一歩ずつ
「ねぇ、律喜…律喜ってば!」
「ああ!ごめん明希考え事してた…なに?」
明希は何やら、呆れた顔でこちらを見ていた。
「何って、あんたが何してるの?ラムネなんかジップロックの中入れて…」
私はふと、手元に目をやる。
確かに私の手にはさっき、彼から渡された2錠のラムネがジップロックに封印されていた。
彼からもらった、ラムネ…彼を探すために全クラスに胸ポケットにラムネを入れている男子はいないか聞きに回ったが、彼らしき人はいなかった。
「これ?裏庭でご飯食べてたら、なんか同年代の人からもらったの」
「だからといって、ジップロック?あたしの奇行のモノマネでもしてるの?」
明希はみんなを笑わせることを生きがいにしているエンターテイナーだ、前に出るときには奇抜な話し方や奇行を重ね印象に残るようなプレゼンをしたりするが…どうして私がこんなことを…
「いいや、違うよ」
私は、少し後ろに引きながら明希の様子を伺う。
やっぱり、何か違うような気がする。
「なんか今日、明希怖いよ…」
「え?どうして?怖いことなんてなんにも…」
気分屋の私が周りに配慮しないでキレるのはよくあるが、こんなにトゲがある明希は初めてだ。
「なんか、今日はあたしたち逆だね、あんたが奇行に走ってあたしがキレるって、なんだかこれも新鮮だね」
ようやく明希は笑顔を見せた、私もそれに応えて見せる。
「なんで今日機嫌悪いの?トゲあるじゃん」
「あーあたし?ちょっと裏庭でマジックの練習してたらミスって窓ガラス割っちゃったのよ、バレたら怒られるよね絶対」
………やっぱ、こいつが犯人かよ。
「明希、今すぐ……」
謝りに行くよ、そう言いかけた瞬間。
学校放送が鳴りひびく。
「1年D組の神谷律喜さんと星火明希さんは1回応接室に来てください」
担任の詩歌先生の声が私たちを呼ぶ。
相変わらずの柔らかい声だ、入学して間もないが詩歌先生だけには私は心を許せる気がしている。
「あたしたちなにかした?」
「さあね、まああなたはあると思うよ」
クラスのみんながこちらを見ているが、それは気にせず私は明希の手を引いて教室から出る。
「全く、あなたと一緒にいると学校生活が異常に感じるわ」
「なんか、いつもの気分屋が戻ってきたね?」
そんなことを言ってると、私たちは校長室についてしまった。
「ああ、ついちゃったね?」
「はぁ、ビビるんだったらやるんじゃないよ」
私は動かなくなった明希をどかし、3回ノックする。
「こういうことは、慣れてるの任せて明希」
「お?乗り気だね律喜」
部屋の奥から「入って」という陽気な声が聞こえてくる。
「失礼します。1年D組…」
「ああ、いいよ。入って入って」
校長は、笑顔でそう急かす。
校長も忙しいのだろうか?
「それで、私たち何かしたでしょうか?」
「ああ、ごめんね〜急に呼び出して怖いでしょまま、座って緊張しなくていいよ、大した話だけど君たちが悪いわけではないから」
その言葉を聞いて、安心する。
特に明希が。
「ええっとね……あ〜あった、この書類目通してくれる?」
校長は何やらデカい封筒に入っていた、書類を私たちに渡す。
内容は…
「私たちを3年間S組に配属する……校長先生…一つ質問です、うちの学校Fまでしかないですよね?」
「うん、そうだよ?」
校長は何も違和感のないような顔ではにかんだ。
「あ〜じゃあ、実際S組があったとして何故私たちが?」
「んーとね、推薦があったから」
「推薦?いったい何の?」
「そりゃ、S組生徒だよ、えっと名前は…成城尚さんだよ、知り合いじゃないの?」
名前からして女性っぽいが、小学校にも中学校にも成城なんて苗字の人なんていなかった。
私は、明希のほうをチラ見する…こちらと目が合った。
どうやら、明希も知らないようだ。
「おかしいな…推薦調書にはしっかりと君たちの特徴が書いてあったんだか…まいっか、でっこの話一応拒否もできるけどどうする?」
「ちょっと待ってください!一番重要なことを聞いていません」
校長はキョトンとした表情でこちらを見る。
「S組って、何してるんですか?」
「あーそれなんだけどね、言えないよ…言ったら確実に君たちはS組行きか、退学だからね」
