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エスケープ 水の神への生け贄を救って

青みを帯びたラベンダー色の空、三つの衛星、月が浮かぶ

赤い砂漠の地 時に水晶の丘、黒い泉、石油が沸く小さな泉もそこにはあるのだ。


「ファ、ファリ」 「大丈夫だ ナギ・ナジュアリ、しつかり捕まってくれ」

赤い砂漠の砂を蹴散らして、二人の人物が

半機械された六本の足を持つラクダ(デイアンカ)に乗って走りゆく


追い掛けられている その理由は‥水の神への生贄 ナギ・ナジュアリを助けたから

「大丈夫か、ナギ・ナジュアリ」「うん、ファリ」


デアンカと呼ぶ6本の足のラクダに乗って赤い砂を蹴散らし走り去る。


次には赤い砂漠の場所から抜けて

白い砂と砂金がマーブルのように入り混じる場所へと向かうのだった。

今度は白い砂と砂金の砂の中を駆け抜けてゆく。 


赤い砂の近くにあった黒い泉に追いかけてきた狩人を叩き落とし

水晶の丘では 光の反射に 鏡のように映り込みした姿を利用して

隙をついて、殴り倒したり多く敵から逃れたが・・


「後少しだから、俺の背にしっかり捕まってくれ、俺たちが乗っている

デアンカ(ラクダ)から振り落とされないように」ファリ


生贄にされそうになったナギ・ナジュアリの首には

包帯が巻かれ血が滲んで痛々しい。

炎天下の中で縛られてつられて、首すじ近くを斬られて血を流していたのだった。


傷口から流れる血は足元の壺に貯められて、水の神に捧げられ

次には 血を水、水源に注ぐ 

遺体はその近くに埋められる手はずだったのだ。


消え去った海の代わり、人々の水源だった大きな湖


数百年前、水の欠乏で

南半球は全滅 北半球、全ての人間が滅びかけたが

天空人と呼ばれる宇宙から来た者達が

地下資源、レアメタルなどと引き換えに 科学の力で惑星改造テラ・ホームが始まり

砂漠の中にドーム都市に

空中から水を変換する『水の塔』を複数、贈ってくれたのだが


彼等の星達の星間戦争、宇宙空間の磁気嵐などが原因で

彼等は去り、磁気嵐の大きな影響でドーム都市も破壊され、残ったのは

水の塔、通称エアリスが一つだけ  


水の塔が作り出す、水のみで数世代も生き延びた かなり過酷で多くが死んだが


「いざとなったら、僕を捨てて逃げて」青い顔でナギ・ナジュアリが言う


「大丈夫、心配するな」「・・・・・」


ナギは思う 既に僕の兄ナジュアリも、姉も生贄で殺された。

僕の名はナギ・・兄が死んだから ナジュアリの名前を引き継いだ


だから、僕の名前は墓標代わり 

僕が生贄にされるまでは記憶と墓標は残るから・・


「もうすぐ俺の村だから

ナギ・ナジュアリ 実は数百年ぶりに戻った天空人たちがいる 

一人頼りないように見えるがレーヴというのが・・あ、敵が来たか!」

舌打ちするファリ



水の神への生贄が僕 ナギ・ナジュアリが思う

この惑星の空の下で、敵から6本足の半機械化ラクダ、デアンカに

救出者の少年ファリと共に駆け抜けて走りゆく


夜の時間を走り去り、夜明けの光も垣間見える。

生贄だったナギ・ナジュアリの手から力が抜けて、デイアンカ(ラクダ)から

振り落とされそうになるが

「危ない、落ちるなよナギ・ナジュアリ しっかり捕まれ」「うん、ファリ」



この空、沙漠の大地…空はラベンダーを帯びた青の色

天には月の衛星が幾つか浮かぶ。


この地上からは  沙漠の大地

僅かばかりの水を求め、砂の海に住む魚達を狩る。


空の色はラベンダーを混ぜた青の色


其処に浮かぶのは月の惑星 今日は二つ目の月が見えて‥間もなく⓷つ目も


淡く薔薇の色に染まりゆき、数は少ないが、ラクダのコブを持つ羊達

彼等は水はほぼ、飲まずに

半透明の水晶の岩に貼りつくようなコケやコケの小さな果実をかじる


