表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とりぷるじー(GgG)  作者: さく
第2章
23/66

8 たんこぶと手汗

「ご、ごめんなさいっ! あたしは大丈夫。それより須賀くんは?」


 小原さんが慌てて目を逸らしながら、オレに訊く。


 頭を押さえているのが、気になる。

 どこかに頭をぶつけたのかもしれない。


 だとしたら悪いことをした。

 もっと格好よく受け止められればよかったんだけど。


「オレは大丈夫、大丈夫。たいしたことないって。それより小原さん、頭、ぶつけた?」

「え⁉ う、ううん、違うよ! わたしは大丈夫。どこも痛くないし!」


 なら、よかった。

 ほっとしたら、周囲の様子が目に入った。


 人が集まってきている。

 興味津々な視線が痛い。


「あの、小原さん、お願いがあるんだけど」

「なっ、なあに?」

「オレの上から、おりてもらってもいい?」


 オレは小原さんの小さな体を腕の中から解放した。


「あっ! ごめんなさいっ」


 小原さんが慌てて飛び退く。


 こんな場所でなければ、いくら上に乗っててもらっても構わないんだけど。 

 オレは少々名残惜しく思いながら、よっこいせ、と立ち上がる。


 痛みのせいで背筋が伸ばせないけれど、せいぜい打ち身程度だろう。

 時間が経てば治るはずだ。


 後頭部を撫でると、階段の角にぶつけたのか、少しふくらんでいた。

 たんこぶだろう。


 問題ない。


「須賀くん、保健室に行こう!」


 小原さんが、オレの顔を下からのぞき込む。


「平気、平気」

「駄目」


 きっぱりと言って、小原さんはいつもの優しそうな目を少しつり上げると、オレの手を引いて歩き始めた。


 予想外の反応に、オレは少し驚く。

 こんな顔もするんだな。

 少し怒った顔もまた可愛いんだけどさ。


「遅刻するよ」

「そんなのどうでもいいよ。あ、でもごめん、強引に引っ張って。ケガしたところが痛む? ゆっくり歩こうか?」  


 申し訳なさそうな表情を浮かべる小原さんを見て、不謹慎だけれど、そんなに心配してもらえることが嬉しいと思ってしまう。


 オレなんかのことを心配してくれる人なんて、もういないから。


「いや、ケガは平気だよ」


 本当はまだ少し痛むけれど。


 それより、つないだ手に滲む汗のほうが心配だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