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働きたくないという戦い
朝。
リンカは布団から1ミリも出ていなかった。
いや、正確にはーー布団と完全に一体化していた。
「……ユウ」
「嫌だ」
「まだ何も言ってないのだ」
「どうせ’動きたくない’だろ」
布団の山が、もぞもぞと動いた。
「なぜわかった」
「毎朝それだからな」
リンカは、布団の中から片目だけをだした。
「今日は…..布団会の王として、ここを守る使命があるのだ」
「ただの二度寝だろ」
ユウはカーテンをシャッ!と開けた。
「ぐわあああああ!!太陽属性攻撃!!」
「朝日だよ」
リンカは布団に頭から突っ込んだ。
「私はもうダメだ……光にやられた……」
「洗濯物干したいだけなんだけど」
「じゃあ……私の代わりに布団を干してくるのだ」
「誰が干すんだよ、その’私の代わりに’の意味」
沈黙。
そしてリンカは超小さな声で言った。
「……朝ごはんは?」
「トースト」
「行く!」
ガバッ!!
さっきまで死んでたやつが、瞬間移動レベルで起き上がった。
「元気じゃねぇか!!」
「食欲は別枠なのだ」
リンカはトーストをくわえながら、ソファに倒れ込んだ。
「はぁ……疲れた……」
「起きただけだろ」
「起きる=大仕事なのだ」
「人類全員それ毎回やってるわ」
こうして今日も、
世界を支配していた魔王は、
布団という最強のモンスターに敗北し、
トーストという報酬によってのみ動くのであった。




