『小説家になろう』における性描写のボーダーライン
『新着活動報告』というページを見ていると、ヒナプロジェクトから警告メールを送られた方をたまに見かけます。5chの文芸書籍サロン板でも見かけます。
それは主に「当小説は(過度な性描写により)18歳未満の閲覧に不適切である」と、修正を要求する文言です。要求に従わなければ、小説は消されます。
※ヒナプロジェクトとは、『小説家になろう』の運営会社を指す。
以後、『運営』と表記。
運営はどの描写が不適切だったか、具体的な指摘を行いません。ただ「この小説には不適切な描写がある」としか言わないのです。
明確なガイドラインも設けてはいません。それに近いものはあるのですが、表現はかなり曖昧です。それがこれまで数多くの書き手を悩ませ、苦しめて来ました。
(2019年12月現在)
「これで良いんだろうか」「あれはダメなんじゃないか」とモヤモヤさせるのは、書き手にとって過大なストレスになります。それがモチベーションの低下に繋がり、作品自体を消した方もいらっしゃます。
そこで私としましては、これまでに得た情報を元にして、『小説家になろう』における性描写のアウト・セーフのラインをまとめようと思います。それをベースにした自作小説もあります。
当エッセーが非公式の『性表現のガイドライン』として機能すれば幸いです。
■結果だけを書くのはセーフ
「セックスした」「レイプされた」「オナニーした」……とただ淡々と『○○された事象』を表記するだけならセーフのようです。
「フェ○チオをした」「パ○ズリをした」などは駄目な気がします。具体的な行為の中身にかなり近い描写のため。「彼女はマサトに卑猥な行為をした」とぼかした表現するのが無難でしょう。
・具体例
「へっへっへっ」
「きゃーーーーーーっ!」
村娘は盗賊に激しくレイプされた!
乙女の純潔は穢されたのだ!
――――翌日。
……という書き方なら、セーフという事になります。
「体を重ねた」「抱いた」「一夜を共にした」という表現も、その事実があった事を淡々と書くだけならセーフのようです。
■行為の具体的な中身の描写はNG
セックスにしろレイプにしろ、『何を、どのようにやったか』具体的な表記を行うのはNGという事になります。
直接的な描写ではない暗喩でも駄目なようです。しごいたのがチ○○ではなく、バナナやソーセージだったりとか、決して卑猥ではない液体が飛び出したりしても、アウトのようです。
これは「性行為を想起させる描写はNG」と公式のガイドラインに一文があります。
■人間以外の性行為について
「カマキリの交尾は良いのか?」「犬猫の交尾は?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
これも恐らくは『淡々とした事実だけを書くなら良い』『行為の具体的な中身の描写をしてはいけない』に該当すると思われます。つまり人間と同じです。
そうでないと、獣人の濃密なるセックス描写がオーケーになってしまうからです。
カマキリの交尾ですら、具体的な描写をしたらアウトかもしれないのです。
カエルが○○に○○をぶっかけるのも駄目かもしれません。
■代替表現について
性器の具体的な描写がNGなので、「勃○した」はアウトかもしれません。
「ムラムラした」「興奮した」「下半身が元気になった」という表現に差し替えましょう。三つめはかなり際どいですが、ギリギリセーフでしょう。下半身が元気になるだけなら、オロ○ミンCを飲んだのかもしれません。
「中出しされた」も、「赤子を孕まされた」「避妊をしなかった」という表現にすると無難なようです。
「村娘はレイプされた! 盗賊は避妊をしなかった!」という文章だとかなり滑稽ですが、仕方ありません。
■性器の具体的な(特に形状の)描写はNG
この性器にはチ○コやマ○コだけでなく、尻の穴や乳首や乳房も含まれます。
尻の穴や乳首やオッパイがどのような形状をしているか、具体的に、克明に、描いてはいけないのです。尻の穴から『何か』が出てくる描写もアウトです。
「ウンコをした」「出産した」と事実だけを書くならセーフです。
オッパイも、『大きさだけなら』大丈夫かと。
逆に男が立ちションした時に、チ○コの具体的な形状や、チ○コがどう動いたか、どれくらいの大きさか、などを描いてはいけないのです。
■見えただけならセーフ
下着や裸、生殖器などは、『作中の人物がそれを見た』という事実だけ書くならセーフのようです。
それがどのような形状をしているかとか、見た後に触ってしまったり、興奮して自慰行為をしてしまったらアウトです。
・具体例
のび太はしずちゃんの裸を見てしまった!
