黒い獣は主をおもう
翼の生えた猫の魔獣として産まれた、私はすぐに気づいた。どうやら親に捨てられたと。羊水に濡れたまま凍え、このまま死にかけていた私は、しかし、運良く人間の少年に拾われ命を取り止める。どうやら私のことを養うつもりらしい。拾われた命、この人間を《母》(ただし少年)として彼のそばで生きていくのも悪くない――そう考えていた私の目論みは外れる。突如として《母》からも引き離されてしまった。今すぐに《母》のもとに帰りたいが、腹立たしいことに私は矮小な仔猫。雌伏するより他になく、屈辱に濡れながら身体が育つのを待つ。すべては再び《母》とまみえるために……
一話・母を呼ぶ声
2014/07/31 18:00
二話・温かい手
2014/08/02 10:00
(改)
三話・我が名は
2014/08/04 10:00
四話・忍び寄る不条理
2014/08/06 10:00