グレイゴル アントニオ
商業都市 プレイセル
グレイゴルアントニオ伯爵 邸宅。
大都市プレイセルの中心に
一際目立つ豪華な作りの邸宅が
鉄柵に四方囲まれ、守られている。
その邸宅には
プレイセル周辺を領土とする貴族、
グレイゴル アントニオ伯が住んでいた。
その、一室にグレイゴルと、
グレイゴル護衛兼、側近の2人が
盗賊団リーダー、ウーロを迎えていた。
グレイゴルは自身の二倍ほどある
大きな椅子に深く座る。
その両隣に側近が立つ。
そしてウーロは
客用のソファに足を組み踏ん反り返るように
座っている。
そのウーロのまわりにも
手下となる盗賊が3人
ウーロの後ろに立っていた。
「して、ウーロよ。
私が言いたいことは、解っておるな?」
「あぁ。聖剣だろ?
それならガキが持って逃げたよと。
いまガキを探しているところだ。」
「それは解っている。あほか?
私が聞きたいのは、なぜ、
今も私の手に聖剣がないのか?だ。
聖剣を持ったガキの捜索は
私の優秀な部下達も追っているわ。
時期に見つけだすであろう。」
グレイゴルはウーロを
馬鹿にしたような口調で話す。
「なぜ無いか?なぜ無いのか解ってないのか?
なら教えてやる。
情報が漏れてたんだよ!
どうせ手引きさせた
3バカ騎士がへまでもこいて
襲撃が事前にばれちまったんだろ!?」
ウーロが怒りをあらわにする。
襲撃がばれずに
逃げる間を与えずに攻め込む事ができれば、
ジンを逃す事もなかったからだ。
しかし実の所、
たまたま薪を切りにでていた
バンスが盗賊を目撃し、
馬に跨り村長に知らせたためだ。
「ほう。貴様は私に落ち度があると言いたいのか?」
「ああ!おおありだね!!
しかも村に行ってみれば
とんでもないジジイがいて
仲間が何人もやられたんだ!
報酬を倍にでもしてもらわなきゃ
割りに合わねえよ!!」
バンッ!!とテーブルを手で叩き、
威嚇するウーロ。
しかしグレイゴルはふぅっとため息をついた。
そして、ブッと笑い出す。
「くはーーっはっはっ!!
お前の盗賊団は
ジジイ1人にこっぴどくやられたのか!?
これは雇う者を間違えたみたいだ。
お前らのようなジジイに
負けるような雑魚には一銭たりとも
払えないなぁ〜。」
「!!なんだと!?
契約を破る気か!?」
ウーロは村長から奪った
シルヴァンスを咄嗟に抜き、
身構えた。
それを見た盗賊達も
短剣を抜き構える。
「ほう。貴様良い剣を持っているじゃないか。」
グレイゴルはウーロの持つシルヴァンスみて
思うところがあった。
‘’あの噂は本当らしいな・・・.。’’
「よし。聖剣を手に入れられなかった詫びとして、
その剣を置いて行くが良い。
すればお前達の命だけは
助けてやろう。」
「て、てめえ、
報酬を踏み倒すわ、剣を置いてけだぁ、
許さねえ!!
お前ら!!やっちまうぞ!!」
「おう!!」
バッバッ!!
盗賊達が素早い動きで
グレイゴルに襲いかかる。
「アイゼン、やれ。」
「ああ。」
アイゼンと呼ばれた男は
自身の背中から身の丈ほどある大剣、
グレイトソードをかまえる
「むん!」
ヴォン!!っと横一線に一振り。
バラバラに飛びかかって来た
3人の盗賊を一撃で真っ二つに切った。
バタバタバタッと
盗賊達が床に落ちる。
アイゼンと呼ばれた男はグレイトソードを
背中にかけ、何事もなかったかのように
腕を組み元の位置戻る。
「なっ・・・」
ウーロは
驚き、すくみ上がっている。
「ウーロよ。その剣を置いて去れ。
そして、聖剣を持った小僧を連れてこい。
それさえ出来れば
お前は生かしといてやる。
どうする?」
グレイゴルはニヤッと笑う。
「はぁ、はぁ、はぁ、」
ウーロは恐怖で息が出来ていない。
「わかった・・・、こんな剣より・・・、
命の方が大事なんでね・・・。」
ウーロは怯えながら
コクッと頭を下げて、恐る恐る部屋から出る。
シルヴァンスをそっとテーブルに置いて。