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とりぷるじー(GgG)  作者: さく
第2章
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9 スーパーと雑貨屋

 放課後、今日も来るかと思ったけれど、迎えはなかった。


 そのことにほっとしている自分の中に、ほんの少しだけ、もやもやした気持ちがあることに気づいて、それが無性に嫌だった。


 自分から彼らに近づくつもりは、毛頭ない。

 これでいいんだ、と自分に言い聞かせる。


 向かったのは、スーパーだった。

 夕方のタイムセール。

 スーパーは夕飯の買い出しに来たおばちゃんたちで大盛況だ。

 特に惣菜コーナーは、そこに何が置いてあるのかがわからないくらいに人が集まっていた。


 近所のコンビニ弁当にはいい加減飽きてきた。

 少し離れた別のコンビニまで足を運ぶこともあるけれど、通学路にあるこのスーパーもたまには利用する。


 自炊すれば、節約にもなる。


 食わずにいるわけにはいかないので、面倒だけれど気が向いたときには、適当に作るようにしている。


 今日は刺身が安かったから、海鮮丼にすることにして、割引シールのついたパックをかごに放り込んだ。

 これなら飯を炊くだけで食べられる。

 米は、以前買ったのがまだあったはずだ。


 それ以外に、インスタントラーメンやレトルト食品も放り込んで、会計を済ませる。

 通学鞄に入れっぱなしになっていたエコバッグに買ったものを入れて、さっさと店を出た。


 スーパーからうちまでは歩いて十分くらいの距離だ。


 オレはまだ花に囲まれた世界に慣れられずにいて、ついついきょろきょろとしてしまう。

 世の中には驚くほど沢山の種類の花があるんだな、ということがわかった。


 オレは花なんてほとんど知らないから、目に入ってくる花がなんて名前なのかはさっぱりわからない。


 チューリップ、ひまわり、朝顔。たんぽぽにシロツメクサ。


 オレにわかるのは、せいぜい小学校で見かける花くらいだ。


 最初は邪魔だと思った眼鏡のフレームには、なんとなく慣れてきた。


 それに、顔を洗う時などははずして近くの棚に置いておけるし、実はかけなくても、胸ポケットに入れておけば大丈夫だということがわかった。


 ただ、それだと果実や果者が近づいていてもわからないので、逃げることすらできない。


 果実や果者のことを知ってしまった以上、眼鏡をかけないでいるのは不安だった。

 昨日の一件以来、背後が気になって仕方がない。背後に果実が忍び寄っていたら、と思うとぞっとする。


 結局、自分なんてその程度の人間だ。


 戦うつもりはないと言っていながら、果実におびえている。


 ――早く帰ろう。


 そう思って足を早めた直後、いつもは素通りする雑貨屋の前で思わず足を止めてしまった。


 店の中に、ガラスでできた動物の置物が並んでいた。

 小原さんから誕生日祝いにもらったクッキーは、一つだけ食べてあとは大事にとってある。


 密封容器に入れて冷蔵庫に入れてあるから、しばらくはもつだろう。

 実はお礼をどうしようか悩んでいたのだ。


 ものをもらった以上、お返しをしないわけにはいかない。

 なんといっても、相手は小原さんだし。


 朝、階段をのぼっているときに声をかけたのは、どんなものが好きなのかリサーチしようとしたからだった。


 あの騒ぎですっかり忘れていたけれど。


 値段も高くないし、これなら気軽に受け取ってもらえるだろう。

 小原さんの鞄にキリンのマスコットがぶら下がっているのは覚えていた。


 キリンがあるかな?


 ここからでは、ゾウとウサギしか見えない。けれど死角になっている部分にも色々とありそうだ。

 手前に置かれている花瓶やスタンドライトが邪魔で見えないけれど。


 オレはエコバッグを握り直して、覚悟を決めてドアに手を伸ばした。

 雑貨屋なんて、これまで一度も踏み込んだことのない世界だ。


 キリン……キリンを買ったら、速攻で出る!


 チリンというドアベルの音にびびりながら、オレは店内に踏み込んだ。

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