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逃げ出した妃  作者: ひまわり
第一章
22/43

どうしたものか(1)

※今回妊娠に関して生々しい表現があります。ご注意ください。

 妊娠がわかった私は、思わぬ展開にあっけにとられながら、あぁやっぱりなぁとも納得してしまった。

 つい動転して医者にはああ言ったが、三ヶ月もの間、毎日のように、嫌になるほど愛を注がれたのだ。

 そりゃ当然あり得る結果だろう。殿下が避妊してたとも思えないし。

 まぁ、妊娠については殿下ばかりを責めるわけにはいかない。私もそれを受け入れたのだから。

 しかし、殿下の子か・・・。

 私に似なければ、殿下の小さい頃みたいに可愛い子になるんだろうなぁ。あ、でも殿下の金髪もきれいだけど、私の黒髪もなかなか。髪色だけは自分の容姿の中で気に入ってるんだよね。

「そんなの産まれなきゃわかんないよね」

 ふふっと思わず笑ってしまう。

 男の子かな?女の子かな?

 ・・・・・・ん?

 あれ!待って?男の子だったら・・・この子は殿下に次いで、王位継承権第二位!?

 浮かれていた気分が一気にしぼむ。

 つまり、私は未来の王の生母という形になる・・・?

 しかも今殿下は正妃も側妃もいない状態。

 優先順位一位の妃という位置に立つことに。

 ・・・・・・・・・つまり?

 脳裏にあの殿下と過ごした濃密すぎる三ヶ月の日々がよぎる。

 あれは軽いトラウマだ。

 寝てもさめても、殿下、殿下、殿下。

 朝も昼も夜も時間を問わず愛され、解放されるには意識を失うしかなく。削られていく体力。

 カーテンを引かれ、外の様子は明るいか暗いかしかわからない。やがてなくなっていく時間感覚。

 関わる相手は主に殿下。たまに部屋付きになってる数人の女官。閉じていく世界。

 女官長が見かねたのか、本や刺繍道具なんかのベッドの中でも暇をつぶせるものを差し入れてくれたのだけが救いだった。

 よく気が狂わなかったなと我ながら感心する。

 殿下の元に戻るということは、あの生活に戻るということ・・・?

 いや、しかし、さすがに腹に子供がいればあんな無体は強いられないんじゃ・・・。

「・・・断言できない・・・」

 絞り出すような声で唸ってしまう。

 それになんの後ろ盾もない一介の女官が、殿下の第一子を産むなんて。

 あの陰謀うずまく王宮で可能なのかしら。

 無事出産する前に母子ともに命がない、なんてこともありえそう!

 次々思い浮かぶ最悪の事態に私は身震いした。

 想像はどんどん恐ろしいことになっていく。

 ・・・逃げよう!

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