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女神キャンペーン〜異世界への招待〜  作者: 燁。
第1章 異世界への招待
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第8話





初めての魔物を倒してホッと一息ついていると、その騒ぎに気づいてか10体ほどの魔物が現れた。スライムが2体と背後からゴブリンが4体、そして空からも巨大なカラスのような奴が4体ほど。



やっと依頼の魔物だ!カラスは知らないが、スライムとゴブリンを討てば失敗の罰金は取られないで済む!




これからの生活がかかっているんだ…!そんな熱い視線をスライムに向けていると、怯えたように突然逃げようとした。





「逃がすか!……っクナイ!」





先ほど使った氷のクナイが頭に浮かび、咄嗟に言葉にして手をスライムの方へ伸ばす。するとイメージもさっきより深くしておらず、魔力の集中も甘かったというのに同じようなクナイがいくつも浮かび上がり、手の示した方へ一斉に飛んで行った。



それらはスライムが逃げるよりも早く奴らの体を貫いた。スライムのネバネバしたものが辺りに散らばる。





「……これでいいのか?」





少々疑いながらもそちらへ進もうとする。しかしゴブリンが素早い動きで俺の前に回り、それは叶わなかった。



ゴブリンか……やはり人型は気持ち的にやりにくいな。しかもそれが4体。地球でよく見たRPGゲームなどでのゴブリンは初級の魔物だったが…果たして。




ゴブリンの1体__ゴブリンAが飛びかかってきた。咄嗟のことだったが間一髪で横に飛んで避ける。うん、やっぱ基本的な身体能力も上がってる。こんな体が軽いと感じたことはない。



弱点は確か物理攻撃か炎…だったか。生憎俺に今武器はないので、必然的に魔法になるわけだが…。くそっ、また1体攻撃してきやがった!



考える暇もなく瞬時に火炎放射器のような炎をイメージする。手に魔力を込め、ゴブリンへ向けて前に突き出す。






「行け!放射!」





その言葉と同時に大量の炎がゴブリン達に向かって放射され、炎が止んだ頃には奴らはすっかり黒焦げになっていた。



…あ。こりゃ、素材はダメか。ゴブリンの弱点に囚われて忘れてた。




じゃあ次はカラス…と思ったところで、先ほど氷に貫かれて飛び散ったスライムの破片が不気味に蠢き、そして元の姿へと戻っていった。



ちっ、やっぱこいつこそ燃やさないとダメか。スライムの素材は何かぐにょぐにょしてるせいであまり触りたくない。うん決めた。燃やそう。





「放射。行け!」





叫びと共に腕を振り上げれば、先ほどと同じ炎がスライムに向かって言葉の如く放射された。まさに火だるまになった奴らは一瞬で蒸発したように消え去った。



小さなスライム2体に対しては些か規模が大きすぎたような気もするが……それは追々の特訓で調節できるようにしよう。





「あとは薬草さえ手に入れれば!……あ。」





そこで気づいたが、空を見上げればもうカラスはいなくなっていた。もしかしてさっきの攻撃にびびって逃げたのだろうか。



ちょっと惜しい気もするがまあいい。とにかく日が暮れるまでに薬草を見つけなければ。





「てかナビ出来たんだし他の探索魔法も使えんじゃないか。」





ぼそっと愚痴のように零れ落ちた呟きであったが、そうだ。まだ試していない。何だか今なら出来る気がする!



一人草むらで拳を空に突き上げた。正直虚しいさ、当たり前じゃないか。



ともかく俺は街を探し当てたときのように薬草を見事探し当ててみせる!と意気込み、思考を集中させる。




半径500m……は無理か。なら100mでいい…よし。アメリアに貰った薬草の絵を懐から取り出し、頭にそれを叩き込む。忠実に想像し、指定した範囲で該当するものがあれば光るように入念にイメージしていく。





「…きた!」





目の前に現れた巨大な透明のパネル。その向こう側に映る草の中の幾つかが点滅するように光を放ち始めた。



それを目指すように近づけば光の強さも増す。俺の視界に広がった光に目を細めながらもそれを手に取れば弾けるようにして光の点滅は消えた。



確かめるように絵と比べれば、それはまさしく探していた薬草そのものであった。




……何これ。凄い便利じゃん。こんな便利でいいの?確かにさっきのマップといい魔法…と信じているあれといい、初めて使うときの想像する手間は結構掛かるけど、2回目は軽いイメージと言葉ですぐ再現できたし。



魔法、これでいいのか?異世界、こんなんでいいのか?







それから俺は探索で薬草をたくさん採取することが可能になり、日がもうすぐ暮れるという頃にはたんまり必要な薬草を手にしていた。



これくらいでいいだろう。さすがに初日で右も左も分からない今、夜が更けてからの活動は避けたい。



そういうわけで、俺は昼間に登録をした冒険者ギルドに戻ることにした。




………肩にはハリシシの死体、そしてあれから幾つか狩った魔物達の死体や毛皮、ポケットにはその魔物の牙など、手には薬草という珍妙な姿で街に戻っていった俺を密かに悪魔かと誤解した人間が数人いたことは余計な話である。





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