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逃げ出した妃  作者: ひまわり
第一章
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明けない夜(1)

 一夜明け、私は想定外の事態にけだるい腰とともに、頭も抱えていた。殿下のベッドの上で。

 殿下は今日は大切な面会があるとかで、さんざん名残惜しみながら出て行った。

 説明は一緒に取り残されたベアトリーチェ様からなされた。曰わく。

 なんとベアトリーチェ様は殿下の閨房の教師だったのである!ただし座学のみ。

 通常、王族、しかも王位継承者の閨房の相手など正妃はなくとも、少なくとも側妃にはなれる身分の者が勤める。

 しかし殿下は何を思ったのか、私を指名したのだという。とはいうものの、私はただの女官の身。当然殿下のお相手として認められるはずもなく・・・周囲は猛反対だったそうだ。

 だが殿下は私以外を拒否したため本来なら当に終わってるはずの「最終試験」ができなかったのだとのこと。

 ベアトリーチェ様もそんな殿下に肩入れし、私が一応男爵の姪ということ、そしてまちがいなく処女だということをごり押ししたそうで・・・

 そこで周囲の方々もついに折れ、昨夜ついに「最終試験」が実施されたと。

 ベアトリーチェ様はその裁定人として、一晩中同じ部屋に留まられたのだ。あぁ、もういたたまれなさも一周半ぐらいして、この方に関しては何も感じない。

「殿下は本当にニナ様をお望みでしたの。念願叶われて・・・ニナ様もあのように一途に想われてお幸せですわね」

 ベアトリーチェ様は、瞳をきらきらさせながら言う。

 そうですね。そこに「恋人同士」とか「密かな恋愛」とかが入ってきたら、まるで物語のようだけど、残念ながら私と殿下の間にそのような関係はないのです!

 そう言いたかったが、昨夜泣き叫びすぎた喉は、無理してまで皮肉を言うことをためらわせた。

 ベアトリーチェ様はその後、いくつかの注意点を残し退室していった。

 一つは、殿下といたした後は、向こう三ヶ月はけして他の異性と関わりを持ってはいけないということ。これは世継ぎ問題のためらしい。

 言われなくともそんな相手はいないけど。いたら夜伽なんてさすがに断ってるし。

 もう一つはもう女官の仕事はせず、居室も今までの部屋から殿下の部屋の隣へと移るということだった。

 そして、さらには、これは前例がないのでどうなるかわからないが、おそらく今後側妃となるのでそれに見合った態度をとるように、とのことだった。

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