会話文エチュード『センシャとカエル』
例のかっぽうミニ企画の返礼、第三弾です。
今回のお題は、
「出ていきなさい」で始まり、「入りなさいよ」で終わる二人の会話文。
父と幼い娘の、ほのぼのコメディです。
「出ていきなさい」
「やだよー」
「二度とパパの部屋へ入ってくるな」
「怒らないでよー」
「ああもう、いいから出ていきなさい。お前のせいで、まーた戦車の修復をやらなくちゃならんのだから」
「センシャセンシャセンシャって、パパの娘はセンシャなのー?」
「あー、うるさいなあ、もう。ママに言いつけるぞ」
「みーたんがパパの娘をぶち殺したって?」
「いい加減にしなさい」
「……わかった、出てく。(ドアのところで)二度と入ってかないから」
「いいから行きなさい。(出ていったのを確認して)ったく」
***
「ようし、終わったあ」
「(ドアを開けて)パパ……」
「おう、ミサちゃんどうした? ん、何を持ってる? それは……、それは、まさかっ」
「パパの大っ嫌いな、カエルさんだよ」
「ぎゃーっ……。あ、いって、ぶっつけたーっ。(ガシャン)あああーっ、僕の大事な戦車がーっ……」
***
「……ミサ、突っ立ってないで、このバケモンをなんとかしてくれい」
「やだよ」
「なんでだよ。お前が持ってきたんだろう」
「連れてきたんだよ」
「どっちでも……、なら早く、連れて帰ってくれよ」
「おうい、カエルさーん、ぴょんこさーん。……やだって」
「だから……、突っ立てないで」
「無理だよ。だって、パパのお部屋には入らないって決めちゃったもん」
「……」
「へへ」
「入りなさいよ」