百鬼夜行.4
「……と、こんな感じでどうかなと。何か質問は?」
会議は思いの外スムーズに進んだ。
作戦としては、まず第一に城下への侵入を防ぐこと。次にセバンタート内へ侵入を許してしまっているオーガを撃破していく。最終的にはダンジョンへ入り、原因を探ること。作戦の筋は通したつもりだったけど、どうやら大丈夫そうだな。ビーティンと呼ばれた男も考える仕草をとっていて、噛みついてこないし。
安心したのも束の間、違う所から声が上がった。
「異議ありー」
ゾマがやる気無さげに手を挙げた。
「……貴様っ!」
「えーっと、ゾマだっけ。なんだい?」
「騎士団が城下までの道を巡回しながら、その後入口を重点的に防衛するって話でしたよね?」
「うん」
「今城下にはオーガが侵入してないんスよね? 自分戦えないじゃないですか」
「そうは言ってもさ……君も騎士団員だろう? そう動いてもらわないと予定がね」
「嫌ッス。前線出たいです」
戦いたいー! と駄々をこね始めたゾマ。えぇ……何なのコイツ。フルーラに顔を向けると苦笑していた。いつもこんな感じなのね、騎士団も扱いには困ってるっぽいな。フルーラがたまらず提言してくれた。
「でしたら、私がゾマの分まで動きましょう。城下防衛前まで巡回し、その後騎士団に引き継いでこちらに合流します」
「さっすがフルーラさん!」
「リョウ、ゾマには前線を動けるよう采配してくれないか?」
「……いいのかい?」
「あぁ」
「じゃあゾマ。悪いけど、君には一番前線に出てもらうよ。ここギルドから、商店街を抜けつつセバンタートからダンジョン入口まで。そのルートにいるオーガを討伐、もしくは足止めをしてもらう」
「いいんスか!? じゃ! 自分行きまーす!」
そう言うなり、眼を輝かせたゾマは会議室を飛び出して行ってしまった。
「皆様にご迷惑をおかけしてすみません……実力はあるんですが、少し素行に問題が。お詫びは、戦果で」
フルーラが立ち上がり一礼する。ざわついていた会議室内は、次第に落ち着きを取り戻していった。
「じゃ、そういうことで話を進めます。フルーラ、城下までの順路にオーガは……いなそうだけど、僕の眼も万能じゃない。死角に潜んでるかもしれないから注意して欲しい」
「分かった」
「ビーティンさん」
「……なんだ」
「貴方のパーティーを、今回軸とします。貴方の他に、戦士職を二人、魔法職、回復職を付けます。パーティーリーダーとして、指示をお願いします」
「……ふん。お前もようやく自分の立ち位置が分かってきた様だな。安心しろ、オーガなんぞ我々だけで掃討してくれる!」
「主にこのギルドから範囲を拡げていってもらって、特に酒場や宿等の明かりが消しにくい場所を重点的に見回り、対峙した場合討伐をお願いします」
元々ダンジョンにいるオーガは、光や音に過剰に反応するかもしれない。懸念は潰さないとな。
「いいだろう」
「他の職員さんもギルマスの指示通り、基本は三人以上でパーティーを組んで下さい。オーガと対峙して、無理だと判断したらすぐに撤退を。ビーティンさんと合流。それか一度、ここに戻り報告をお願いします」
「ヤマト。騎士団に大まかな話を通してくれ。私も後で説明に行く。その後に住民だ。騒ぎにならないよう丁寧にな」
「分かりました!」
「よし、皆気を引き締めて向かってくれ!」
師匠の号令と共に、会議は終了。フルーラ、それに職員は皆士気を上げ、会議室を慌ただしく飛び出していった。残されたのは僕と師匠だけ。
「じゃ、師匠。僕もこれで」
「いや、何帰ろうとしてるの。不足に備えて君も残るんだよ」
「……いやいや、師匠がいるから大丈夫でしょうに」
「瓦解すると思って、ああいう組み合わせにしたんでしょ?」
「そうは言っても、僕はオーガとの戦闘経験は無いし。ビーティンさんでしたっけ? 彼が豪語してたし大丈夫なんじゃ」
「うーん……」
師匠は一考した後、僕へ向かってこう告げた。
「……やっぱり君も残って。これは師匠命令ね」
師匠はそう言って、僕にウィンクした。僕はえぇ……と露骨に口に出し、折角立ち上がった椅子に渋々腰を掛けた。
お待たせしています。
従魔士カイルの冒険譚3~水の巫女とアプサラス~
来る10月10日(金)より投稿開始します。止まらず走り切れる様に、貴方からの応援を是非! よろしくお願いします!




