4 団子と美少女
ドアを開けると、そこには美しい外国人の少女がいた。
オレは思わず息を呑む。
少女が窓際の机の上に腰をかけてこちらを見ている。
プラチナブロンドの輝く髪は腰に届くほど長く、白縁の眼鏡をかけている。
口に細い串を咥えているのは何故だろう。
多目的室。
赤眼鏡に連れてこられたその場所に、まさか留学生がいるとは思わなかった。
自慢じゃないが、英語は苦手だ。オレは逃げ腰になる。
「おう、連れて来たぜ」
そんなオレを無理やり教室に押し込みながら、赤眼鏡が美少女に声を投げかける。
美少女は既に眼鏡をかけているのに、何故かチェーンをつけた青縁眼鏡を首からぶら下げていた。気分で交換するのか?
観察していると、美少女が口を開いた。
「遅い。待ってる間にすっかりお団子を食べ終わってしまったじゃないの。せっかく彼にもあげようと思っていたのに!」
日本語だった。
日本語を母国語としている人がしゃべる、ばりばりの日本語の発音だ。
「え?」
「そんなわけあるか。どうせ我慢できずに食べちまっただけだろ?」
赤眼鏡が呆れたように肩をすくめる。
見ると、少女のお尻の横に広げられた包み紙の上に、何本もの細い串が散らばっている。
「その通りです。僕は一応、止めたんですよ。せめて包みを開けるのは彼が来てからにしようって」
ふいに真横から声が聞こえてびびった。
見ると、黒縁眼鏡をかけて制服をぴしりと着こんだ小柄な男子生徒がそこに立っている。全く気付かなかった。
「こら悟郎ちゃん、告げ口はやめなさい」
そんな黒眼鏡に美少女がびしりと人差し指を突きつけて命令する。
「事実です。それから人を指で差すのはやめてください」
「あらごめんなさい。でもね、事実だからこそあえて秘匿する必要性がある場合もあるのよ。そこのところを……」
「待て、なんの話だ。たかが団子だろ?」
赤眼鏡が二人の間に割り込む。
「そう、とても美味しいお団子よ」
美少女が眉を吊り上げ、深く頷く。
「団子の問題というよりも、咲さんの自制心の問題です」
「ぬっ。可愛くないわね」
冷静な黒眼鏡の言葉に、美少女が吊り上がった眉をぴくりと動かした。
一体なんなんだ……。
オレは呆れながら、目の前の光景を眺めていた。
とりあえず、この人たちにオレの誕生日を祝うつもりがあるとは思えない。
それは間違いなさそうだった。




