2 お庭衆
「あんたたちなんだよ。同行ってどういうことだよ」
間近で見る刀の切っ先に正直びびりながらも、問わずにはいられなかった。
「須賀、抵抗はよせよ。大丈夫、殺されはしねえよ。なあ、お庭衆さん」
お盆を片手に戻ってきた赤眼鏡が、うんざりという表情で男たちに声をかける。
マコちゃんは論外だけど、改めて苗字で呼ばれるのも違和感ありまくりだな。
――なんてそんなことを気にしている場合じゃなかった。
「赤眼鏡! どういうことか説明しろよ」
「オレも知らねえよ。断りもなく人んちに突然踏み込んできやがったんだから。でも、こいつらは本家のお庭衆……まあ、花守頭の近衛隊みたいなもんだ。花守頭ってのは、花守人たちを束ねるのが仕事だからな。花守人を殺すこたあねえよ。きっと薫もそっちにいるんだろ?」
「薫殿、とお呼び下さい」
赤眼鏡がそのお庭衆の一人に叱られている。
薫殿!? ――殿っつったか? 今。
どんだけ偉いんだよ、あの強烈な先輩は……。
赤眼鏡の登場で幾分余裕ができたオレは、覚悟を決めて立ち上がった。
「わかったよ。どこにでも行くから、その物騒な物はしまってくれよ」
刀を抜いているヤツに向かって声をかける。
部屋に踏み込んできた男がひとつうなずくと、庭にいた連中が刀を鞘に収めた。
こいつがお庭衆とやらのリーダーか。
「では、参りましょう。豪様も」
「へいへい」
赤眼鏡がオレの横に並ぶ。赤眼鏡にも一応『様』がつくんだな。それなのに、なんでオレには『とやら』しかつかないんだ。
まあ、『様』なり『殿』なりをつけてもらいたいとは思わないけどな。
「これが本家のやり方ってわけか?」
「まさにその通り。百聞は一見にしかず。いい勉強になっただろ」
オレが声を潜めて聞くと、赤眼鏡が口の端を片方だけ上げた。
まったく、こんなことになるとは夢にも思ってなかった。
しかも当初の目的を全く達成できていない。
ついさっき脱いだばかりの靴を履きながら、オレはため息を吐いた。




