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対となれば変えられると信じて
私は決して咎無き聖人などではない
私は咎有る咎人であるとは言いきれない
私は咎のある「何者でもない"何か"」なのだ
ある人はこう言った「善行を積めば、浄土へ至れる」と
ある人はこう言った「悪行を積めば、穢土へ至る」と
そしてある人はこう言った「運は皆に平等であり、善行を積めども、悪行は消えることはない」と
それらの話を聞いた咎のある罪人は、後にこう言った
「咎を背負い、悪行を成したが、それでも善となることができるかもしれない」
これは、数多の咎と悪行を積みながらも、善行を成そうとした愚かで、何者にもなれず、ただひたすらに己を責め続けた男の話