のび太は興奮した!
……という書き方なら、セーフという事になります。
パンチラも、見えただけならセーフです。
逆に、しずかちゃんの乳首がどのような形状をしているか、克明に描いてはいけない事になります。
■キスについて
これはかなり難しい。警告されたという人もいますし、大丈夫という人もいます。
恐らく、淡白な描写であり、性的な要素が希薄であれば、大丈夫でしょう。
特に「キスをした」とただ事実だけを書く場合は絶対大丈夫なはずです。
濃厚な、ねっとりした、過度に性的な表現を盛り込んだら、ダメかもしれません。公式ガイドライン「性行為を想起させる描写」に触れてしまうのかも……。
■身体的接触について
これも『過度に性的な表現』を盛り込んだら、ダメになるでしょう。
いやらしいと思わせる要素は極力排除しなければならない。
男女が強く抱き合う事自体は、性的ではありません。
でも○○と××が触れ合ったとか、○○に手を伸ばしたとか、××を具体的に□□したとか、書いてはいけないのです。特に身体的接触によって女性が赤面してハアハアと呼吸を荒くしたり、「アアーーン」と喘ぎ声を上げたりしたら、かなり危険です。
素手で女性の生乳を揉む行為も極力控えて、事故によるラッキースケベで手が一瞬触れただけにしましょう。
抱き合ったり馬乗りになった時に腰を振るのもNGになりそうです。「性行為を想起させる描写」になります。
■セリフに関する考察
(2019/12/26 追記)
劇中の人物がただ「~やるぞ!」と言っただけなのと、その行為が実際に行われたのとでは、アウトセーフの判定が異なるように見受けられました。
例えば『装甲少女エア・グレイブ』に出てくる悪漢は「ハラワタを引きずり出してやる!」と、たびたび口にします。でもその行為が行われる事は決してありません。
もしそのような行為が実際に行われたら、R15でないと警告されたり、R15であっても「R18でやれ」と言われたりするかもしれないのです。
もちろん声に出しただけだとしても、性器や性行為に関する具体的な描写をしてしまったらアウトになるでしょう。この場合ギリギリ大丈夫そうなのは「オッパイ触りてえ」ぐらいになるでしょうか。「○○○揉みてえ」まで言ったらアウトかもしれません。
「あの子とエッチしたいぜ!」程度にぼやかすと無難です。
またセリフだけだとしても、「~やるぞ!」ではなく「~してやったぜ!」になるとアウトかもしれません。その行為が行われた事実を、具体的に描写してしまった事になるからです。これは小説という媒体ならではの基準となります。
「○○○に触ったぜ!」は……アウトかもしれません。「あの子のアレに、あんな事をしたぜ!」とか「とてもここでは言えないような事をしたぜ!」とか「あの子とエッチしたぜ!」とか、ぼやかした表現すると無難なようです。
◇ ◇ ◇
ここから先は考察、推測になります。
■運営はちゃんとチェックしているのか?
運営は読者からの通報が無ければ動きません。
どんなエグい表現も、通報されなければ野放しになります。
では通報された場合、運営はちゃんとチェックしているのか?
ただ通報件数が多いというだけで、中身を見ずに無条件に警告メールを送っているんじゃないか?
