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女神キャンペーン〜異世界への招待〜  作者: 燁。
第1章 異世界への招待
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第7話




「今から早速依頼をお受けなさいますか?それとも今日はここまでに?」


「いや、持ち金がないからすぐ依頼を受けるよ。」


「畏まりました。お客様は只今Fランクですので、Fランク依頼かEランク依頼をこなしていただきます。依頼が決まりましたらこちらにいらして下さい。」


「分かった。」





そう言って一度カウンターを離れ、先ほど教えられた掲示板の前へと行く。



FランクとEランクね……と、あった。スライムやホーンラビットなど初心者級の魔物討伐、薬草採取、Eだとゴブリン討伐もか…。とりあえず最初だし、簡単な物からにした方がいいよな。



俺はFランク依頼の薬草採取と魔物討伐を選んで、受付嬢に伝えた。妥当な選択だったのだろう、彼女も当たり前のようにそれを受理した。





「Fランク依頼の初級魔物討伐、薬草採取ですね。場所はリステリア東部の森になります。薬草に目を取られている隙に魔物に囲まれる危険もありますので十分注意して下さいね。指定された魔物を討伐すると自動的に数がカードにデータとして記録されますのでご心配なく。また素材になるものをお持ちいただければ別に報酬をお支払いいたします。」


「ふむ、なるほどな、ありがと。あ、もし依頼とは違う魔物を討伐したときとかは報酬はもらえないの?」


「討伐自体には報酬は支払われませんが、素材をお持ちいただければそちらはお支払いできますので、お忘れのないようお願いします。」


「うん、おっけ。あと聞くことは……あ。」





何か質問が残っているか考えて、あることに気がついた。そういえば俺、まだ彼女の名前聞いてないじゃん……。こんだけ話して、って業務の一環ではあるけど。1番最初に聞くべきところを忘れてたなんて情けないわ。



そんな俺の思いを知らない彼女は首を傾げながら俺から発せられる質問を待っている。





「今更で凄く申し訳ないんだけど、まだ名前聞いてないよな。よかったら教えてくれるか?」


「えっ?あ、私は冒険者ギルド・リステリア支部のギルド員、アメリアと申します。どうぞ気軽にアメリアとお呼びくださいね、シオネ様。」





一瞬素っ頓狂素っ頓狂な声を漏らしたアメリアだが、すぐにその表情を微笑みに変えた。



自分はアメリアと呼べと言うくせに俺のことは様付けか…。逆な以上仕方ないとはいえ、様付けで呼ばれるのはなんだかむず痒い。





「アメリアね、これからしばらく世話になると思うからよろしくな。あと立場上呼び捨ては無理かもしれないがせめてシオネさんで呼んでくれないか?様はちょっと…。」


「ええ、分かりましたシオネさん。気をつけていってらっしゃい。」





頭を掻きながら頼んだ俺をくすくす笑いながら、先ほどまでの仕事モードから少し緩めた口調で声をかけてきた。



軽く手を振ってギルドから外へ出る。



いってらっしゃいなんて言われたの、いつぶりだっただろうか。まだ両親が生きていた頃。何もかもが幸せだった頃。



……いや、そんな今がまるで不幸だとでも言うようなことは、健太に悪いな。俺は今までずっと、そして今も幸せだ。










アメリアに言われたように俺はリステリアの東部にある森へ向かった。何か装備などを身につけた方がいいのだろうが、生憎俺にそんな金はない。まだ魔法をも試していない状態で、果たして依頼をこなせるだろうか。



今更になって少々不安が募るが、ネガティブな思考は不運を呼ぶだけと思い、気合いを入れ直す。






「……ここがそうか。」






街を抜けたところでだんだんと自然が多くなってきてはいたが、どうやらここが指定された場所のようだ。周りにはやはり木、木、岩、木である。



とりあえず魔物が出るまでは薬草を採取することに専念しよう。ジーパンのポケットから1枚の紙を取り出し、それと足元に広がる草木とを見比べる。これは依頼された薬草が描かれた紙だ。この世界にはもしかしたら写真(・・)なんて文化はないのかもしれない。