急に恐ろしいことを言い出すなこの人は…
「わかりました…どうする?あ…」
明希に問いかけようとして、そっちを向いてみると明希は目を輝かせていた。
「なんか面白そうですね!行きます!あんたもそうでしょ律喜!」
………こいつ…勝手に決めやがった。
「じゃあ決まりだね」
「ちょっ……」
やめておこう、これ以上噛み付くと乗り気な校長でも私みたいに毒吐かもしれない。
「さっ、親とかみんなとかには適当に連絡回しておくから、二人はS組行ってあげて今日は二人も入ってくるかもってなんだかウキウキしてたから」
そうですか…
「でで!どうやって行くんですか?」
「ああ、地下一階の図書室ってあるだろ?それに併設されてあるトイレに入り口あるよ」
なんで、そんな所に作るんだよ…
「そんなとこにあったら、普通の図書室利用客にS組教室バレるんじゃ?」
「ああ、そこも気にしないでいいよ、個室トイレの壁に謎のハッチみたいなのあるでしょ?見たことない?」
まあ、それくらいあるが…
「そこの中に入り口があるから安心して」
何が安心できるんだよ、あそこって水道管流れてるところじゃないのか?うちのトイレはどうやって流れてんだ?
ますます、疑問が深まるばかりだ。
「まあ、いってらっしゃーい」
校長は手を振り、書類を見ながら受話器に番号を打っていく、恐らく私たちの親に連絡してるのだろう。
「失礼しました!ほら!行こ律喜!」
「ああ!引っ張らないで!しっ失礼しました!」
勢いよく私たちは校長室から抜け出し、階段で地下一階の図書室に向かい、入室した。
「……見ない顔だね1年生?」
入った直後に話しかけられ少し戸惑って、発生源を必死に探す。
「ここだよ、君の真横」
「キャ!!」
異常に大きい声を出してしまい、恥ずかしさより驚きのほうが勝ってしまう。
「あ〜驚かせちゃったね、ごめん、えっと…僕は姫龍楽愛、図書室の管理人してます」
姫龍さんは、長い髪を後ろにやりながら倒れた私に手を差し伸べてくる。
「あ…ありがとう…私は、神谷律喜です」
「あ、あたしは…星火明希です」
明希…なんか、雰囲気違くない?
まさか、こういう髪長いタイプの男の人が好きなの?
いるけど…先輩とか好きなタイプ……にしてもこれ先輩って呼んでいいの?確かに人生の先輩ではあるけど。
「君たちもしかして、新しいS組の子?」
「え?S組を知っているんですか?」
私は、彼の手を掴んで立ち上がる。
横から「クッ」と言う声が聞こえてくるがここは無視だ。
「うん、だって僕S担任だもん、さっき校長先生から内線が来たから待ってたんだよ」
図書室の管理してて、なおかつS組担任?裏の顔ってやつかしら?
その時チャイムが鳴った。
「あっこれ放課後移行するよのチャイムだね、生徒たちが帰りたいってまた騒いじゃう、ほら君たちも早くおいでよ!」
姫龍先生は、図書室の電気を消して中から鍵をかける。
「じゃっ教室で待ってるから!」
姫龍先生は、走って男子トイレに入ってしまった。
「じゃあ、私たちも行きましょう?……って明希?」
明希はいきなり私の手を掴んで真っ赤になる。
「姫龍先生を…触った手……」
…………案外変態なのかもしれない、私以上に。
「ほら行くよ!」
私は、まだブツブツ言っている明希の手を引き女子トイレの中にはいった。
「えっと、ここか…」
私は個室の壁にあるハッチを開けて中に入る。
案外、綺麗で埃なんて飛んでなかった。
「ねね、次のどんな人だと思う?」
「案外怖い人とか?」
「弱気な人でもいいんじゃない?」
「面白い人がいいな〜」
そんな声が暗い廊下の中で鳴り響く。
前に進もうとした時、後ろからハッチの閉まる音がする。
どうやら、落ち着いた明希がハッチを閉めたようだ。
私は気にせず灯りの灯っている奥の教室に向かって歩く。
教室に近づくごとに声が大きくなっていく。
「二人も来るんでしょ?ちょ〜楽しみ〜ララはどんな人が来ると思う?」
「1人は気分屋で……」
「ああ!ストップストップ!そういえば未来見えるんだったわ…答えちょっと知っちゃった…」
未来が見える?一体なんの話をしてるんだ?
