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Episode49 悪夢

「ど、どういうことですか……?」


 絞り出すような震えた声で、一ノ瀬隊長に尋ねたのは新田さんだった。


「そのまんまの意味だ。アジトの周辺を警戒して兵を散らせてしまったところに、ヒーロー500人ほどが侵入してきたらしい」


 バカな!


 500人って……。


 そんな大量の数、すぐに見つけられる。


 なのにどうして侵入を許してしまったんだ?


「500ってあり得ないでしょう! 一体どうやって!」


 新田さんもその点が腑に落ちないようだ。


「知るか! とにかくまだすべてが終わったばかりじゃない。工藤!」


 一ノ瀬隊長が声を張り上げる。


『はいはい』


 ヘッドマイク越しに返答する工藤さん。


「至急ハーラルやレイスに応援要請を!」


『もうやってますよ! 裏方の仕事は俺に任せてください! 一ノ瀬隊長はアジトに侵入したヒーローを何とかするのに集中してください!』


「あ、あぁ」


 工藤さん。


 凄いな。


 出会ったころ、部隊ミーティングに遅れて出席した挙句、星川をナンパしようとした人とは思えない。


 さっきも俺を完璧にアシストしてくれて、格上のヒーローを退けることに成功した。


 そして今度は、命令を受ける前に状況を自分で理解して最善の行動を取っている。


 あんな人でも、流石はゾディアックの構成員を長くやっているだけの事はあるな。


「よし、それじゃあ急いで戻るぞ!」


「「「はい!」」」


 一ノ瀬隊長の一声で、一斉にテレポートをする。


 俺も適度な緊張感を持っていたので、遅れずにしっかりと反応して、同時にテレポートが出来た。


 今の精神状態はかなりいい感じだ。


 集中出来ていて、非常に冷静だ。


 多分、全員が焦っていることで、俺も何となくこれがめちゃくちゃヤバい状況だってことは分かる。


 でも具体的にどれくらいヤバいかは頭の中ではイメージできてない。


 ゾディアック構成員としての経験が浅いからな。


 でもだからこそ、精神状態が崩壊していない。


 知らない方が幸せなこともあるだろう。


 多分、今のこの状況は《《そういうもの》》だ。


 すぐにアジトの近くまで戻ってくる。


 しかし、いつものアジトの入り口は、いつもとは全然違った。


 ヒーローと思しき人間たちが、ざっと数えたところ30人ほど囲んでいる。


「うわ、やばっ、あれを突破しないと絶対中には入れないけど……」


「ええ、この人数じゃ返り討ちに遭う事は確実でしょう」


 俺たち6番隊は、今工藤さんが欠けてるから6人。


 対してヒーローは、今正確にカウントしたところ、28人いる。


 ここで行くのはどう考えても無謀だ。


 しかし、このまま手を拱いていれば、本部アジトは壊滅してしまう。


 最初は有利だったのに、気が付けば喉元に刃が突き付けられている。


 一体どうすれば……。


 全員、完全に沈黙していた。


 しかし、そんな時だった。


「本部がピンチだって時に何をやってるんだ? 一ノ瀬」


 待望の援軍がやってくる。


 だが、その部隊は……。


「省吾さん……」


 まさかの5番隊であった。


 なんという偶然。


 仕組まれてるとさえ思えるほどに、さっき、そして今と遭遇する。


「何をやっているも何も、分かるでしょう。今飛び出しても、人数不利で負けることが目に見えているので、ここで応援がくるのを待っているんですよ」


「フッ、チキンが」


 桐原さんは鼻を鳴らして、建物の影から出て行こうとする。


「ちょっ、どこ行く気ですか?」


 それを焦って止めようとする一ノ瀬隊長。


「どこって、俺はお前とは違うからな。一刻も早く本部アジトにいるヒーローを全員ぶっ殺しに行くんだよ」


「無謀と勇敢はちがう。無駄に命を捨てることに意味はありません」


 桐原さんの肩をがっちり右手で掴む。


「離せ。俺は死なねぇし、例え死んだとしても、その代償として大量のヒーローの命を摘み取る。俺はこの命、組織のために燃やす覚悟がある。兄貴に助けてもらってのうのうと生きているやつには無いだろうがな」


 そう言って一ノ瀬隊長の右手を無理矢理引きはがす。


 そのまま今度こそ、桐原さんは建物の物陰から出て行く。


 5番隊の隊員もそれを追った。


「っ……」


 一ノ瀬隊長は、しばらく苦々しい表情で桐原さんが去った後を見つめていたが……。


「俺は行く。お前らは別に来なくてもいい」


 そう絞り出すように言った。


 その後すぐに飛び出していく。


 他のみんなはそれを追わなかった。


 追う気がない訳ではないと思う。


 ただ、命を落とす可能性が高い場所へ行く決断が出来ないだけだ。


 それはそうだろう。


 誰だって命は惜しい。


 そんなぽんぽんベット出来るほど安くはない。


 俺も同じだ。


 流石にこれは逃げさせてもらおう。


 そう、確かに俺は考えた。


 なのに何故だろうか。


「え、蓮君⁉」


 俺は考えとは真逆の行動に走ってしまったのだった。

カクヨムにはユーザーの自主企画イベントというものがあるんですよ。

これは、そのイベントに参加した人と作品を読みあう、というものです。

自分はあまり作者同士での読みあいと言うのが好きじゃないので、参加していません。

ただ、やはりどうしても評価に一喜一憂しちゃうので、モチベーションを上げるために参加した方がいいような気もして悩んでおります(モチベが下がって、最近まで6話あった書き溜めが0に)

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