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グラディウス•ヒストリア  作者: もんざぶ
1/60

かくれんぼ

序章 始まり

「もーいーかーい!」


「まーだだよーー!!」


「もーいーかーい!」


「もーいいーよー!!」



そよ風にあおられ、

風車の回るのどかな村には


子供達がかくれんぼをする声が

響いていた。



「よーっし!!


 絶対に今日こそは見つけてやるんだから!!」


黄金色の髪が美しい少女が

村の中を走り回る。



「おっ!ジルちゃん!今日もかくれんぼかい?」


ご近所のおばさんが

走り回る少女に声をかける。


「そーう!今日こそジンを見つけて

 私が勝つのー!!」


ジルと呼ばれた黄金色の髪の少女は

走りながらおばさんの質問に答えた。



「きをつけてねー!!

 危ないところは入っちゃだめよーー!!」


「はーい!」


この村に住む人々は

人数が少ない為、皆家族のように

助け合い暮らしていた。


とても裕福とは呼べないが、

のどかで、しあわせな村だ。



そんな小さな村で

ジルは兄のジンとかくれんぼを楽しむのが日課だ。


兄とは言っても

実の血は繋がっておらず、

戦争孤児だった2人を

村の村長が拾い育て、兄妹のように

育ったのだ。


「ジンのやつ〜、ほんとに隠れるのが

 うまいんだから〜。


 この間は、バンスおじさんの馬小屋でしょー?

 その前は井戸の中でしょー?

 その前なんてたしか、水車の中だったな!


 なんでこんなに隠れるのがうまいのよー!!」



タッタッタッ


村を見回りながら

ジルは走る。


「あっ!もしかして、あそこにはまだ隠れて

 ないかも!!」


ジルは村の真ん中にある

大きな時計台を目指して走る。



その時計台は

長針が12時を指すと、からくり時計が開き

巨大な鐘が姿を表す。


そしてその時間と同じ回数

鐘が鳴るからくり時計になっている

村の象徴だ。


当たり前に村のシンボルとなっている

時計台に隠れるわけはないと、

この場所は探しもしていなかった。


「はぁ、はぁ、ついた。」


ジルは時計台を見上げる。


するとちょうど長針が

12時を指す。


からくり時計が開き、

鐘が姿を表す。




ゴーーーーーーーーン


時刻は午後1時を指している。


「・・・あれー?

 いないのかなぁ・・・んっ?・・・!!

 

 あーっ!!いたーーーっ!!


 ジンみーつけたーー!!」


「ははっ!とうとう見つかっちゃったかー。」


ジンはニコッと笑う。


そこには見つかったくやしさより、

見つけてもらった嬉しさがまさっていたために

穏やかな笑顔を見せるジンが居た。



「やったーーー!!

 とうとう見つけちゃった!!


 ジン隠れるのがうますぎるから

 一生見つけられないと思ってたけど、


 私の粘り勝ちね!」


ジルはかくれんぼで

一度もジンを見つけることができていなかったが、

とうとうジンを見つけることが出来た。


「ほんと、ジルは諦めが悪いよな〜。


 飽きずに毎日毎日かくれんぼしよって、

 尊敬するよ。」


ジンは苦笑いをするが

ジルの成長を、うれしく思った。


「へへっ!ベルおばさんに自慢しちゃおー!


 村長にもおしえてあげなきゃ!」


「かくれんぼで

 俺を見つけただけなのに、大袈裟だろぉ」


ジンは頭をかいて

笑った。


「よし。じゃあ1時も回ったし、

 一度ご飯を食べに家に帰ろう。


 村長とお腹空かしてるだろうからな。」


「うん!村長驚くぞー!たっのしみーー!!」



2人はご飯を食べに家に戻る。


「たっだいまーー!」

「ただいまー」


「おぉ、帰ったか2人とも。

 ご飯が出来ているぞ。」


村長と奥さんのベルさんが

ご飯を用意して待ってくれていた。


「村長聞いて!聞いて!

 今日ね、とうとうジンをかくれんぼで

 見つけたんだよ!!


 なんと時計台の裏にいたんだよーーー!?」


「おお!なんと!

 ジルがとうとうジンを見つけたか!!


 すごいじゃないか!

 今日はお祝いだな!はっはっは!」


「ははっ、こんなんで喜ぶなら

 わざと見つかってあげてればよかったな。」


「違うよジン!ジンが本気で隠れてくれてるから

 私も本気で探すの!


 本気じゃなかったら

 こんなに嬉しくないよ!」


「そうね。ジルちゃんのいう通りだわ。

 何事も本気で、真剣に向き合う事が

 大事ってことよね。


 結果も大事かも知れないけど、

 過程はもっと大事なのよ。」


ベルさんが

料理を運びながら話す。


「さあ、我が妻が本気で作った料理だ!


 味はどうあれ、本気で作ったのだから

 有り難く頂くとしよう!


 いただきまーす!!」


村長は妻をからかうように

声を上げた。


「ふふっ、


 本気でぶっ飛ばしやろうか?」


奥さんの目が笑っているが

笑っていない。


その様子に気づいているはずの

村長だが、


「うまい!うまい!」


と、一心不乱に

料理を食べている。


その様子を見てジルとジンは笑っていた。




「あー、美味しかった。

 ごちそうさまでした。」


「あたしが洗うー!」


ジルは空になった食器を片付け始めた。


「ありがとうジル。


 じゃあ、わしとジンは

 食後の稽古でもするか。」


「おっし!お願いします!」



ジンは村長から

[剣技]を習っていた。


一人前の剣術士になる為に。




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