オカルト好きでもいるのだろうか…
「待ってよ…律喜…」
息を切らしながら、明希が追いついてきて私と肩を組んだ。
「はーい!みなさん落ち着いてくださーい!クラスが増えるのは確かに嬉しいけどそんなに騒がないの!……ララ以外に言ってまーす」
姫龍先生の声が聞こえると再び、横にいる明希はビクッと震える。
一目惚れって本当にあるんだ…
「おっ来たようだね、みんな静かにね!お二人さんに来てもらおう!」
私は、光り輝く教室のドアに手をかけて中にはいる。
中には、笑う姫龍先生と目を輝かせる生徒がいた、1人を除いて。
「はい!今日からみなさんと一緒にこのクラスで過ごすことになった……こう言う時は自分で名前を言いたいよね?じゃあ、一番最初に入ってきた方から!」
私か……
もう、引き返せないのだ、仕方がない。
みんなの前に出るのは得意だ、まず私がやって明希の緊張を解いてあげよう。
「まだ何が何だかわからないけど、ここに入ることになりました…神谷律喜と申します!よろしくお願いします!」
私は、みんなの前で礼をする…これで完璧だろうか?
「はい!神谷さんよろしくね、次は…もうわかるよね?お願いできる?」
笑顔を向けられた明希は一瞬固まり目を伏せてみんなの前に立った。
「えっと、星火明希って言います…左に同じくまだ何もわかりませんがよろしくお願いします」
普通にできたようだ…事故紹介にならなくてよかった。
「はい、2人ともよくできました!右上の一番後ろのに席が空いてるからそこに座って………なんて言うんだっけあそこ?主人公席?」
「確かに、定番席だよね〜あそこ」
「いいな〜俺も主人公になりて〜」
「儀馬くん、次の席替えでそこの席になるよ」
「え?まじ!?ありがとうララ!」
さっきから何を言っているんだこの生徒たちは…
「はいはい、こんなボケやるんじゃなかったよ…みんな静かに!今から帰りのホームルームやるからって、もう始まってるのか」
「一番重要なの来るぞー」
「今度はどんなのかな?」
さっきより、教室内の空気が明るくなる…一体何が始まるって言うんだ?
私は、席に座り辺りを見回す。
陰でスマホをいじってる人、目を輝かせながらまだ私たちを見てる人、つまらなそうに黒板の方をじっと見つめる人…確かあの人がララって呼ばれてたな。
ララさんは、紫のリボンをつけていて印象的な大きいまるメガネをつけていた。
「はい!えーと、連絡事項はこの2人が来るってことだけです!えーと、じゃあみんながお待ちかねのやつ行きますか!」
教室中によっしゃ!とかおお〜と言う声が響く。
「あの〜一体何が始まるんですか?」
私は恐る恐る姫龍先生に聞いてみる。
「今から説明するよ!今から始まるのはね、能力決定会だよ!」
能力決定会?
「まあ、初めて聞いた時はそうなるよね…このクラスはね、1人一つまで能力を持てるクラスなの。理由はおいおい説明するよ、信じられないかもしれないけど最初はそんなものだよ、さて、始めようか!まず、律喜さんこっちにきて!」
能力?私は夢でも見てるのだろうか?
とりあえず、私は立ち上がり教卓の前に立つ。
「どんな能力の子になるんだろうな〜あー!ララ!ストップストップ!言っちゃダメ!みんなしらけちゃう!」
ものは試しだ、面白そうだからやってみよう。
「じゃあ、始めようかルール説明をするよ」
そう言って、3つの小さい紙コップを姫龍先生はビニールに包装された袋から取り出す。
「今から、このコップにそれぞれ色が違う液体を入れます、その中から選んだ色を混ぜそれを飲んでもらいます、そうすれば頭の中に能力のイメージがはっきりと浮かびます…何か質問は?」
私は、首を振り先生の次の行動を待つ。
「良さそうですね、では始めましょう」
姫龍先生は赤・青・黄の三原色の液体をそれぞれのコップに注いでいく。
「では、選んでください、ちなみに一色でもいいですよ」
どうしようか?
