表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃げ出した妃  作者: ひまわり
第一章
5/43

妃、無理です!(1)

「あ、あの!ベアトリーチェ様?お待ちください!」

「はい?」

 私の突然の大声にも動じず、ベアトリーチェ様は首を傾げ私の言葉の続きを待っている。

「あの、あの、お妃教育というのは」

「ええ。やはり一国の妃、ご正妃であれ、ご側妃であれ、ある程度以上の礼儀、教養は必要でしょう?殿下はニナ様がお恥ずかしい思いをされないようにと」

「あの、そうじゃなくて!私、お妃になんてなりません!無理です!」

 切々と語ろうとしたベアトリーチェ様を遮り、私は悲鳴のように言い切った。

 部屋に痛いほどの沈黙が満ちる。

ここれ以上あいたら落ちてくるんじゃないかと言うほど、ベアトリーチェ様の目が見開かれている。

「・・・自信がないのは、不安なのはわかります。でも殿下を愛しておいでなら」

「いや、もう、ちょっとそこからしてちがうんですってば!」

 説得にかかってきたベアトリーチェ様を再び遮る。

 私は丁寧な口調をかなぐりすて、頭と手を左右に振り全身で否定した。

「殿下が私にこだわったのは、たぶん、特定の女性を作るのが面倒だったからです。私なら周りの方も納得しないから、逃げ道にしただけかと。私たちの間に恋愛関係はございません!」

 はっきり言い切ると、ベアトリーチェ様の目はさらに大きくなった。

「まぁ・・・まぁ、なんてこと・・・。私、お二人が忍ぶ仲なのかと。お二人の為にと思って周りを説得して・・・では、なぜ夜伽の命を受け入れられたのです?」

「ご命令だったからです。特に義理立てする相手もおりませんし。お断りして、万が一、一族に罰があってもまずいし・・・」

 説明するほどにベアトリーチェ様は真っ青になっていく。

 腰かけてもらっててよかった。立ってたら倒れてたかも。

「では、ニナ様にシアン殿下へのお気持ちはないと」

「はぁ、まぁ、おちいさい頃からお仕えしていますから、もちろん主としてはお慕いしていますが・・・」

 本当はこんなことになる前は、最近の殿下にちょっとときめいてたことは言わないでおこう、ややこしくなりそうだから。

 ベアトリーチェ様はついに顔を覆ってしまわれた。

 長い沈黙の後、消沈した様子のベアトリーチェ様は言葉を絞り出すように話し出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