表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃げ出した妃  作者: ひまわり
第一章
14/43

想定外の追っ手

 女官長からの退職金をもらった次の日。

 のんびり部屋で刺繍をしていると、急に部屋の外がバタバタしだした。

 気になって廊下に顔を出してみる

 するとちょうどシンシアさんからこちらに来るところだった。

「あぁ、ニナ様!」

 私の顔を見ると、珍しく駆け足になった。

「どうしたんですか?何か」

「いいから、お部屋に!」

 言葉を途中で遮られ、部屋に押し込められる。

 目を白黒させていると、シンシアさんは手に持っていた洋服を乱暴にソファに置き、私の服を脱がしだした。

 いったい、何事!?

「ちょっ、ちょっと待って!いったい何があったんですか!?」

「殿下です!」

 ・・・・・・・・・は?

 よっぽどポカンと間の抜けた顔をしたのだろう、シンシアさんは再度同じことを今度は少しゆっくり言った。

「シアン殿下です」

 シンシアさんによると、シアン殿下は先触れもなく、供を数人付けただけで、急遽ストランデル邸に現れたそうだ。

 そして、私を、探しているのだと・・・。

 今はベアトリーチェ様がなんとか引き留めてくださってるが、今にも屋敷中を探し出しかねない勢いだという。

「ここにいると連れ戻されかねません。殿下のお怒りは凄まじかったですから・・・」

 シンシアさんはぶるりと身を震わせる。

 怒ってる殿下・・・想像がつかない。いつもニコニコ、穏やかな方だったからなぁ。

 でもシンシアさんの真っ青な顔を見ると、私もなんだか恐くなってきた。

 きっと戯れに手を出した女官ごときが、殿下が捨てるならともかく、勝手に逃げ出したからお怒りなんだわ。

「これから私の実家に参ります。王都から馬車で少しのところです。そこで数日、ほとぼりが冷めるまでご辛抱ください」

「ご迷惑をおかけします」

 事態が呑み込めた私は、念のため、王宮から逃げた時にもちだした大事な品々と、もらったばかりの退職金を手早くカバンに詰めた。

 そして、おそらくシンシアさんの私服だろう。普通の町娘が着るような服に着替える。

 念のため、顔が隠れるようなフード付きの外套も羽織る。

「さぁ、お急ぎください!」

 こうして、私は再び殿下から逃げ出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