こう言うのは、本能的に選んだ方がいいよね。
「じゃあ……」
「待って!」
だいぶ後ろから、椅子が勢いよく引かれる音がする。
後ろを振り返ると、目を輝かせながら明希がこちらを見ていた。
「なんだか、すっごく面白そう!あたしが先やっていい?」
「こらこら、順番は…」
「姫龍先生いいじゃないですか、別に私が先にやるなんて言ってないんですし…ほら、明希、先やりなよ」
明希は席をたちこちらに向かってくる。
「律喜さんって優しいんだね」
「俺が、同じ状況なら絶対に譲らねぇよ」
「お前は短気なだけだろ?」
明希は、教卓の前に立つ。
「この中から選べばいいんですね?」
「うんそうだよ」
明希は、迷わず赤と青を指差す。
「この2種類でお願いします」
「わかった」
先生は、手慣れた手つきで2つの液体を混ぜる。
コップに注がれた、色は混ざれば紫になるはずだが、混ざった液体は緑色に変色した。
「…………え?」
「ああ、気にしなくていいよ、こう言うものだから」
戸惑っているようだが、明希はルール通りコップを手に取り一気にその中身を飲み干す。
ざわめいていた教室内が一気に緊張に包まれる。
「……どんな感じだい?」
「……レディースアーンドジェントルメーン!!」
なんだ?急に明希がいつも通りの奇行を始めた?
明希は教室中の注目を一気に集める。
「これから始まりますわ!あたしが消えるマジックショー!」
「なんだ?透明人間になれるのか?」
「それとも、何かに変身するとか?」
さっきの緊張感とは裏腹に、教室内には楽しげな空気が流れている。
「ただ私が消えるだけじゃ、皆さんつまらないでしょう!このカードを皆さんにお配りします、その理由はお楽しみ!」
明希は全員にトランプのカードを渡す。
私と姫龍先生にも…
「舞台は整いました!それでは、見事消えることができたらご喝采!」
明希はそう宣言すると最後に残ったカードを真上に投げる。
そうすると、次の瞬間彼女は消えていた。
「おー!」
「本当に消えたぞ!」
「え?どういう能力?」
私はララさんの方を見る、彼女は珍しく楽しそうな顔をしている。
これから何が起こるかわかるはずなのに楽しそうにしている?
私は、配られたカードの絵柄を見てみる。
普通のトランプではない、私の絵柄は薔薇の3だった。
「どこに消えたの?」
「帰ったとか?」
「おーい!出ておいで!」
姫龍先生がそう叫ぶと教室の後ろの方から彼女の声が聞こえてくる。
「あたしはここです!」
明希は、いつの間にか自分の席に座ってた。
「一体どうやったの!?」
「あの子の能力わね〜」
「ああ!ストップ!ララさん!あたしの次のイリュージョンが先!」
明希は「ショータイム!」と言って指を鳴らす。
そうすると、配られたカードから本当に絵柄にそっくりな薔薇が3本出てきた。
みんなも各々配られたものが出て来たようだ。
私はふと先生をみる。
「姫龍先生?大丈夫ですか?」
私がそういうと、みんなが先生の方を向き笑い転げた。
「びっくりした!」
先生は泣きそうな顔で自分の受け取ったものを見ている。
先生の手には、バネで繋がれたジョーカーのビックリ箱。
「ハッハハ!未来は見てたけどやっぱり最高!久しぶりにこんな笑ったわ!」
爆笑する、ララさんの声がする。
「それはよかった!では種明かし!あたしの能力は、ワープ!みんなよろしくね!」
明希がウィンクをすると、みんなは一斉に拍手する。
エンターテイナーはそれに応え礼をした。
「さ…さて、次こそ律喜さんの番だよ!」
腰でも抜かしたのか、びっくり箱を地面に置いて黒板を使い教卓に再び戻った姫龍先生は、新しいコップを出してまた同じ色を注ぎ始める。
「律喜!せっかく舞台整えたんだから台無しにしないでよ!」
後ろから、明希の大声がする。
「ええ!あなたみたいなエンターテイナーじゃないけどね!」
私は、本能的に3つの色を選択した。
「全部の色です!」
教室…いや、会場内は一気に盛り上がる。
全ての色を混ぜ終えた先生は、私の前にコップを置いた。
色は真っ黒……私が飲み干す直前誰かの小声が聞こえたが、気にせず全てを口の中に放り込んだ。
味はしない、匂いも…全て飲み込んだ時私の脳裏に一つのイメージが浮かんだ。
なんでも、背中から出せる?