描かれた草は茎は細めで白い線が入っており、途中にギザギザとした輪郭の葉が幾つも付いている。花は咲くのかもしれないが今はまだない。これを探せばいいわけか。






「えーっと、茎に白い線…ギザギザな葉っぱ……。」






腰を折って顔を地面に近づける。特徴がはっきりしているためすぐにでも見つかるかと思ったのだが、現実はそう甘くはなかった。



なんてったって周りがひたすら緑色!こんな中で簡単に見つかるわけがなかった。




そうこうしている間に、時は過ぎ。ふと背後で葉が擦れる音が聞こえ、咄嗟に振り向けば。





「とうとうお出ましなわけね…。」





魔物だ。こっちへ来て最初の魔物。こいつは……猪か?動物で例えるとそう、猪に似ている。しかし、形こそそれと似通っているが毛の色は茶というより赤に近い。それに何か…あれ触ったら絶対痛い。ハリネズミかと突っ込みたくなるほど毛が尖っている。あれは絶対触れたらダメなやつだ。



奴……勝手に名前をつけるとハリシシにしとこう。ハリシシは現在俺から300mほど離れたところにいる。どうやらまだ俺には気づいていないみたいだが、これを放っておく選択は、ない。



俺としても魔法を試したいところだしな。あの魔物が強いか弱いかは分からないが…。ともあれ幸い距離はある。まだ気づかれていないならば、少々時間も取れる。





「そういや、素材…だか何だかが売れるんだよな。」





そんなことをアメリアが言っていたはずだ。つまり、あまり傷をつけずに討伐するのが好ましいと。



なら火魔法はダメだな。燃やすわけだし。絶対綺麗な素材なんて手に入らない。それだと何だ、風とか水か?あ、氷なんてのももし使えたらいいよな。




とりあえず氷魔法を使えるか試してみることにする。魔力を流すことはさっき出来るようにしたから、あとはイメージだな。提唱なんてものはまだ知らないから、ちゃんとした魔法にはならないだろうが。



何を象るか。俺のイメージしたのは忍者などが使うクナイだ。あれを氷で作られればいいのだが。




頭の中でクナイを具体的に想像していく。先が鋭利な物、切れ味は草なんてものは引っかかりもせずに伐採でき、木にもある程度刺さる。投げた時のスピードは秒速50mくらい。それを十数個はほしい。



魔力を込めつつ集中していると、俺の周りに氷でできた鋭利なクナイに似たものが生まれ、浮かんでいる。これは成功なのか?





「これだけあれば…。」





魔力をクナイに流し俺と繋いで、手を前に突き出した。その瞬間幾つもの氷のクナイは凄いスピードで示した方へ飛んで行った。魔力越しに照準をハリシシの首元に合わせる。





「行け!」





その言葉が合図になったかのように氷のクナイは軌道修正しながら一直線にハリシシの首元に飛び……見事に全てが深く首元に刺さったようだった。



鈍い悲鳴がこちらにまで聞こえたと思うと、俺の最初の魔物は息を絶えたようで、地面を揺らす勢いで地に伏した。





「……やった。」





こんな一発で仕留められるとは思っていなかったが、きっとこちらに最後クナイが刺さる瞬間まで気づいていなかったのが良かったのだろう。



奴の攻撃威力は分からないままだが、初めての魔物討伐がまさかゴブリンやスライム以外になるとは。





俺は倒れているハリシシの元へ寄る。首には未だ氷のクナイが刺さっている。これ、溶けるのかな。溶けるとびちゃびちゃになるよなぁ。それは困る。



おもむろに手をかざしてみる。





「消えろ。なんちゃっ……えぇ?!」





どこかの魔法使いぶって試した結果、なんと言葉に反応するように刺さっていたクナイは全て跡形もなく消えたのだ。残っているのは事切れたハリシシと首に残る幾つもの生々しい傷跡だけだ。




呆然と自分の手を見つめる。魔力量、想像通りの魔法、魔法消去。そして今更気づいたが300m先の気配に気づいた察知力に視力。



もしかして……もしかすると。





「チート能力もらってるよね?これ。」





多分、いや確実に。俺こんな視力良くなかったし、バスケはやってたけどさすがにあんな察知できないし。



もしかしなくても…凄い恵まれてる。






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