この生き物は遥か昔に天の彼方、宇宙から飛来した 天空人の贈り物の一つ

遺伝子操作で生まれたもの


見渡せば沙漠

なれども…


時折沙漠の大地に埋もれてるのは 化石と化した竜の卵に


伝説に詠われる 大昔に天空から訪れたという

異界の星の壊れた宇宙船


水は喪われ

唯一の水は…僅かにあるのみ…



砂の惑星で その砂漠の地 生贄にされかけた少年の争奪戦いがまだ続く



今度は白と砂金、赤い砂の混じったマーブルのグラデーションの砂漠

その砂塵をまき散らしながらも 

ファリは6本足の半機械ラクダであるデイアンカに乗り 

追手を振りきろうと 猛スピードで走り抜ける!

「しっかり捕まってろナギ・ナジュアリ!」「う!うん!」

白いかぼそい腕で 

意途切れそうな意識の中でナギ・ナジュアリをしっかりとファリの身体に捕まった。


奴らの目的は 後ろに乗っている ナギ・ナジュアリだ。

水の神への生贄に選ばれた少年ナギ・ナジュアリ


儀式の最中に 見はりが目を離し、偶然そこに

通りかかったファリが 血まみれのナギ・ナジュアリを助けたのだ。


まだ 彼の傷は治ってはいない・・血がファリの服の背を濡らす。


ギュウーん!機械のうなるにぶい音

キーン ドシュン!ドシュン! すぐ傍の走り去る砂地に銃の弾が撃ち込まれる。

数頭の機械ラクダが ナギ・ナジュアリを奪還しようと 追いかけて来てる。


ガシャン!機械ラクダの自分の乗ったすぐ横 ファリは

そこにつけた 袋から 大きなマシンガンのような物を取り出し

打ち放つ 


追いかけてきた2体は倒す

しかし、今度は「ファリ! 前!」 谷底が目の前にある


「迷ってる暇はない!一かバチかだ! 離すなナギ・ナジュアリ!」

すばやく銃を袋に入れて 体勢を整えて 構える


「はああ!」勢いよく ジャンプする。


「「きゃあ」投げの小さな悲鳴 大きく息を吐きながらファリ空を蹴り飛ぶ 

向こう側の崖に飛び移った。


「くそ!」追いかけて来た奴等が ライフルにボウガンで 次々と

撃ちかけてくるのだ。



手にとったライフルで撃ち返す ファリ

しかし、発射されたのは弾丸ではなく、レーザー 輝く光の線

「ええ!」驚くナギ・ナジュアリ


「ぎゃああ」命中して、乗っていたデアンカ(機械化6本足のラクダ)から

転がり落ちる敵達。


「再来した天空人(宇宙人)のレーヴから頂いた ふう」

軽く息を吐き、続けてファリが言う

「まだ、奴らは追いかけて来るか 急ぐから捕まれナギ・ナジュアリ」「は、はい」



こちらはファリの村落にいる天空人で頭脳系チートで能天気なレーヴ少年

彼の父親を始め、沢山の仲間達と共に大型の宇宙船(天空船)でやって来たのだ。


「偶然にも、友好的で数百年前にコンタクトした子孫だったファリ

それにファリの妹リリーシュちゃん、激可愛い くす」

ちょっと口元などが緩んでいるレーヴであった。


「リリーシュちゃんは現地人と水の民の間に生まれた子孫で

こちらは耳は鰓で、水色の髪でええ・・」ハミングながら、科学調査の準備中である


「新たな水の塔の建造の準備に他の部族との交渉とか‥

第二次テラ・ホーミング (惑星改造)でこれからは本当に多くの仕事だね」


「快適なドームの街に宇宙港の建設も・・」などと呟くレーヴ 


赤い砂漠から吹く、淡い金色の髪が風に揺れ

少しとがった自分の耳を無意識に触った。


「ファリはまだ、戻らない 何かあったのかな?」


其処にファリの妹リリーシュが砂漠で 採れた砂魚の焼き物に

モンスターを調理したものを運んで来た。

「お食事ですよレーヴ それからコケモモの飲み物」「ああ、リリーシュちゃん」



この砂漠の惑星にとって、まだ、新しい時代は始まりを告げたばかりであった。












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