再開のフラッシュバック
私の高校生活はごく平凡でつまらない日々だった。
あの人に会うまでは……
「明希待ってよ〜!」
「ほら!授業遅れちゃうよ!律喜走って!」
重い理科の授業道具を持って、私は3階の理科実験室に走る。
「明希!待ってって!」
私の前を走っていた明希ばもういなくなっていた。
「早すぎでしょ…」
息を切らしながらやっとの思いで3階に着く。
廊下の曲がり角を曲がり、教室のドアを開けようとするが自分の両手はふさがっていてうまく開けられなかった。
足でドアを開けようとするがうまくいかない。
「ああ、君ちょっと待って今開けるから」
後ろを振り返ると、理科の先生がドアを開けてくれた。
「そういえば君教科リーダーかまあ、まだ遅刻じゃないよ」
「ありがとうございます!」
礼をして実験室に入り班の席に座る。
「もう、明希早いよ〜」
「ごめんごめん、律喜重いの持ってるの忘れてた」
そう言いながら明希は私が持ってきた、実験道具を広げていく。
「はいはーい、授業始めるから号令よろしく~」
先生の間延びした声が実験室に響く。
あの感じやる気はあまりないのだろう、それもそうだ今日は5月12日月曜日、休日が終わって1日目の1限目、そんな中私が実験道具を必死で持ってきたのだ。
もうちょっと、やる気を出してもいいでしょ?
「規律礼!」
学級委員の綺麗で響く声が部屋中に充満する。
そこからは、あまり覚えていない。
先生がやる気のない時は、こっちもやる気が出ないのだ。
「はーい終わり!後で律喜は来るように」
「規律礼!」
「律喜あんた何かしたの?」
「いや、わからない…何もしてないはずだけど…」
胸に不安をいっぱいにため込んで、私は教卓に向う。
「律喜、明希の様子変じゃないか?」
「え?変っていつもと変わらないじゃないですか」
先生は、少し困り顔で考え込む。
「そうか、よく明希と一緒にいる君ならわかると思ったんだがな…」
「明希の何処が気になったんですか?」
「なんか最近明希が瞬間移動しているようにしか思えなくてな、ところどころで見かけては次の瞬間にいなくなる」
「明希の足が速いだけでしょ、そもそもどうして先生がそんな事を聞きたがるんですか?」
「ああ、それ話してなかったな…誰にも言うなよ、ここ最近窓ガラスが割れたり校舎裏に大量の果物が放置されていたりしてるだろ?あれが起こった後必ず明希の姿が目撃されるんだ」
「え?でもそれって動物がやったって話じゃ?」
「あれは事を大きくしないための嘘だよ」
先生は秘密事項であろうことをすらすらと喋る。
「まあ、そんなところだ何か分かったらまた来てくれ何を話していたか聞かれたら実験道具をここに保管するから置いていけという通知だったと言っとけ〜」
そう言うと先生は準備室に消えていった。
「お待たせ明希」
「お帰り〜じゃっ行こうか」
私は頷き明希と共に実験室を出る。
さっき聞いた話を思い出しながら、私は明希の顔を覗き込む。
やはりいつものと変わらない、そもそもそんな事をする意味もわからない。
「どうかしたの律喜?なんか変?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど…やっぱり明希なんか綺麗になった?」
ここで怪しまれてはいけない、適当にごまかそう。
「え!?なんで急にそんな事!?」
「え?何でって…そう感じたからかな?」
「もう!意味わかんない!」
明希は顔を赤らめながら大声を上げて廊下を走っていった。
しかし、そんなに足は速くなかった。
「……?やっぱり何かおかしい」
「明希の足はそんなに速くなかった…」
昼休みに私は裏庭のベンチで1人、カツサンドを片手に考え込んでいた。
「お隣良いかい?」
「え?ああどうぞ」
相席を申し出てきたのはYシャツ姿の生徒だった。
風格的に私と同じ学年だろう。
「悩み事なら聞きましょうか?」
彼は笑顔でナプキンに包まれたサンドイッチを取り出しながらそう言った。
「なかなか、勇気あるのね初対面の人に話しかけた上で相談相手になろうなんて」
「困ってる人がいたら見過ごせないんですよ、あと僕と君は初対面じゃないでしょ?」
「え?」
私はビクッとして、彼をよく見る。
少し長めの髪、クッキリとした大きな二重。
その目に吸い込まれるような感覚にとらわれる。
「思い出しました?僕もここに来て始めてわかりましたよ」
確かに初対面ではない、だってこの人は…
2年前の記憶がフラッシュバックする。
車に引かれそうになり彼が私の身代わりになった、あの光景が…
「主治医から聞いたよ君はあの後精神が病んでしばらく学校に行ってなかったと」
「ごめんなさい…お見舞いにも行けなくて」
「良いんだよまたこうやって会えたんだからさ」
彼はサンドイッチを食べ終わり、ナプキンを結び直す。
「それよりほら、悩んでるならこれだよ」
彼はポケットから、ラムネのボトルを取り出し私の手のひらに2錠乗せた。
「僕じゃ相談相手になれなさそうだ、じゃあねまた会えたら」
私は彼の突然の行動に唖然としていると、聞かなければいけないことを思い出した。
「あの!名前は!」
そう、聞いた時には彼はもういなかった。
「……絶対に見つける」
手のひらのラムネを口に入れ。
私は教室へと戻っていった。
おそらく、私にしか書けない恋愛小説です!