私はみんなの方を向き、笑顔で手を広げる。
明希よりはこういうこと得意じゃないけど、今ならなんだか行ける気がする。
私は、頭の中で天使の翼を想像し、それを実体化させる。
そうすると、風が切れる音と共に自分の背中にも神経がつながっている感触がする。
本当に、翼が生えたのだろうか?
そう思い、確認しようとした瞬間前からスポットライトのようなものが当たる。
これも、誰かの能力?
「おー!すげぇ綺麗!」
「これ綺空の能力じゃね?」
「よく思いついたな!」
「いや…僕……ララさんにお願いされて……」
なるほど、未来が見えるのならこんな演出も可能か、さっきの小声はきっとララさんの声なのだろう。
「ええっと、皆さん!私の能力はどうやら、翼からなんでも生やせる能力のようです!よろしくお願いします!」
能力を解除し、3本のバラとともに自分の席に戻る。
「お疲れ様、律喜」
「うん、ありがとう明希」
「さて!2人とも!改めてこれからよろしく!ようこそサイキッククラス、略してS組へ!」
………………
「ねぇ…律喜さん」
帰りのホームルームが終わり、帰りの準備をしているとララさんがこっちに話しかけてきた。
「えっと…ララさん?」
「うん、そう…私、橋徒らら…よろしくね」
さっきは、なんだかよく喋るキャラなのかと思っていたら意外と地雷系なのか?
それとも、結構な人見知りなのか?
「さっきはありがとね、なんか他の人の能力でスポットライト当ててくれて」
「……私輝いてる人好きだからやっただけ……」
彼女はスマホで顔を隠しながら、小さい声でそう言った。
やっぱりただの人見知りなだけか。
「そんなに、人見知りそうにしてるのによく私に話しかけてきたね?」
「……私が話しかけなくても、あなた話しかける気だったでしょ?……未来みた、あなた気分屋、私から話しかけた方があなたの気分良くなる」
なるほど、本当に未来が見えるようだ。
「……よかったら一緒に帰ろう?私とあなた、帰りの電車同じ」
「え?うん!いいよ帰ろう!」
明希は結局反対方向に行っちゃうし、同じ方面の友達がいなかったのだ。
「てか、私と一緒に帰る未来も見えてたんじゃ?」
「そこは見てない……ただ帰り道聞いた未来見ただけ」
そこは、見ないんだ…これで明希と帰るとか私が言ったら傷つくだろうに……
それにしても…私たちを推薦した生徒はどこにいるんだろう?
……明日になったらきっとわかるか!
「ああ!律喜!明希!明日からいつもより遅い時間に来てくれ!えーと、通常クラスが授業が始まる時間に校門に到着してるぐらいでいいぞ!」
そんな、遅くていいのか……
「……私たち、S組は極秘クラス…誰にも言っちゃダメだし…怪しまれちゃダメ……束縛されてキツイけど、みんなより遅く授業が始まるおかげで少しでも長く寝れるし…見つからずに早くくれば、大好きなみんなと一緒におしゃべりできる……最高のクラスだよ…」
ララさんは、学生鞄から紫缶のエナジードリンクを取り出しストローで飲み始めた。
この人……やっぱり地雷系?束縛ワード出たからメンヘラ気質でもあるのか??あと垣間見えるクラス愛はなんなの!?
「律喜さん……ツッコミたいならツッコミな……ああ…私がこんなんだからツッコメないんだよね…ごめんね……」
「ああ、気にしないで!しっかりとこっちも我慢せずにツッコムから!」
こうして、私のS組最初の日が終わった。
これからどうなるのかな、私の学校生活。