……という疑念が、読者界隈でささやかれています。
恐らく、運営は一応チェックしてます。
彼らの中にはちゃんとした線引きがあり、「この描写がダメ」という決定はしているようです。
警告メールを送られた方の中には、修正したらオーケーをもらえた方がいます。逆にダメだった方もいます。もし中身を見ていなかったら、そうしたやり取りは行えません。
では何故、警告メールで「ここがダメ」という具体的箇所の指摘を行わないのか? 書き手に対して不誠実ではないか? という疑問もあります。
直す箇所が分からず、ただ「直せ」とだけ言われて、何度やってもオーケーがもらえずに心が折れた方がいます。
何故かは分かりません。現状ではこればかりは仕方が無いと諦めるしかない。
■基準が厳しすぎではないか?
『小説家になろう』の性描写に対する規制は厳しいです。
少年ジャンプやマガジンの、ムフフでお色気なラブコメなら許容される描写でも、『小説家になろう』ではアウトになる可能性があります。
『小説家になろう』の18禁バージョンとして、『ノクターンノベルズ』があります。
ただ前出したラブコメのように、セックスまではしていないが、お色気要素はある作品が、『小説家になろう』ではやれない実情があります。
『ノクターンノベルズ』はセックスありのガチエロ向け小説投稿サイトであり、サービスお色気作品の受け入れ先として不向きです。
現状ではどうにもなりません。『ミッドナイトノベルズ』という、官能を主目的としない18禁小説投稿サイトもあるので、やるとすればそっちになるでしょうか。
■何故こんなに厳しいのか?
「そもそも何故こんなに性描写に対する規制が厳しいのか?」と疑問に思った方もおられるでしょう。
『小説家になろう』は全額、広告収入によって運営されてます。課金サービスの類は存在しません。
グーグルアドセンスから広告を剥がされたら、死活問題になります。健全なサイトにならざるを得ない事情があるのです。
もう一つ、推測できる理由があります。
『小説家になろう』に投稿する時に年齢制限を選択するのですが、この選択肢が『全年齢』と『R18』しかありません。
(R18にすると『ノクターンノベルズ』に振り分けられる)
『R15』が全年齢カテゴリに含まれてしまっているのです。
『小説家になろう』におけるR-15は、年齢制限として機能を果たしていない。
「この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕 が含まれています」という、読者に対するただの警告文と大差無いのです。
実際に、『小説家になろう』に投稿した作品はR15にチェックマークを入れても、作者アカウントによる小説編集ページでは「年齢制限:なし」と表示されます。
この事が『全年齢』と『R18』でザックリ分けてしまう要因ではないかと。
■どのくらいならセーフなのか
「結局どの程度の表現ならセーフなのか、具体的に作品を見せてくれないと分からないよ!」という方もおられるでしょう。
私、大月秋野はこれまで得た情報を元に、「これくらいならセーフだろう」という基準を頭の中に構築しました。
それをベースとして書いたのが自作小説『今日、私は先輩とエッチした。』です。
https://ncode.syosetu.com/n6149fh/
投稿して一年近くになりますが、運営から警告は受けていません。これから受けるかもしれませんが……。
この作品がセーフなら、これを超える過激な表現をしなければセーフという事になります。一つの基準になって頂ければ幸いです。
■最後に
これまで読まれた方の中に異論もあるでしょう。
「○○は大丈夫だったよ!」という方もいらっしゃるでしょう。
「過剰に怯えすぎではないか?」と考えた方もおられると思います。
ただ先に述べたように、運営の基準はかなり曖昧です。
ギリギリのラインを攻めたと思ったら、余裕でアウトになるのはよくある事です。「これくらいなら大丈夫だろう」と甘い観測をされた方々が、これまで数多くの警告メールを送られました。
読者が通報しなければ、どんな表現だろうと野放しになります。ですが、それを期待するのは何とも心許ない。
運営は「何処を修正すべきか」の指摘を行いません。
何十万字も書いた小説が、何処を直すべきかも分からないメールを送られるのは、書き手にとっては致命傷に近いのです。
用心するに越した事はありません。
今作が『小説家になろう』における性描写の、非公式のガイドラインとして機能して頂ければ幸いです。
当エッセーのリンク、紹介は自由に行って頂いて構いません。