。
今日も色々あって疲れたな。
まだ街は灯りが灯っており道が明るく照らされている。
改めてゆっくり見回してみると違った景色のようにも感じられる。
そうやってのんびり歩いていたが、突然ズキッと頭に電気が走った。
頭を抱えてその場にしゃがみ込む。
「何だ、今の痛みは」
痛みの原因は頭に映像が流れてきたからだが、今までの「未来視」とは少し違った。
ハッキリと、その時みた景色がそのまま大量に流れ込んできて、頭がパンクするかと思った。
「あのヤロウ」
俺はあの「神(仮)」の仕業だと思った。
あいつが余計な事をしたせいで力のコントロールが出来なくなっている。
まあでも、それは今文句を言ったところで仕方ないか。
それよりさっき流れてきた物の方が大事だ。
そこに映っていたのは、大量の屋台と人の波。
彩られたこの道を含む王都の街並み。
着飾った街の人達。
打ち上がる花火。
そしてその時起こる惨劇。
「これは、今度行われる建国祭の時の事か」
どうやら敵はそのタイミングで仕掛けてくるようだ。
建国祭まであと3周間と少し、つまり20日。
ゆっくり帰っていたが、ダッシュして急いで学園に帰っていった。




